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5歳の息子の節分

前倒しで今日、家で節分をした。

たしか一番最初の息子との節分は俺が鬼の面をつけて貞子みたいに這って呻き声を出して、息子がギャン泣きして、嫁にめちゃめちゃ怒られた、みたいな感じだった。

で、初めての節分がそんなだったから息子の中で「鬼怖え〜」て擦り込みがあって、数年はおっかなびっくりの節分だった。俺もそりゃあ大人なので怖くないよ、の鬼をやりつつ。

ここ1年くらいはSwitchを買ってて、ゲームを通して「敵に立ち向かう」みたいな経験をビビりなりに息子は積んで、今年の節分は息子が仕切って指示を寄越してきた。

曰く「お父さんとお母さんは鬼の面を被ったらまずここの部屋にいるところから始めて、この廊下を通って、ここから出てきたら僕が豆を投げるのでこう逃げてください」みたいな、そういう細かい指示を寄越してくるのだ。

自分が怖いことと怖くないことをちゃんと切り分けて理解して、自分が怖くなくて楽しくやれるように場をコントロールしようとする。仕切って俺らに指示を出す。そういうのに俺はガキも成長するもんだなーと思う。一番思う。

でも、俺は親だから指示を受ければその通りに付き合ってやるんだけど、やっぱり外の世界は指示通りに動いてくれないしコントロールなんか全然できないこともたくさんあるから、これからも大変だけどなんとか頑張れよと思う。俺も、そんな支配的な親ではないだろうとは思うけど、なんだかんだ息子を動かしてやろうって気持ちがゼロかといえばもちろんそんなわけもないから、仕切って自分の理想を目指そうとする息子を見ると、こいつはこれからもっと俺のコントロールの外にある個別の人間になっていくんだろうなーとも思う。

そんなことを考えながら、鬼役の俺は豆をぶつけられても一向に怯まず息子を抱え上げて外に連れ出そうとするし、息子が演じる鬼を豆も持たずに追いかけ回す。息子は少しビビりながらもケラケラと笑って、節分というイベントを楽しんでいる。

ほんの数年前は鬼を演じる俺に泣き喚いてたくせに、今日は楽しんでるふうにいる。それは、ごっこ遊びを理解できるように進歩したとも思えるし、親が親じゃなくて鬼になるとは思わずにごっこ遊びで戯れるようになったとも言えるし、ごっこ遊びを受け入れ合う関係というのは他人行儀な関係になっているんだなぁとも思う。

それを悪いことだとは全く思わないし、寂しいとも思わないんだが、言われてみれば他人という存在を一番初めに知るのは親だったかもなぁとか考える。

一生懸命に親に指図して自分なりの段取りを考えて説明する息子は面白い。自分のやりたいようにやりたいのだ。そのために指示を出すということは、言葉なしには親も思い通りに動いてくれないということを理解していて、それは実に他人行儀だ。そして、それでいい。だって俺はお前じゃないから。言葉で意思疎通を図ろうとするのがもっともだ。どんどん他人になっていくのが嬉しい。一心同体なんてできっこない嘘っぱちは捨てて、信頼し合える他人になりたいな〜と思ってるので、実に嬉しい変化だなーと思った。

とは言え、親なので、聞き分けはいいはずで、外にはコントロールできない有象無象がたくさんあるし、そういうところでの悩みも話せる仲ではいたいなーと思うし、それができるかどうかは未知数だし、仲良くはしてたいんだけど、仲良しでいる必要はないんだよなーみたいな、豆が全然関係ないことを考えていた。

あとは、息子にプランを任せると誰が鬼をやって誰が豆を撒いてばっかりで、「鬼は外」しか言ってなかった気がするので、明日か明後日かに、「福は内」をメインにしたイベントをアンコール開催してもいいかもなーと思った。

俺は北海道の出自なので落花生を投げている。

以上です。

 

『大病院占拠』、大ふざけドラマ

大河も微妙だし今年の冬ドラマは嵐から目が離せないぜ!!

