はい、じゃあ今から面白い話をします。原稿用紙2枚くらいに収まるよう努力するので、とりあえず頼むので読んで下さい。
これは僕が四歳か五歳くらいの頃の話だったと思うんですけど、僕は初孫で小さい頃はそれはもう祖父母にかわいがられてたらしいんですけど、ある時、僕の両親はいなかったのかな、ばあちゃんもいたか記憶が怪しいんですけど。少なくともじいちゃんはいた。じいちゃんと何かしらの動物園か、それに類したイベントに連れてってもらったんですよ。そこで、ゾウに乗れる体験コーナーみたいなのをやっていて、僕はけっこうビビリな子供だったので嫌がったんですけど、おじいちゃんはそういう腰が引けてる僕をからかい半分で連れ出すのが好きな人だったので、結局ゾウに乗ることになって。時代なのかな、今じゃそんなん危なくて絶対無理なんだろうけど、鞍も何もついてない背中に直接またがるのね。櫓の上から。それで、僕が前でおじいちゃんが後ろから包み抱え込むみたいな感じで二人で乗って。じいちゃんが手綱っていうの?握ってくれて。じいちゃん建築関係で働いてて重機とか乗る人だったから「ゾウくらいどうってことない」って言ってて俺はじいちゃんかっこいいなって思った。それから月日は流れ、僕は社会人になり、祖父は亡くなり、僕は結婚し、そして僕は新婚旅行でタイに行ったんですよ。その中に「ゾウに乗る体験」というのがツアーの中に含まれてて、乗ったんですけど、なんかゾウの背中に二人がけの木製の椅子みたいなんが括られてそこに座るんですけど、乗ったゾウが立ち上がって一歩踏み出した瞬間、俺は気付いたね。「あ、俺、ゾウに乗るの初めてだ」って。揺れ方?感覚がもう全然違う。全然こんなんじゃなかった。つまり今乗ってるこれか昔乗った記憶のどっちかが嘘。今新婚旅行で乗ってるこれは間違いなく本物。つまり、嘘は記憶。帰国してから母親に「俺、子供の頃、じいちゃんとゾウに乗ったことないよね?」と聞いたら案の定、「あるわけないじゃん」と言われた。あー、俺なんとなくそんな気してたから「俺、ゾウに乗ったことあるぜ」って人に言ったことなかったわーっていう。俺は乗ったことあるって確信してたんだけど、なんか言わなかったんだよなー。
俺は最初に言いましたよね、面白い話するって。これ俺の超面白い話です。俺のこの、四歳の時にゾウに乗った記憶、なんなのこれ? 超面白くない? なぜあるの? もっと言えば、これ疑い出すと、「四歳の時のそういう捏造記憶が四歳の時からずっとある」って記憶ももうちょっと怪しいんだよ。この「四歳の頃からずっとあった」って記憶が俺の頭の中に発生したの昨日の可能性全然あるんだよ。ってところまで含めてめちゃめちゃ面白くない? なにこれ、こわい。こういうのってみんな大なり小なりあるよね? 俺だけ? 俺だけとかすげえ嫌なんですけど。なので、なんかこれに近いような、捏造記憶エピソード、みんなも披露してくんねえかな、と思って書いた。これ読んで何か変な、頭抱えたくなること思い出した人、もしよかったらツイッターとかブログとかに書いて。事実かわからない記憶、書いてください。俺はこの手のやつ大好物で、大体腹抱えて笑います。単に書くだけでもいいし、読んでほしかったらIDコールとかリプライしてくれたら僕は読みに行くんで。そういうの読みたいなって思ったんで、気が向いた何か虚偽を思い出した人、よろしくお願いします。以上です。