←ズイショ→

ズイショさんのブログはズイショさんの人生のズイショで更新されます!

将棋の不正疑惑の話の雑感

 将棋は十人並みに好きだが全然ちゃんとわかってない。ただ、現状わかってることからどこまで想像とか想定とかができそうかダラダラ考えるのが好きなので色々なネット上の情報に触れていて思ったことをダラダラ書く。ダラダラ書くのが目的なので特に「だから不正はやってないに5000ガバス!」とか「やってないに10万点!」みたいな結論はない。そりゃ色々考えた結果「うーんやっぱ怪しく思えてしまう」くらいの感じにはなると思うんだけど、当てにかかるというよりかは「現状出揃ってる情報で判断しようと思ったらこうなるかなぁ俺は」くらいの感じでまた別の情報が出たり進展があった時は内容によって考えを180度ひっくり返す準備はある。そのレベルでの話しか現状はできないとは思っている。「やってないと信じたい」とか「やってたらすごいガッカリする」とかの個人的な感情も特にない。ただ、今後のワンピースの展開を想像して遊ぶみたいな感じのやつなので、鵜呑みにされても困る。『真田丸』が全部史実じゃないのとかと一緒です。つまりこれはネタバレとか予想ではなく二次創作です。

 最初はともあれ将棋連盟のやり方が微妙だなぁとは思った。竜王戦は金属探知機で検査をする取り決めに既になっていて、その後も12月からは将棋会館での公式戦ではスマホの持ち込みと外出を禁止することになっていて、対応策はもう十分に打てているのだから疑惑の声があったにせよわざわざこのタイミングで詰問することそれ自体があまりうまくない手だったのではないかと思った。だって不正に頼ってたんだとしたらどのみち潰れていくじゃん。

 ただ、それに対して疑われた方の棋士が「疑いを持たれたまま対局はできない」と言って休場する意向を示し、かと言ってそのための正式な手続きを取るでもなくボイコットのような対応をするのもよくわからないなぁと思った。そしてそのような対応への処分として連盟側が出場停止にすること自体には僕は取り立てて問題はないだろうと思う。疑われた棋士の側が「問題ないような方向に自ら持っていってしまった」とも言える。だって休場の意向を示されたのに休場届が出てないからってのんきに当日来るだろってつもりで構えておいて当日来なかったらたぶん色んな人にめちゃめちゃ迷惑かかるでしょ。処分しなくてはならない正当な理由があるんだから処分しないわけにもいかない。

 「疑わしきは罰せずだろ」とか「証拠もないのに処分するとかダメだろ」って意見も見かけるが、あくまで名目上は休場の意思を示しながら手続きを怠ったことに対する処分と言えてしまうのだからこれはもう仕方がない。無論、処分する理由は妥当であったとしてもどの程度の重さの処分にするかを考慮するにあたっては不正疑惑が加味されてるんだろうってことは僕も疑わない。年内の出場停止ということなので疑惑の棋士スマホ対策の取られていない場で公式戦に出ることはこれでなくなった。ぶっちゃけ対策がスタートするのが12月14日なのでその日までの出場停止でも良かったんだけどあくまで名目上は休場届未提出に対する処分なわけだからあんまり露骨なのもね(笑)ってことで年内になったのかなぁくらいのことは思った。

 ただ、現状のような形が疑惑の棋士を詰問しようと決めた段階での連盟が思い描いていた展開なのかなと考えるとどうもそうではない気もする。

 繰り返しになるが疑惑の棋士がなぜこのような行動に出たのかが僕にはいまいちよくわからない。もし本当に濡れ衣であるならば試合を頑張ればいいじゃないか、とは思う。もちろんそれは「勝ったら汚名返上だ」とかではなくて、勝たなくたって良い試合をすれば良い試合だったとみんな言うんじゃねえのみたいな感覚だ。また、もちろんこれには「休場だと言い出したってことはやっぱりやってるんじゃないか」みたいな意図はない。