見てる?みんな見てる?大病院占拠。ツッコミどころが無限にあって、本当にすごすぎるんだ。褒めるところがない。あ、ひとつだけあった「news zeroもちゃんとやりながら撮影してえらい」、終わり。いや、これ以外褒めるところマジでないんだって。俺だって褒めてあげたいけど褒めるところが見つからなくて、嫌なところばっか目についちゃうの。そういう、限界育児みたいなことを思わず言ってしまう大ふざけドラマ、大病院占拠。

1年前のとある事件で犯人を過失で殺してしまったことをきっかけに心を病んでしまい、休職を余儀なくされて酒に溺れ情緒不安定なため家族も離れていったどん底の刑事を櫻井翔が演じてるんだけど、そいつがいつもの心療内科に通ってたところを謎の武装集団がでっけえ総合病院まるごと占拠して人質と一緒に立てこもっちゃったんだけど、櫻井翔は病院のなかにこっそり残ってるぞ、奥さんも女医だから人質にされてるぞ、さぁどうする!って話なんだけど、まぁなんか全体的にもさっとしててひでえ~。まだ2話なんだけどツッコミどころの連続でそういう意味では片時たりとも目が離せない。あと、開いた口が塞がらない。目が離せないし開いた口が塞がらない。そんなドラマ。

病院セキュリティしょぼすぎとかプログラミングとかハッキングとかそういうのが万能に扱われすぎとか、まぁそういうのはいいよ、色んなドラマでやってるからいちいち言わんでもいいよ。きりないし。

とりあえず櫻井くんのアクション重たすぎやって。こんな「動けてますよ」的な演出だけど全然動けてないアクションシーン、るろうに剣心福山雅治比古清十郎以来じゃないかな?息子中学生だしそろそろ相撲負けそうになってきたお父さんくらいもっさりした動き。

とりあえず櫻井くん戦闘シーンの経験そんなないしそんながっつり稽古とかもしてないだろうからバトルがしょぼすぎ。だいたいずっと脇腹タックルで距離を詰めてから猫みたいなパンチでボディを打つくらいしかやってない。ほんで、それ絶対立ったまま仕掛けても決まってないやろみたいな肩固めっぽいなにか。甥1にじゃれつく甥2かお前は。

たまに打撃の応酬みたいなのもやろうとするんだけど、もちろん回し蹴りとかもできないから前蹴りしか足技ない。ボクシング出身のK-1選手だってもうちょっとローキックの練習してくるよ。お前はアレか?インファイトを嫌がってひたすら前蹴りで距離を作ろうとするニコラス・ペタスなのか?イグナショフの膝で鼻が曲がったのがトラウマでインファイトを嫌う青い目の侍なのかお前は?

で、それくらいのさのさもそもそとバトルシーンをやってるくせに、脚本上一旦戦闘を切り上げて隠れなくちゃならないから特に登るのに使える足場もないようなところで天井のエアダクトに潜り込んで難を逃れたりする。もちろんそんなアクションできないからカットが変わったと思ったら突然エアダクトの中に櫻井くんが移動してる。これまでのアクション見た感じ、絶対そんな俊敏な動きできないでしょ。忍法でどろんって上いった?忍者?

