←ズイショ→

ズイショさんのブログはズイショさんの人生のズイショで更新されます!

前倒し日記:吉野花見編

明日の話になるのですが、奈良は吉野に嫁さんと二人で桜を見に行ってきました。厳密にはまだ行ってません。嫁さんは既にいます。しかし、まだ実際には行っていないものの吉野は過去に紅葉狩りで一度行ったこともあるので記憶を頼りに頑張ればきっと前倒しでも書いて書けないことはないはず。「明日やろうはバカヤロー」とは生前の萩本欽一さんが言っていた名言ですが(まだ死んでません)、日記だからと言って馬鹿正直にその日が終わった後に書いてやる必要などありません。何でもかんでも問題が表面化するまで先延ばしにしようとするのは日本人の悪い癖です。そのような国民性がウナギを絶滅に追い込んだと言っても決して言い過ぎではないでしょう(まだウナギは絶滅してません)。今回はまだ行っていない吉野観光の日記を先んじてしたためてみたいと思います。それではさっそく体験しないうちに書いちゃいましょう(「忘れないうちに書いちゃいましょう」のクロノスへの反逆バージョン)。

あまり到着が遅くなるとシーズン真っ盛りということで混雑が予想されるため、朝7時半に家を出ました。そのためにも今日は早めに寝なくちゃなあと固く心に誓いながら電車に乗り込みます。ここ数日不安定な天気が続いていたため心配していたのですが幸いにも空模様は晴れ。てるてる坊主は既に1つ完成しているのですが当日までにあと2つは拵えたいなぁと僕は思いました。ちなみにてるてる坊主の原材料はティッシュ。日本人の生活にティッシュが定着するのは今より800年ほど先、太平洋戦争が終結してからしばらく後のことです。こうして吉野山を訪れた西行は「なにとなく春になりぬと聞く日より心にかかるみ吉野の山」「吉野山さくらが枝に雪ちりて花おそげなる年にもあるかな」「吉野山こずゑの花を見し日より心は身にもそはずなりにき」などの歌を残します。それから時は流れ現代、僕は電車に揺られること1時間半、遂に桜咲く吉野に到着しました。正確にはまだ到着はしていません。明日、到着します。もともと旅情などの機微をあまりよく分かっていない性格だった僕ですが、ここ数年で少しはそういったものを楽しもうという気概が申し訳程度には湧いてきましてある土地を訪れる際にはその土地に関する予習が重要なのだなとその必要性を痛感しています。まさか自分がそんなことを考えるようになるとは10年前の自分が知ったらさぞビックリすることでしょうね(笑)。10年前の僕はといえば、ちょうど大学に入学したところ。僕がその後4年間お世話になることとなるその大学はキャンパス内が桜であふれかえっており痛く歓迎されたのを昨日のことのように覚えています。この昨日のことのようにというのは一種の比喩で、そのような比喩を用いているのは今これを記述している今の僕であり、明日吉野の桜を目にした僕が昨日のことのように大学に入学した頃の思い出を述懐するわけではありません。また、もし仮に明日吉野の桜を目にした僕が「昨日のことのように」という比喩を用いたとしてもその「昨日のこと」は僕がこれを書いている今この瞬間を指すわけではありません。大学に入る以前に暮らしていた北海道の桜と言えば早くとも5月になってから開花を始めるのが普通であるため(大学に入る以前の期間は、西行の死後です)、4月に入ってすぐの入学式を桜で祝ってもらえることは大変珍しいことではありましたが、当時はそういった情緒をあまり解さない僕だったので特にスルーしておりました。なお、この当時とはティッシュが日本に普及し始めた当時ではなく大学に入学した当時です。ティッシュが日本に普及し始めた当時は親父のキンタマすらありません。つまり、「その大学はキャンパス内が桜であふれかえっており痛く歓迎されたのを昨日のことのように覚えています」と述懐した僕は自分の過去に関する記憶を一部改ざんしているということであり、まさにその当時の僕は特に桜の歓迎に関心を示しておらず、「今になって思い返せばアレは良い景色だったな」という体験した地点を基準とした場合より未来の僕の感想をもってその体験した地点の印象を語っているということになります。その大学の桜を目の当たりにしたその瞬間の僕が10年後のお前は予習までしてわざわざ桜を見るために遠くまで足を運んでいるよと聞かされたらきっと驚くことでしょうね(笑)。そうして吉野の桜を目にしてから間もなく二週間が経とうとしています。あれ以来、西行に興味を持ち西行の歩いた道程や西行の歌の解釈に関する書籍を読み漁っておりますが、西行の残した歌を読み目を閉じればあの吉野の風景が昨日のことように思い出されます。唯一心残りと言えば、このような歌の解釈や道程をもっと事前にしっかりと調べてから吉野に行けばきっともっと楽しむことができたのではないかと考えてしまいます。まぁ、それは来年のお楽しみということで。こうして三十を目前に控え遅まきながら日本の四季の美しさの一端に触れることができました。来年の吉野を楽しみにしながら夏、秋、冬と巡る季節を味わいつつこの一年を過ごしていければなと考えております。と語るのは今日から一日と二週間後の僕です。そのような未来を避けるためにも、歌をコピペするだけでもなくちゃんと内容も読もうと固く誓う今現在の僕なのでした。飽きてきたので、あと確定している予定としてはめっちゃうまい豆腐ドーナツめっちゃ食べるのと、豆腐も買って晩飯の鍋にめっちゃ入れる。その後、このエントリを読み返し答え合わせ編を書き始める明日の俺の心は炎のように真っ赤に燃えていた。チゲ鍋だったからである。

と、ここまでの昨日書いた下書きを読み返し「よくわかんねえけど大体合ってるからもう答え合わせ書かなくていいや」と思って投稿ボタンを押す俺なのであった。豆腐めっちゃ買ってきた。以上です。