 そういう風に考えるとやっぱり僕はボイコットみたいな対応に出た棋士の考えがいまいち納得がいかない。というか突拍子のない対応に思えた。で、連盟にとってもそれは同じだったのではみたいなことを思った。つまり、疑惑を「ぬれぎぬだ」と否定してそのうえで対局に出向くことも拒否してそのうえ休場届けまで出さないという棋士の行動は連盟にとっても想定外だったのではないかということだ。じゃあどういうような対応を想定していたのかと言うと「ぬれぎぬだ」と突っぱねて試合に臨むか、「ごめんなさい」とゲロして出場辞退するか、二つに一つくらいで想定していたのだとしたらしっくりは来るかなぁなどと思った。そしてそのどちらかであれば連盟側はどっちでも良かったのではという気もする。

 ツイッターをやってる別の棋士が「不正はあった、あいつはクロだ」みたいなことをつぶやいてその後削除みたいな下りもあったのだけど、僕は最初この話を見た時、やっぱり僕は素人なので「証拠がないことにはなんとも」というところから考え始めた。しかし、その棋士ツイッターだとか他の色々な記事の情報を読んでいるうちにそもそも証拠がないことにはなんとも言えないのは単に俺が素人だからなのではないかということも考え始めた。日本でトップクラスの将棋が強い人らからしたら証拠はなくとも不正があるのは一目瞭然、意味のわかる強さと意味のわからない強さの区別くらい出来たって全然おかしくないよなーみたいなことも思った。容疑者の時点で犯人だと決めつけてはいけないんだろうけど、このケースにおけるプロ棋士の勘は少なくとも刑事の勘よりは信用しても良さそうな気はする。

 つまり、同業者が疑うからやっぱりクロなのだ。という結論には別にならない。ただ、連盟側が素人にはわからないある種の勘のようなもので不正を確信していたのであれば「何もこのタイミングで詰問しなくてもよかったのでは」と疑問に思った部分については納得できるのかなぁ、と思った。

 やっぱり「疑わしきは罰せず」というのは連盟の側からしたって重々承知の通りで、何も処分をする気なんか最初はなかったのではないか。ただ「竜王戦は金属探知機入るけどお前ほんとに出るのか?だいじょぶか?」くらいの感じだったのではないか。証拠を押さえるみたいな野暮なことはしないけど、不正ができないようにはしたぞ、と。で、それはそれとしてお前不正やってるよな、という確信は連盟側は持っている。次に控えた大舞台は不正できないけど、お前それでも出るのか?みたいな意図だったとすれば俺の中ではしっくりくる。

 これもどこそこで見かけたコメントで「あの棋士は不正なんかしなくても十分強い」みたいなのが散見されて、それはまぁそうなんだろうと思う。ただ、もし一度でも真剣勝負で不正をしてそれに味をしめてしまった棋士がいたとしたら、たぶんその人は地力だけで勝負しようとした時にめちゃめちゃ弱くなってしまうんじゃないかなという気がする。これは完全に俺はそんな気がするってだけ。だけど、同じように感じられる人は他にもいるんじゃないかと思ってるし、そういう風に考える棋士もけっこういるんじゃないかと思ってる。そういう風に考えてみた結果、「証拠もないのに詰問するのは悪魔の証明だ」なんて話では実はなくって「お前、無様を晒すことにならないか、本当に出るのか、だいじょぶか」みたいな意味で詰問をしたって考えたらそれは僕にとっては自然な流れに思える。

 もちろんこれは妄想なのでその温度感はわからない。どうあれ連盟側は頭っから決めつけてるわけで「連盟としてもそんなやつに出られては困る、だから白状しろ」ってニュアンスがほとんどだったとしてもそれは全然ありえる話だと思う。ただ「白状してくれないことにはこちらから処分を下すことはできない」という認識くらいは持ってそうなもんだ。「やってません、だから試合にも当然出ます」と強弁されたらそれはもう試合に出させるより仕方ねえなぁ、恥かくなり火事場の馬鹿力で乗り切るなり好きにしろどのみち不正はできないからな、くらいの感じ。なんだったら不正を白状した場合には対外的には病気とか別の理由で休場ってことにしといてやるから12月不正ができなくなった頃に復帰しろ、そこで勝てなくなったらそれはもうお前の責任だから頑張れ、みたいな落とし所なんかを僕だったら考えておくかもしれない。