なんか体とロープで結ばれたストレッチャーを窓から落とされてそれに引っ張られて自分も窓から落ちそうになるのを最後SASUKEのクリフハンガーみたいな突起に捕まって握力だけで堪える嫁さんも大概だし、それで最終的に落ちてった嫁さんを完全にゴムゴムの実を食ってないと間に合わないタイミングで手を掴んで腕力だけで引き上げる櫻井翔も大概。そしてそのまま三階の窓から突き落とされる櫻井翔。気を失ってストレッチャーで搬送されてるところで目を覚ます櫻井翔。正確なセリフ忘れたけど「俺はいったい?」みたいなことを言って自分の現状を確認して「休んでる場合じゃねえ」って立ち上がる櫻井翔。ちょっと記憶飛んでるとかどういう落ち方したの?なんか触れそうなどっかに体のどっかを引っ掛けて少しでも勢い殺すとか、三点着地で少しでも衝撃を散らすとか、そういうことしないで普通に地面に叩きつけられてない?そこどうなってるのかも櫻井翔はアクションできないので端折られてて全くわからないから「やっぱお前普通にピクルに自分の丈夫さを見せつけたいバキみたいに地面に身体叩きつけられてない?だとしたらタフすぎない?」となってしまう。相手の銃弾が全然当たらない、みたいなのはどんなアクション映画でも当たり前のことだから突っ込まないけど無意味に頑丈なのはやめてくれ。

だいたいこの櫻井刑事、同期で上司のソニンいわくめっちゃ優秀らしいんだけど、その片鱗が全く見てとれない。過去の事件のシーンでも「射撃がじょうず」くらいしか読み取れる情報がないんだよ。「射撃がじょうず」「パーカーの上にパーカー着る」しか情報がない。

CGとかも面白すぎる。先述の櫻井くんが3階から落下するシーン、もちろんアクション的なシーンとして撮る気ないから画面の奥(地面)に落下していく櫻井くんを上から撮る構図のシーンがあるんだけど、その背景の地面がテキトーすぎて10階くらいから落ちてるように見える。死ぬって!犯人チームはいろんなところに爆弾仕掛けてるんだけど、特撮ドラマの実際の爆炎がからあげに見えるのはご愛嬌だとしてもCGの爆炎がからあげに見えたらそれはもうからあげなんよ。あとドローンな、自爆型ドローン。爆発するドローンと聞いて、司令部に詰めてる刑事の一人が「自爆型ドローンだ」って言って、写真つきで自爆型ドローンって書いてるメーカーホームページみたいな描写が差し込まれる。自爆型ドローンって商品名なの?市販なの!?その自爆型ドローンももちろんCGなんだけど、櫻井くん狙って突っ込んで避けられたらそのまま遮蔽物にぶつかって爆発して一瞬からあげになった後に消滅するのね。残骸とかなくて。ロックマン?そしてドローンを操縦してる敵、自分で操縦してるドローンのことを「この子たち」って呼んでるんだけど、お前はそれでいいのか、胸に手を当ててよく考えてみてほしい。

2話の終盤ではどうやらこの病院を武装占拠してる人たちの目的は罪の告発らしいことが明らかになるんだけど、ていうことはこの人たちたぶんその罪の被害者の身内の集まりなのかな?だとしたら1話で素人じゃなくて全員特殊な訓練を受けているみたいなこと言ってたの本当か?だいじょぶか?大ずっこけアバランチじゃん。お前そんなさー、仮面で素顔隠してる武装集団の鬼の正体とキャストが毎週明かされるみたいなので引っ張れると思うなよ、あとネットでは1話時点ではファンにバレまくってるから、さぁ一体「誰でしょう」ムードをやり続けられるのもこっちが恥ずかしくて勘弁してくれって。

あとそうだ、スーパーハッカーとかプログラミングでなんかすごいことやって、みたいなのは色んなドラマでやってることだから気にしないって言ったけどさ、動画配信やってる鬼の背景にある絵を見て櫻井くんが解析班に「この絵がなんなのか調べてくれ!」って指示して、それで解析班が「わかりました!これは地獄の絵です!この絵の鬼は獄卒と呼ばれる鬼です!」ってそれは解析班の仕事じゃないから。ググってるだけだから。スーパーコンピューターで暖を取るみたいな無駄遣いやめて~。

 

まぁ、そんなこんなで突っ込み始めるとマジでキリがないんですけど、来週は見るのかって?見るよ!

