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「ファック」に相当する日本語がないっぽい問題

今、ツイッターを眺めてたらこんな記事が流れてきていて、水原希子ツイッターをコピペしただけで記事になってねえじゃんとかも思ったけどそれはまぁ置いておくとして、そういえば俺はこの前『パラノーマル・アクティビティ』というホラー映画を観ていて、それはいわゆるモキュメンタリーと呼ばれるジャンルの本物っぽくドキュメンタリーっぽく撮ったフィクションというやつなのだけれど、モキュメンタリーの「モ」の部分を担当する「モ」で始まって「紛い物」みたいな意味がある英単語がきっとあるのだとは思うのだがそれはちょっとわからない。

それで、ホームビデオを回し続けているとこれはどう考えても幽霊ですわみたいな怪現象がいっぱい起こる感じで映画は進んでいくのだけれどカメラを回す担当の男性が何かあるごとにファックファックと喚くのである。なにか物音がすればファック、ドアがバタンと閉じればファック、風が吹けばファック、兎に角ファックファックと連呼する有様で、語彙力の乏しさに最初辟易もしたが、次第に終始彼が気丈に振る舞うことができたのはファックという言葉あってのものだねという気分になってきて、なるほどファックは素晴らしい言葉だ、そしてそれに相当する言葉が日本語にはない、という気分にもなってきた。

幽霊が何かしでかして常識では到底受け入れがたい気味悪いことが起こるたびに彼はファックと叫び癇癪を起こすわけだが、もしこれが日本語ネイティブの人であればどうだろう。「うひゃあ」とか「わひゃー」とか言ってどんどん気力から萎えていくのではないかと思う。こうして書いてみると改めて実感するが「ひゃ」という音は如何にも頼りない。もう少し、ファックに近いニュアンスのことばは日本語にないものかと考えてみると、例えば「糞喰らえ」とか「畜生が」とか「くたばりやがれ」とか、全く思いつかないでもないのだけれど、どうにも虚空に投げるには具合が悪い。具体的にその言葉を投げかける対象がわからない時に口にするには今ひとつ据わりが悪い。

僕は一人の時(特に皿洗いをしている時など)は結構「糞が」とか「死ねボケ」とかあてど無く言う方だが、それも口の中でモゴモゴつぶやくように言うに留まるので急なラップ音がした際などにファックほどの軽快なノリでその言葉を言えるとは到底思えない。独りごちるぶんには構わないのだが、いるかいないかも分からない幽霊相手に何か言ってるようにも取られかねられないシーンでは気軽にそうも言えず、完全に独り言っぽいセリフを言おうとするとどうしても「うわぁビックリしたぁ!」とか「ひえ~勘弁勘弁!」と何故か弱い立場に立脚したフレーズになってしまう。これはどうも日本語の欠陥であるように思われる。

対象が明らかにならずとも気軽に口に出せる、自身の癇癪を表明するのにちょうどいい罵倒語、これたぶん日本語ネイティブのホモ・サピエンスに近々で必要な大事な言葉です。みなさまも奮ってご検討いただき共有頂きたく存じます。僕が最近好んで使ってるのは「羽虫が!」です。これくらいならラップ音がした時でも言えそう。

なお、一つの正解事例として日本が舞台でキャストも全員日本人っていう続編があるらしいのでそれを参考にするのもアリと言えばアリなんですけど、このパターンの映画もう別に見たくないなという感覚が勝っており今後観る予定特にないです。以上です。