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『愛のむきだし』とか観ました

園子温監督って食わず嫌いというか何となく敬遠してて観たことがなかったんですけど、いやまぁ敬遠してた理由は完全に自分の中で判明してて「俺が全然好きじゃない水道橋博士がすっげぇ絶賛してるから」だったんですけど。それでまぁ「趣味が合うと言うほどではないけどまぁまぁ話せる誰かが園子温おもしろいと言っていた」というプラス方向の小さな加点の積み重ねが水道橋博士が一撃で叩きだしてたマイナス値をようやく上回ったのでそろそろ観ようかなって感じでした。

順番としては最初に『冷たい熱帯魚』、次に『恋の罪』、ほんでこの前やっとこさ『愛のむきだし』を観ました。なんか映画それぞれの感想としては「おもしろかった」なんだけど。「俺は普通におもしろかった。最後まで普通に見れたよ。」くらいでそこまであんま書くことない。

一番好みだったのは『愛のむきだし』で、というか完全に順番間違ったこれ最初に観とけばよかったなぁとか思った。というのもたぶん前評判としてやたら高評価を下す人が一定数いる、と知っていたのがよくなかったかなとも振り返るに思うんですけど『冷たい熱帯魚』『恋の罪』を観てて「ギャグでいいんだよね……笑えるもんと思って観てるんですけど、だいじょぶですよね?」って感覚があって、観終わった後も「ギャグとしては面白かったけどそんな感じでだいじょぶですかね」みたいなのが残ってて。「これマジで作ってる可能性ギリギリあるけど、だとするとそれはなー」みたいな。それで次に観たのがこの二作より前に作られてる『愛のむきだし』だったんですけど、これがもう4時間ぶっ通しで「ギャグでーっす☆」って感じだったので大変見やすかった。「よかったよかった、この人はやっぱり映画界の漫☆画太郎的なものと見做して差し支えない感じだったんだ」ってなってよかった。なので、僕は別に園子温監督の作品を人にオススメするほどではないのだけれども、もし今まで観たことがなくてこれから観よっかなーって人がいるのであればとりあえず『愛のむきだし』から観るのが一番見やすいし分かりやすいですよ、とかは思います。4時間きついなぁと思うかもしれないけどもし根本的にこの人のやり方をきついと感じる人であればたぶん2時間でも同じくらいきついと思うので、あんま変わらんと思います。別に『愛のむきだし』がデビュー作ってわけではなく、過去にも何本か撮ってるらしいけど、そんなことは知らん。

なんか良くも悪くも脚本の作り方というか飛躍の仕方がお芝居の脚本っぽい人だなぁみたいなのは何となく思っていて、特に『愛のむきだし』なんかは松尾スズキとかに似てるなぁとか感じた。へぇ、そういうトバし方を映画でやってもこういうやり方をやったら意外とイケるんやぁ、みたいな。いや、まぁイケるかどうかは個人差だけど。『冷たい熱帯魚』も『恋の罪』も終わらせ方は俺自身かなり「ミスってるな」と感じたし。ただ、ストーリーとしての終わりがあかんからあかん、とも俺は思わなかったのでそういうところで作品への印象を落とさせないのはやっぱり「観てる瞬間楽しけりゃそれでいい」みたいなそういう割り切りを感じさせるからなのかなぁ。あ、もちろんここでいう「楽しけりゃ」ってのは感情が平常時をキープしにくい状態にあることを全部ひっくるめて「楽しい」と呼んでます。

そういうわけで、たぶん俺の中ではこの人はどういう人なのかと考えるに「2時間なら2時間とか、とにかく最初から最後まで持たせるのが抜群にうまい人」という分類になり、ピクサーさんとか三谷幸喜とかあそこらへんと同じグループになるのかなぁといった感じです。とりあえず持たせるのがうまいのでそこまで無茶苦茶つまんねぇ時間返せみたいなことにはならねぇだろ、という信頼がまずベースにあってそのうえで「『モンスターズ・インク』はやっぱおもろいけど『Mr.インクレディブル』は一回でいいな」とか「『有頂天ホテル』は普通に超面白かったけど『ステキな金縛り』はだいぶやらかしてて面白くなかったな」とかそういう話になってくる。そういう分類です。

iPhone持っててダルいのがiPhoneをポケットから取り出した時点で、やたら食いついてiPhoneの話をしたがる奴とかいるじゃないですか。「evernoteとかどういう使い方してる?」とか知るかよ。2014年に生きる20代男性が携帯電話持ってるだけでガタガタ騒ぐんじゃねぇよ普通だ馬鹿野郎。お前が今着てる服に俺が突然ものすごい勢いで食いついてきたらお前だってダルいだろそれと同じだよ何でそんなことが分からないんだみたいなのあるじゃないですか。園子温監督好きもそういうダルい人多そうなのであんま表立って人に「最近観ましたわ」とか言うのはやめよう、とかは思います。ていうかそれ水道橋博士やん、って話なんですけど。水道橋博士の足音が聴こえる。

まーそれくらいのぬる~い温度感で全然ベタ褒めではないんですけど、ある程度信頼できる監督さんだなーっと好意的なのは間違いないので今後もちょいちょい観ていきたいです。ただ『恋の罪』観た翌週に『愛のむきだし』借りてきたら「あてられるからやだ」とか言って嫁が一緒に観てくれなかったんですけど、俺の中ではこの人の映画は完全に人と騒ぎながら楽しく観る映画だと決めつけてて一人で観るの全然おもしろさ半減なので、次なにか観るのは嫁が一緒に観てくれるくらいたっぷり間隔空けてからにしようと思います。以上です。