たぶん最終回が近づいてきたらどっかのWEBサイトでプロデューサーのインタビュー記事なんかが出て「SNSで盛り上がれるような構成や演出はかなり意識してやってます」みたいな言い方をもってネットでいじられまくってるのをさも狙い通りですみたいな言い訳をすると思うのでそれを読んで「こ、このクソガキゃほんまっ・・・!」と思いながらも最後まで見るよ!そこらへんまで全部ひっくるめての大ふざけドラマ『大病院占拠』だと思うので、俺は開いた口が塞がらないまま最後まで見続けるぜ!この、スティーブン・セガールなら自動お湯はりボタンを押してからお風呂が沸き上がるまでのあいだに制圧できそうなこの大占拠事件の行く末を!

 

以上です。

多様性がテーマの子供向けミュージカルが良くてダメだった噺

えー、親は子どもに自分がやりたかったことをやらせようとして、なりたかった自分に育てようとするなんて話はよく聞くところですけれども。

僕にも5歳になる息子がいるんですが、わずか1歳の時から英語教育を始めてまして。

僕自身はいちおう親に大学までは出させてもらってるもんなので受験英語はそれなりの点数が取れるくらいではあるんですが実践英語と言いますか、英会話の方はお恥ずかしい話からっきしでございます。

世の中には、人間の得意な情報の受け取り方考え方みたいなそういう分類をつける適性診断みたいなもんがあるそうでして、視覚優位とか聴力優位とか言語優位みたいな言い方をしてるみたいですが僕はもう聴力が全然ダメなんだろうなっていうのはずっと前からわかってることで、耳から入ってくる情報の処理がとにかくガバガバで全然ダメなんです。たとえば最近イッキ見したアニメ、機動戦士ガンダム水星の魔女ですが、12話まで見ても登場人物のキャラクターをひとつも覚えていない。主人公の赤いたぬき、白いプリンセスヒロイン、ピンクのメッシュ、その弟、氷のやつ、そのそれぞれの親、と、顔はわかるので話はわかるしオッケーのノリでseason1の視聴を終えましてめちゃめちゃ面白いので絶対みんな見たほうがいいですよ。

要するにわたくしは耳が終わってるので聞き慣れない単語は聞き取ることができないし記憶としてインプットすることもできないんですね。なので当然アウトプットの発音もままならなくて、俺が「アップル」というと息子に「お父さん、違う違う、appleやで」と言われてしまう始末です。

それくらい自分ができない英語なので息子はもう少し耳がちゃんと機能して英語に触れられる人間に育ってほしいなと思い、息子には幼い頃から英語教材を与えてですね、訓練に励んでいたわけでございます。

えー、ここまでの説明をする流れで、その前段で英語ができる息子に発音を指摘されるエピソードを挟んでしまうとエクセル関数だったら循環関数ですとエラー表示を吐かれてしまうかもしれませんが、これをお聞きいただいているみなさんはコンピュータではなく人間なので、なんかうまいこと処理しといてください。

しかし親の思った通りに子供が育つだなんて、はなはだ大した思い上がりでございます。それでも自分の今の不遇や体たらくが身に染みていればこそ、我が子の明るい未来のために何かしてやりたくなるのもまこと誰の身にも覚えのある不遜で立派な愛情でございます。今日お話するのはそんな英語教育のなかでのちょっとした一幕です。

あのー、その英語教育の一環で、息子とミュージカル行ったんすよ、ミュージカル。ちょっと俺にはもともとどこの国の方なのかはわからないんですけれども英語ネイティブの役者さんたちが歌って踊る英語ミュージカルみたいな催しが近所であって、それを観に行ったんですよ。

で、その内容というのがいわゆる多様性をテーマにした感じのやつでして。なんか、それぞれに赤とか青とか緑とか黄色とかピンクとかライムとかのキャラ固有のテーマカラーを持つ6人のメインキャラがまず最初にいて、そいつらみんな衣装はそれぞれのテーマカラーに沿ってて、なんか6人で楽しく歌って踊ってるんですよ。で、そいつらがみんなでピクニックに出かけるとなんか一人、知らんやつを見かけて。そいつは衣装がパッチワークみたいなチグハグで靴下の左右の色も違えばベストの左右も色が違うみたいなやつで、こいつを便宜上この後はレインボーと呼びます。このレインボーがやんわり仲間はずれにされるっていう物語なんです。

