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『マッサン』観てない人には全然わからない話をします

掲題のとおり観てますー。楽しく観てますー。録画派なのでとりあえず今週分はまだ全く観てなくて先週分まで観た時点での感想です。

朝ドラをしっかり観るのは前回の『花子とアン』からの新参者で、能年ちゃんとかもカルピスウォーターの人ってイメージしかない程度の新参者です。『花子とアン』は、まぁ細かいところはどうでもいいんですけど、俺の中ではテーマが一貫しててとてもよかった。「みんな知識や教養に差はあれど、自分に想像できる範囲に想像してそれぞれに最善を目指してる」って話なんだなと思いながら観ているととてもわかりやすくてよかった。好みの問題だと思うんだけど、僕が目にする物語って割とわかりやすい悪者とか普通に他人をどうとも思ってない性根の曲がった人とかがナチュラルに登場することが多かったので、別にそれは観測範囲の問題で世の中そういう話は別に暇ない枚挙って感じなんだろうけどともあれ俺には新鮮だったので楽しく観ていた。

そういう点でいくと『マッサン』も割りと似たようなテーマが根底にあるのかなと思いながら観ていて、「みんな文化や常識に違いはあれど、それぞれに良かれと思って動いてる」って感じなのかなと思う。そりゃ、今から観るとそりゃどうなのよって仕草はみんなよく見せる。泉ピン子は演じてる役柄がそう見せるのか、もう本人からそういうオーラが沸々と出ているのかわからないくらいむかつく。もしすごい科学力の宇宙人が地球に乗り込んできたら何としても宇宙人とうっかり対面する前に泉ピン子の息の根を止めなくちゃ、逆鱗に触れた宇宙人が太さ東京ドームくらいのレーザーで日本列島を蜂の巣にするかもしれないので絶対に会わせてはいけないって思うくらい泉ピン子は単体で大変むかつく。でもまぁ彼女は彼女でそういう彼女の考え方を是とする世界で生きてきたんだなとも思うので、そういう人らがいる中でうまくやっていくほかないんだろうと思わせられるのだ。あとは大阪のご近所さんが出てくるシーンが僕は割りと好きで、あいつらがその場にいて良かったなってシーンもあるし、本気でこいつら何も考えんと干渉してきて割と深刻にうっとうしいなと思うシーンもある。でも彼女らは別にそういう僕の気分をどうこうするために存在してるわけではなく、彼女らの生活の合間で善意で良かれと思って好きにウロウロしてるだけのアナ雪のトロールに劣るとも勝らない存在なのでそういうメリットデメリットが並存するのは当たり前のことなのだ。かなりデフォルメされてはいるが、そこらへんの匙加減は意外と現実と相違なかったりする。それが常にあるテーマなのかは知らないが僕の知る限りの朝ドラはそういう「みんな良いところもあれば悪いところもある」という主張が見られ、普段少年漫画を読んで悪の権化に悲しい過去があると萎えてしまうような世界線に生きる僕にはやっぱりそこが新鮮だったりする。

僕は普段あまり登場人物に感情移入せず淡々と物語を追うほうではあるのだけれども、存外「自分だったらどうするだろう」とか考えがちなのは矢張り『マッサン』が夫婦の物語であるからなのかもしれない。「こいつは俺じゃないので俺だったらとかそういうの要らんやろ」ってのがいつもの僕の観方なのではあるが、大体は嫁と二人で録画を観ているわけで俺のことは分かりきった俺のことなのでどうでもいいとして「嫁は今このシーンを何を思いながら観ているのだろう」とかは分かりきらない嫁のことで思いを馳せる必要があり、そうすると「自分だったら」みたいなことを考えてしまう局面も出てくるというわけだ。マッサンは見所こそあるもののそこそこにクズの素養を備えた人格でありおまけに酒飲みでもあるので、そこそこのクズである酒飲みの自分を旦那にしている嫁とエリーを重ねることは容易く、結果として自分とマッサンを重ねる下地は整いに整いまくっている。そういう事情で普段はなかなか味わえないハラハラを体感する時もある。いつもであれば自分のことは棚に上げて「こいつダメだな」と手を叩いて観ていられるのだが、何せこれは夫婦の物語なので「あなたもこんなことあったよね」とか「あなたもこういうことしそう」と言われやしないかと気が気ではない。一番気を揉んだのはエリーの懐妊をキッカケにマッサンが酒断ちをしていたところで、wikipediaでモデルとなる二人に実子がいないことを事前に押さえていた僕は子どもが流れてしまうであろうことは予見していたのでマッサンその時エリーをほっぽって反動で大酒に逃げてしまわないかとすごく心配した。エリーはマッサン以上に辛いはずなので、そんなことをしてしまってはマッサンは真性のクズである。飲むなとは言わないけれどそこそこに留めるべきであり、むしろ変に酒断ちして流れてしまってはもう一生酒飲んじゃいけないフンイキが出てきてしまいそうでそれは酒飲みにとって大変辛いので変に断つもんじゃないとすら思う。願掛けするにしても「生まれるまではジーパン洗わない」くらいに留めるべきである。今週分観てないのでそこらへん結局どうなってるのか僕はまだ知らない。