 というあたりまで考えて僕は大体気が済んだのだけど、別にこれは「きっと真相はこういうことだ!」というのではなくて、単なる妄想ではある。また僕は「連盟側は証拠がなくとも確信していたのであればこういう流れなのではないか」という憶測を言ってるに過ぎず、連盟側が確信するくらいなんだから「だから疑惑の棋士はクロなのだ」と断言するつもりもない。ここまで書いてきたような流れであれば実際のところの棋士がシロであったとしてもクロであったとしても今のようなこじれ方になってしまっていることに一番納得がいくかなぁ、というだけの話である。

 たぶん引っかかってたところは「疑惑だけで処分するのはあんまりだ」という声に対して僕は「いや、疑惑だけで処分することはできなかった。疑惑の棋士の休場への意向とその後の経緯があって初めて下すことができた処分だ」と思った。そして棋士の側がどのような動きに出るかを連盟側はコントロールしきれない。であれば、つまりそもそもの詰問に処分を下してやるという明確な意図はなかったはずだ。だとしたら、その詰問の意図はそもそもいったい何だったのだろうか、みたいなことを考えたらこれくらいが妥当かなぁという想像です。連盟はシラを切るならそれはそれで全然構わなかったのではないか。

 もちろん疑惑はただの疑惑で本当にぬれぎぬで「だいじょぶか?」も大きなお世話の可能性はある。だとしたら、やっぱりなおさら試合には出るべきだったのではないかと思う。そこで棋士の側の意思で試合を放棄してしまったのがなんか話がめちゃめちゃややこしくなってしまった原因のような気がする。もし普通に出場する意志を固めてさえいればそりゃあ内部では色々ごたごたはあるのだろうがこうして対外的に不正の可能性が知れ渡ることにはならなかったのではないか、みたいなことを思った。

 件の棋士が不正をしているのかしていないのかは現状ではわからない。ただ、連盟の側は確信を持ってクロと思っていることは間違いない。ただしそれで処分しようという気はなかったが、「不正できなくなるけどだいじょうぶ?どうする?」と意地悪か武士の情けか知らないが聞いてみたところ棋士の側がイレギュラーな行動に出て、結果すれ違いが起こり、とりあえず別件で処分せざるをえない形になった。そして処分が明けるのはスマホ対策が始まった後。つまりもし実際にこんなような流れだったとすると連盟の今回の処分は「不正できなくなるけどだいじょうぶ?どうする?」をもう一度問い直してるってことだとも言える。

 ちなみに俺は将棋連盟っていう組織のもともとの体質とかよく知らないし、3月のライオンとかハチワンダイバーの影響で将棋に関わる人はある程度真っ当で誠実な人間だって前提で考えてるし、公式に出回ってる発表をかなり鵜呑みにして考えている。そもそも棋士が休場の意志を示したこと自体が連盟の嘘かもしれないし、そういうのは今後出てくる可能性は全然ある。そうなれば当然ここに書いた憶測は全然間違ってたねーと僕は簡単に言うだろう。ただ、現段階ではこれがなんか僕が今考えてる「なんかこんな感じなんじゃねーの」ということで。書かなきゃまとまらなさそうだなぁと思ったからダラダラ書いた。

 棋士はかっこいい将棋を指すのがかっこいいんだから盤外でこうわちゃわちゃなるのは残念だけど、まぁそうなっちゃってんならとりあえずは想像するしかねえわなぁ。単純に将棋とか関係なく色んな人に色んな思惑があってこじれる時、想像するしかない部分もあるなかでどういう風に想定してどういう風に動いてどういう持ってき方をすれば一番丸く収まるだろうかとか、どうして丸く収まらなかっただろうかとか、そういうことを考えるのが好きなのである。まぁ生きるのって大体そういうことじゃないですか。あと色々濁してたのに「件の棋士」って掛かっちゃってんじゃん。以上です。