基本は子供向けのミュージカルなんで、楽しい歌とダンスで進行していくんですけど、いつも端っこの方でレインボーが混ざりたそうにしてる。というか同じ舞台上にいるんだから実質混ざれてて、一緒に踊ってるんですけど、明らかに仲間はずれにされてて。ペア同士で踊るダンスのシーンでも一人だけポツンとされてるみたいな。舞台はずっと楽しく進行していくけど、常にその端っこに居心地悪そうなひとりぼっちのレインボーがいるんです。

でも実はその単色6人組のなかの青だけは二人でレインボーと遊ぶシーンとかも都度都度挟まってて。みんなはレインボーと遊びたくないらしいけど、俺は全然レインボーのこと嫌いじゃないし一緒に遊びたいなーみたいな話が挟まってて。

で、ピークになると、遂に青がレインボーと遊んでるのが、他の仲間にバレるわけですよ。そしてなんとここで、青がめちゃめちゃ他の5人に詰められる。先ほどお話した通り、僕はほとんど英語を聞きとることができない「ああ、これはカステラなんだ」と思った江戸時代の長崎のお侍さんくらい英語を聞き取れないんですけど「ディファレント」は聞き取れましたね。あいつは俺たちとは違う、あいつは俺たちの仲間じゃない。お前はいったいどっちの仲間なんだと青が仲間たちにめちゃめちゃに詰められる。青もレインボーみたいに迫害されちゃうのが怖いからその圧力に屈してしまう。お前なんか仲間じゃない、と半ば言わされて6人の輪に戻って踊り狂う。

しかし、その時言った言葉は青の本当の気持ちではありません。その後、青は一人こっそりとある井戸に訪れます。その井戸は、願いを込めてコインを投げ入れればその願いが叶う不思議な井戸だったのです。レインボーも含めてみんなで仲良くなれるようにと思いこの井戸を訪れた青でしたが、コインを入れようとしたその時うっかり足を滑らせてコインを持ったまま自分ごと井戸に転落してしまいます。

バッシャーンという井戸から聞こえる音を聞いて5人の仲間が駆けつけるもどうすればいいかわからずみんなは大混乱。そこに遅れて駆けつけたのがレインボー。レインボーは青と一緒に遊ぶ時に使っていた七色の縄跳びを井戸に投げ込み、他の色たちと力を合わせて青を井戸から引っ張り上げます。それをキッカケに、単色の青以外の5人は考えを改めます。レインボーはもしかしたら良いやつなのではないのかと。そして、改めて青はレインボーに謝ります。

「あんなこと言ってごめんよ、僕と君は仲間だよ」

他の単色メンバーもレインボーのことを仲間と認めて、最後は単色メンバーたちもお互いの衣装を一部交換しながら複色になってみんなで仲良く歌います。みんな違ってみんないい!人それぞれでいい!多様性最高!みたいな、英語はたぶんそんな難しいこと言ってないけどそういうメッセージを込めて、レインボーをセンターに置いて歌って踊りまくってフィナーレです。

 

いやー、素晴らしい観劇体験でございます。こんなざっくりなネタバレあらすじを聞いただけでもう最高ですよね。そのうえ僕の5歳の息子なんかは、レインボーが仲間はずれにされてる描写が始まったところからはずっとご機嫌ななめで、見るのを拒否するかのようにふにゃふにゃしてて、だけど食い入るように三白眼で舞台を眺めてて、後で聞いたらレインボーが仲間はずれにされてるのに怒ってたそうです。レインボーをよそにみんなで楽しんでるシーンではさっきまでやってた手拍子をやめて固唾を飲むように泣きながら崩れ落ちながら舞台を見守ってたのは、レインボーを仲間はずれにするみんなに怒ってたからだと聞いて、優しいやつだなーと笑えました。そして、レインボーが仲間入りできた後は泣きながら緩やかに手拍子をしていて、体はそこまでハイテンションにならないけどそれでも「よかったよかった」と小さく手拍子する5歳児はめちゃめちゃ面白かったです。そして、英語のわからない僕はここまで語るうえで僕の語彙力の中での判断で「仲間」と言っていましたが、作中では「friend」と言っていました。