何にせよまだ見てないけど予告を見た限りにおいては今週は「子どもが出来ない夫婦である」という事実を二人でどう受け止めるかみたいなそういう話をする週のようで、大変重苦しいうえにウイスキー作りがイマイチ進まなさそうである。ニッカウヰスキーの創始者の半生を描いた話であるはずなのだが本当にウイスキー作りが進まない。挙句ちょっと前はアホみたいな顔してパン作ってたでしょ。それでちょっと前進したと思ったらまたこれですよ。しかも子どもができないとかどうとか重いよ。アホみたいな顔でパン作ってた週と足して2で割って欲しいよね。パンを人間にする魔術書を手に入れたマッサンが竈を作って、八嶋さんがパン人間作るのに必要な材料であるツチノコの尻尾をゲットするためにウサギの着ぐるみで山に篭るみたいな、それくらいの回にまとめちゃった方がよかったんじゃないのと思う。

不思議と思うのは、そりゃ脚色とか改悪とかなんぼでもあると思うから、喜ぶかどうか知らないしすげえ怒るかもしれないけれど、モデルになったニッカ創業者夫婦がこのドラマ観てるところ見たいなーとかたまに思うんだよね。こんなこと実在するモデルありきのドラマや映画に対して思ったの初めてなんだけど。もちろん実際の二人は、マッサンとエリーではないし、あんなフィクショナルにあっけらかんとした人柄ではないだろうと思う。それでもきっと、このドラマを観てる二人の様子を見てみたらやっぱり良い夫婦なんだなと思わせてくれるんだろうなと思えるような、そういう勝手な期待が俺の中にある。100年とか昔に、わけのわからん国際結婚なんぞをやらかして、二人で何かを成し遂げたラブラブ夫婦ってやつは、さぞ波乱万丈でそのうえに仲睦まじかったんだろうなとか考えるわけです。ラブラブな夫婦ってのは良いもんで、希望がありますよね。「そんな人たちがいた」ってことに希望を感じられるのは、個人よりもコンビだよなと思う。爆笑問題の太田夫妻とかすごい好きなんですけど、50年後とかに朝ドラの題材にしてやってくれよなって思うし、100年後には朝ドラ初の同性婚カップルが主役とかやって欲しいよなーって思う。今回が外国人出るの初なんでしょ、100年あったらイケるでしょ。

まーそんな感じで、楽しく観てます。あとは、そうだ、すげえ普通のことを言うんですけど、鴨居の大将とマッサンとの確執というか気の合わなさは、すごい分かりやすく「職人vs商人」で、この後マッサンは経営者になるだろうのでそこで何を学びどう鴨居さんを見直していくのかみたいなん、そういう話も好きなので楽しみです。

ともあれ、エリーが運ばれた病院の医者が茂木さんじゃなくて本当によかったな、と思った。あの医者はあの医者で、問いかけられると2,3歩移動してから喋りだすという臭い臭いギリギリのキャラクターだったわけだけれども、あれが茂木さんだったらとんでもないことになっていただろうなと思うので、その点は助かったな危機一髪だったな、と思った。以上です。