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政治家の浮気騒動に対して今後妊娠を経験したい夫婦が思うべきこと

育児休暇は男性も取っていいでしょ!僕きゃぁ取ります!って宣言したなんとかって政治家さんが、嫁さんが出産に備えて家を空けた隙に女なんか連れ込んでたっていうそりゃないぜベイビーとしか言い様がない面白いやつが話題ですけれども、ちょっと違うけど「マングローブ植えに行くから」つってフィリピンに買春しに行ってた横浜の校長思い出したよね、全然違うんだけど。「違うんだよ~、育休もマングローブも悪くないんだよ~、マングローブは酸素すげえ生成するから勘弁してくれよ~」みたいな感じなりましたけどもね。

それでまぁ、僕が話したいのは掲題のあたりなんですけど、掲題のこと以外はまあどうでもいいよ。まさか辞職するとも思ってなかったからさ、ちょっと怒られすぎじゃない?って気はしないでもないけれども、ベッキーの相手のなんだっけあの擬人化した消火器みたいな顔の人いるじゃん、あの人あんだけノーダメージなのに。そんな辞職するほど怒られるんだみたいなのは思わないでもないですけど、あの消火器もこれくらい喰らえよと思わないでもないですけど、まあ社会的役割が全然違うんだから全然仕方ないよね。でもやっぱりネットのみんなのリアクションなんか見てると「妊娠中の浮気」っていうのはご法度感がハンパない即射殺感に満ち満ち溢れてるねとは思う。

ところで質問になるんですが、たとえばあなたが罰ゲームを受けなくちゃならないとするじゃないですか。

ひとつは、「水が存在しないから飲みようもない環境を死なずに生き延びる」。

もうひとつは、「水がいつでも飲める環境で水を飲まずに過ごす。もし仮に水を飲んだ瞬間にはあなたは罪人として一生非難される」。

どちらか一方を選べと言われたら、あなたはどちらを選びますか?

ちなみに僕は意志力が弱いので前者を選びたいところです。死ななきゃいいだけでしょ? そういうのが一番気合はちゃんと出るよね。後者はな~、飲んじゃうかはわからないけど、前者よりよっぽどキツいのは間違いないなぁ。「水を飲まずに死なない」のと「水があるけど飲まない」だったら前者の方が純度の高い気合が出る気はするよね。

つまり、もちろん浮気はいつだってやった方がどうしたって悪いもんなんですけど、情状酌量も不要だとは思うんですけど、身体がしんどくて浮気なんかする余裕もなくて一方的に浮気されるかもしれない立場である女性もそのもう一方に立つ男性も、それぞれ自分の意思でその立場を選んだわけではなく半ば強制的にそれぞれの役割を押し付けられているのであり、人それぞれにその事実にものすごい反感を持つ時もあればそこにプライドを見出す時もあるわけですが、実態としては押し付けられてるにすぎないわけです。

このエントリでしたい話というのは、これから妊娠出産という経験をするかもしれないしできることならしたい未だ未経験の男女に向けたものです。既に裏切られた経産婦のみなさまは、各自恨むべき人を勝手にお恨みください。やらかした子持ち男性ないし今後やる気満々の既婚男性は、そうだそうだと自己正当化に利用するのはお控えください。別にそんな話はしていない。

あなたはこの世に生まれる際に自分の性別を選びましたか? きっとそんなはずはないでしょう。

生まれながらに、当たり前のように、私とあなたの性別は決定済みだったことでしょう。

そうなると、例えば出産とかいうイベントに対するスタンスも選びようがありません。

それは女性にとっては極めて主体的なイベントであり、男性にとっては如何にも蚊帳の外なイベントであります。「蚊帳の外」という形容それ自体を「男性の無責任」と呼ぶことが世のトレンドなのだとしたら僕はそれに眉を顰めるより仕方ありません。だってじゃあ逆にチンコがさ、出さずに吸えるようにもなって卵子吸いだして金玉で赤ちゃん育てられるようになったらどうする? 金玉袋は子供育てるにはずいぶん弱いけどね。守れてる感じ全然ないけど。臨月が近づいて金玉が大きくなってきたから用を足すのも一苦労みたいな話があるあるの世の中になったらそれはそれで女性が「蚊帳の外」に近い感覚にはなると思うんですよ。そりゃそうでしょう「金玉ないからよくわかんないけど」ってなるでしょうよ。たとえばの話で、妊娠出産という役割を果たすのが男女で選べるようになったとしても「男に産ませるなんて絶対やだ」って言う女性は少なからずいると思うんですよ。それ自体は別に悪いことじゃない。そう感じるのは自然なことでしょう。しかしそれは裏を返せば「自分は絶対やだ」と思ってることを男性の側に「男性だから」という理由で一方的に押し付けていると言うこともできるわけです。

