←ズイショ→

ズイショさんのブログはズイショさんの人生のズイショで更新されます!

貴方のキャラは都度俺が判断して上書き更新します

そして俺だってそうやって貴方に判断されとるわけです。

見かけるにつけて、いやいやいや、と思うフレーズとしてあるのが例えば「よく人に言われるんですけど」だとか「自分で言うのも何なんですけど」とか、うん、知らないから、そこらへんは俺が今喋ってる貴方を見て判断するから、お前の自己申告の情報は鵜呑みにしないし、そういう自己申告をしてくるお前のその感じその自己申告してくる感じ、という情報のみを俺は抽出してるからな、っていう。これ主語が「俺が」だと何なんだお前ってなるからややこいわけですけど、みんなそうしてるわけです。みんなそうして判断もされてるわけです。常にそこを決めるのは相手方だというのは普通に生きてりゃ普通にわかる話です。

という話は毎度毎度隙あらば全然関係ない話をしてる時でも田嶋陽子の頻度でぶち込む僕ではあるんですけど、最近はこれに加えてもう一つ気になることがあって、そういう都度都度の「貴方の人となり」への判断は上書き更新されるものだと思うんですけどこの認識があまり無いまま迂闊に冒険に踏み出してヌーの群れに沈んでくシンバのお父さんみたいな人がたまにおる。なんだかそういう人たちは相手の人が「俺フォルダ」というものを用意してくれていて、俺が投げかけた情報を投げかけた内容に応じてカテゴリ分けしてキレイに全部保存してくれてると思ってる人たちがいる。
やってねーよそんなしちめんどくせえこと。こっちで管理しているお前についての情報は お前.txt 以上、1ファイルのみだから。

なんつーんすかね、いわゆる承認欲求の話題になってくるのでしょうか、ある一つのキャラとして自分が認知されたとなった時に、その自分のキャラを獲得アイテムのように固定化されたものであると見做して足元が隙だらけになる人ってのがリアル、ネット問わず見受けられるような気がするんすよね。自分が認知されて、自分というものの一部を知ってもらって受け入れられてとなった時に承認欲求のオカワリを所望すること自体は別にそんなに悪いこっちゃあねえと思うんですけれども、一杯目のキャラの獲得がオカワリ二杯目のキャラ獲得難度をイージーにしてくれることって実はそんなにねえですし、オカワリ二杯目の獲得に失敗したらまたしばらくは一杯目で獲得したキャラで承認欲求満たしてもらえればいいやってもんでもないということです。透けて聴こえる自意識の声としては「じゃあ、今度はこんな俺の一面もどうですか?」みたいな言い回しになるのでしょうか、そも最初の段階でみんなが興味を持ったのは最初にお前がたまたま見せていたある一面であってお前そのものじゃあねえから、お前が本当に見せたかったお前の別の一面にみんなが興味を持ってくれるかどうかは全くの別問題だし、そのお前が見せたかった一面を受け入れるためのジャンプ台として最初に受け入れられたある一面が機能するとも全く限らないわけです。

こういう勘違いで石を投げれば当たるような一番分かりやすい例でいうと「あの人、専門のこと以外はあんまり喋らない方がいいのに」みたいなものがあって、やっぱそういうことを言われちゃう人というのもあるジャンルの知見なりセンスなりを評価されているだけにも関わらず当人としては自身のパーソナリティをまるごと評価されてるような錯覚に陥ってるがゆえの現象だなと思うわけですけれども、まぁ単純にこれと同じような構図でやらかしちゃってついさっきまで上手に踊れてたのに台無しだよね、みたいなことが往々にしてある。

更にはこういう状態になった人のめんどくさいところというのは、実際にやっている行動としては本来であればなかなか受け入れられにくいような実に多方面に渡る自分のあれやこれやもまるごと好いて欲しいような行動を取っているにも関わらず、本人が強く意識しているのはジャンプ台よろしく機能するであろうと信じて疑わない一つ目に獲得したキャラであることが多いんですよね。こうなってきちゃいますと、ともすると当人の中ではジャンプ台のつもりでも実際には免罪符として機能することすらある。何をして、どんなポカをかまそうとも、それは「私のこういうキャラ」の範疇内において起こった出来事なので、そういう風に解釈してもらわないと困りますよ、みたいなことを言い始める。そんなのこっちはしったこっちゃなくて、例えばその人をすげえ聡明で面白い人だなと思った瞬間がかつて俺にあったとしても、「面白い人ってよく言われるんですよ」とそいつが言った時点で、俺の中でのその人についての情報ファイルの名前は 聡明で面白い人.txt から 自分で「面白い人ってよく言われるんですよ」とか言っちゃう人.txt に書き換えられてるわけで、その人が自分の武器と認識しているキャラ設定なんてものは既に俺の中では虚空の彼方に霧散してるわけです。なのでそんなこと言われてもちょっと僕には「もう終わった話をいつまで言ってるんだこいつは」と思うほかありませんし、そしてまた もう終わった自分がかつて評価された話をいつまでも繰り返す人.txt へと上書き更新されていくわけで。

まー僕は、そういう複雑すぎる人と人の認識し合いゲームそのものが大好きなんで、そういうことやってる人見かけるのも全然好きだし楽しいのでええっちゃええのんですけど、こういう仕組みに陥ってることに自覚もしないで、勝手に盛り上がって勝手に傷ついて、どこかに隠れて見えなくなっちゃう人がいるというのも寂しいもんだなーと思って書きました。以上です。