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『おむすび』は平成を総括するのだろうか、わからない

フェミニズム全振りで好評のうちに終わった朝ドラ『虎に翼』、そのバトンを受け取るにはなかなか荷が重いなか始まった『おむすび』。第一週を見終わったところでまだ何もわからないところではあるのだが、5話(第一週)まで見届けた時点で今後の展開について想像したことを箇条書きでざっくりと書き連ねる。

 

・平成という時代

物語は平成元年生まれのヒロインが福岡で高校に入学するタイミングから始まる。筆者は昭和61年生まれなので、学年で3個下か4個下か。俺の妹とほぼ同い年と思われる。知ってる時代なので時代考証が甘いような気はどうしてもするが俺個人の記憶も曖昧だ。

当時の着信音こんなんだっけな?もっと雑だった気もする。パカパカケータイだったらまーいーかみたいになってる気もする。けど、あんまりエビデンス込みで指摘できるほど覚えてない。俺も田舎育ちだったし、ギャルと絡む文化圏にはいなかったし。

 

・主人公は神戸の震災を経験しているぽい

1995年の震災時、主人公は神戸にいて結果として父方の実家の福岡に身を寄せる形になったようだ。神戸に出て福岡に出戻りした父と福岡で農家を営む祖父は折り合いが悪いようで、特に父は都会としての神戸に未練タラタラっぽい。もともとは美容師を志していたようだがビューティフルライフは2000年の作品なので父親はカリスマ美容師を目指して都会に出たわけではないっぽい。しかし、ヒロインの姉である長女は福岡でカリスマギャルをやっていたらしいので、父親はそこらへんでコンプレックスを溜め込んでそうな気もする。

 

・ギャルとはなんだったのか

この物語は2005年くらいの福岡を舞台に始まっていると思われるが、当時はいわゆるコギャルみたいな文化はかなり下火になっていたように思われる。主人公の姉がたぶん元祖アムラー世代くらいで、主人公の姉に憧れて今もギャルを貫いてるキャラクターたちは、結構当時絶滅危惧種だったんじゃないか?という体感だ。ただこれは、俺はその時そこそこの関西の大学に田舎から出て入学した時なので、街に繰り出したらギャルがたくさんいて怖いので大学の中で遊んでただけだからそういう体感になってるだけの可能性はある。

 

・ギャルはエンパワメントになりえるか

カリスマギャルをやっていた姉を持つ主人公はあやふやに現役ギャルに絡まれているわけだが、たぶん話的にはこれからギャル文化を受け入れてそれを自身の糧にしていくのだろうと予想される。そしてそれは自然な流れだろうなと思う。古臭い価値観に毒された大人からは「そんなもんやめちまえ」と言われるファッションを己の胸のうちで抜き身の刀として持ち歩く。よくある話、知ってる話だ。ヤンキー文化の延長にあるギャル文化を揶揄する声はTwitterなんかで検索すると枚挙に暇がないが、退けてもいいんじゃないのと当時の雰囲気を少なからず知る自分は思う。

ポイントは、神戸での被災経験を経て今まで当たり前だった日常を1日にして失うことの悲しみを知った主人公が積み上げる努力を拒みなんとなく楽しければそれでいいという価値観に変容しているところがスタートになってそうなあたりだろう。

無難に穏やかに生きたいと考える主人公はギャル文化も否定するし、父と祖父が仲違いしながらルーティンで畑仕事を繰り返す今の生活を拠り所にして生きていこうと考えている。

 

・平成の激動

けどまー、そんな考えではジリ貧になるのが平成という時代だったよなと思い返す。現状維持を維持するためにみんながみんな割を食う時代がずっと続いていくし日本列島を襲う災害もどんどん起こる。ほとんど原体験として神戸の震災を経験した主人公がギャルパワーをアイデンティティにどう困難に立ち向かうのかが特に後半フォーカスされていくのかなと想像している。

 

・今後栄養士になるらしい

第一週時点で、父と死別して母子家庭になった貧困ゆえの栄養失調ギャルと主人公は邂逅している。ここらへんも主旋律になってくる可能性はある。東京に元カリスマギャルのお姉さんがいるらしいので、どうせどっかで上京して邂逅するのだろう。その時、なんか姉ちゃんシングルマザーなってそうな気がするな〜!自分らが買うには困らない福岡の農家の三世帯家族で、平成がテーマの一つなら核家族化が取り沙汰される可能性は大いにありえる気がする。そこにはデキ婚のカジュアル化やその先にありがちな離婚のカジュアル化も含まれる可能性がある。そしてその先には貧困児童の問題も盛り込みやすい。主人公が栄養士なのであれば、直接的なワードは出てこないにしても片親パン的な話だっていくらでもできるだろうなーと思った。

 

・すっかり俺も生き字引き

まだ一週間分見ただけなんで今後のことはなんもわからんのだが、最初の一ヶ月くらいは頑張ってみて離脱しようかなくらいで見始めたものの、なかなかどうして、どんだけつまんなくても最後まで見なくちゃなという気分にさせられる。それは俺がその時代をうっすら知ってるからだ。「朝ドラにギャルなんか出すな」と非難の声をTwitterでは見かけるが、平成がもはや昔のことのおっさんからすると「明治維新の話してる時に新撰組なんて負け犬を出すな」くらいの違和感があるんよなー。

 

いや、最後まで見るかはわかんないんだけど、平成が舞台でギャルが出てきちゃう朝ドラ、見れるかな、どうかなー。

 

以上です。