現状に話を戻せば、男の側は妊娠出産に関しては文字通り痛くも痒くもないですし、対する女の側は痛い痒いどころの話ではないらしい。この隔たりも隔たったりというギャップをどのように埋めるか。そのギャップは互いが男と女であったというただそれだけの理由で、理不尽に、神様の言うとおりに発生してしまった立場の違いによるものだということをまず見つめることが肝要でしょう。妊娠出産に伴う女性の側の苦労それ自体はそれ自体として勿論男性がそれに寄り添おうとすることは不可欠なわけですが、そこにはある種の努力が必要になるわけです。身体的な苦労そのものを直接肩代わりしてやれればそれが一番わかりやすく平等ではあるけどそれはどうにもできないらしい、どうしたって他人の痛みを直接肩代わりすることはできない。ここで必要になってくる努力というのはつまり「直接肩代わりできない」ので、代替の方法を探すということ。寄り添い方を模索するということ。そういう努力が必要になってくるわけですけれども、これは二人でするべき努力でどちらか一方だけが責任を持って一人でするべき努力かというとそうではないように思うんですね。

すごく雑な言い方をすると、お金を現金で手渡しできりゃそれが何よりなんだけど、どうも現金手渡しはできない。ただし、なんとかしたい気持ちはあるし現金も手持ちはある。ならばそのお金を使えばいい。使って施すことで助けてやれることはあるだろう。ではどう使えばいいのだろう、服を買えばいいのか花を買えばいいのか甘いものを買えばいいのか、これはお金を使ってやりたい側が一人で考えるべき問題で、もしお気に召さない買い物をしてしまった時に一方的に責められて仕方がないことなのでしょうか。僕にはどうもそうは思えない。何が欲しいか伝える努力をして、何を欲しがってるのかヒアリングする努力をして、双方の頑張りによって良いお金の使い方をするのが当然一番良いわけです。

僕がイメージする妊娠出産に臨む夫婦関係の在り方ってのはそんな感じになるんですけど、まーこういう妊娠中の旦那の浮気の話題になると、そりゃあ男が絶対悪いからね。ご法度だから。みんなぷりぷり怒るのも分かるんだけど。「浮気は悪い、ダメ絶対」以上に「妊娠の苦労」を絶対視するような言葉が目立って、俺そういうのうんざりしちゃうんだよね。俺だって好きで子宮なしに生まれたわけじゃないのに随分偉そうだなこの野郎とか思っちゃう。「あなたにはわからないでしょうけど」を振りかざされちゃうとぶっちゃけどうしようもないんだよね。「『代われるもんなら代わってやりたい』が決して適わない」というのは二人が抱える問題であるはずなのに、代わってやれない方にだけ問題があるみたいな考え方を採用してると結局お互いしんどくなって不幸な結果に陥っちゃう確率が上がってくると思うんだよね。まーもちろん「こっちは身体がしんどいんだから」ってのもわかるけど、ちょっと違う話になっちゃうけど単純に病気で死ぬのと病気で死なれるの両方それなりの辛さがあることくらい想像できるじゃん。こっちも想像する努力はするけどさ、向こうのことを想像する努力をしなくていい立場なんてキレイ事を言えば究極的にはありえないんじゃないの、とかは思うわけです。

なので、既に起こった浮気が許されないのは絶対間違いないとしても、これからその当事者になるかもしれない人が持つべき感想は「とりあえず怒っとく」じゃなくてもいいとは思うんだよね。とりあえず怒っとくとかってのはアレじゃん、「犯罪の抑止力として刑罰がある」みたいなのと同じ話じゃん。夫婦ってそういう駆け引きで成り立つもんなのかってちょっと疑問だし。浮気という男性の側が圧倒的に悪い形で症状が表れたのが辛いところだけど(まあこの手の話題は浮気じゃなくても大体そういう形で表れるんだけども)、それらは終わってみれば男性の側に非があったって話であって、性質としては二人で向き合うべき夫婦二人のクライシスだったはずなんだよね。男性を別の生き物として切断処理するんじゃなくて、それをどう乗り越えればいいんだろうって二人で考えるのが自然だと思うんだけど、なんとなくこれくらいのことも言い難い空気だよなーとこういう話題になるといつも思う。

もちろんそれができないくらい妊娠ってのは大変なんだから身体が楽な方が気を遣えって言われたら返す言葉もないんだけど、一人で仕事目一杯に抱え込んでいっつもイライラしている人に「気が利かない」って毎日言われるとこっちも疲れるじゃん。手伝い方がわからないこっちも悪いのかもしれないけどさぁ、いつまでもそう思い続けられるお人好しはあんまりいないんじゃねえかなとは思うんですけど。そして仕事を一杯抱えてる側の方が何も考えずに仕事だけしてりゃいいからラクって見方もあるわけですけど、それ本当に何も考えずに仕事だけしてていいのか?って感じる人も見かけるわけで。

とまぁ、僕が男なのでそれっぽい言い方にはなってしまってますが、「お前が悪い」じゃなくて「お互い頑張ろう」でいきましょうってことですよね。まー何にせよ、男女問わず断絶を愛しましょうよ。断絶の反対側に叫ぶことはそれはそれでラクで気持ちいいのかもしれんけど、その断絶を埋めた方が手間はかかるかもしれないけど絶対気持ちいいに決まってんだから。って思うんですけどね。以上です。