 

 

えー、ところでですね、そんな大変感動的な芝居の全ネタバレをしたところで恐縮なんですが、実はわたくしまだ言ってないことがございまして、この多様性をテーマに描いた子供向けのミュージカル、キャスト全員白人だったんですよ。

 

最初に国がわからん英語ネイティブ言うてましたけど、もしかしたら純潔の白人じゃない人もいるのかもしれないけど黒人はいなくてアジア系もたぶんいなくて、とりあえず何が始まるかわからないまま幕が開いた時のパッと見「ホワイトウォッシュっぽいな」と思って、その後見てたら多様性の話に向かっていったので内心そこで笑っていた。

 

おーい!思って。

多様性の話しながら全員白人やんけおーい!思って。

もしここに黒人入れたらカラーの話濁るんかいおーい!思って。

 

あと面白かったのが、レインボーの役の人が、色とか関係なくルッキズム的に他の役者陣に負けてたっていう。単色カラーチームの男性、全員モデル体型なんですけど、レインボーだけ中肉中背で、脚の長さの違いがメジャーなくても分かるくらい一人だけ短いんですよ。

おーい!思って。

お前それ色関係ないやんけおーい!思って。

歌って踊れる中肉中背に「君はレインボーにピッタリだね」言うてたやろおーい!思って。

モデル体型白人をレインボーに当てる構想なかったんかいなおーい!思って。

 

あともうひとつ言うと、井戸から青をレインボーが助けるシーン、アレがなければ仲間になれなかったんかい、てツッコミも僕の中であって。

ワンピースは「オカマだけど良いやつだった」みたいなのがよくあるけど、「え、性格が悪いオカマは差別していいの?」みたいな、そういう問題があるから、限りなく危ういぜ!と思った。でも、この部分に関しては、子供向けのミュージカルなので「仲間はずれにされても、自分がやりたいと思う善性を発揮しよう」ってメッセージだと思うので上段の二項目に比べると、そこまで咎めたい気持ちはない。

 

はい、ここまでで一区切りでこの噺も終わりに向かっておりますけれども、

楽しいミュージカルを見ました。

ツッコミどころがありました。

ただその話をしたかっただけで、ここを直せ、どこが間違ってるのがけしからん、そんな話ではなくて。

わたくしが見たミュージカルはきっと、これからの未来を作る子供たちに今よりずっと優しい世界を作って欲しくて出来上がった作品なんだと信じて疑わないですし、実際にそうなのでしょう。それは親が子供にあーしろこーしろという愛情と何も変わらないでしょうし、そしてその愛情は本当だったとしても言葉足らずだったりお門違いだったりてんで的外れだったりするかもしれません。

みんな好き勝手に受け取れば良い。持ち帰りたいものだけ持ち帰ればいい。捨てたいものは捨てていってほしい。

僕たちはみんな自由を求めているけれど、どうせみんな不自由だから、せめてできるだけ要らないものを手放してほしいと願う。当たり前のように次に繋ごうと思って握っているバトンとかタスキとかを、受け取らないでほしいと思う。

人間はみんな馬鹿なので間違えちゃうことを落語を思い出して、入りだけでも落語っぽくしようと頑張りました。

 

えーと、お後がよろしいようでって英語でなんて言うんでしたっけ?それではみなさん聴いてください、デイアフタートゥモローで、『そして僕にできるコト』。

 

以上です。