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新春初笑い!金属バット友保みたいなロン毛が床屋に来た話

あけましておめでとうございます。

新年早々何も盛らなくていい足さなくていいエピソードがあったのでシェアさせていただきます。あなたの想像力があれば素材だけで楽しめると思います。それではどうぞ。

 

新年一発目の散髪かましたろ思って床屋に行ったんです。もう何年も通ってる気の良い夫婦二人でやってる町の床屋さんです。カットシャンプー髭剃りで2200円です。

「正月帰ったん?」「いや帰ってないすねー」みたいな話をしながら親父さんに髪を切ってもらったあとは奥さんが髭剃りをしてくれます。

それで歯医者みたいに椅子が傾いて泡を塗りたくられて髭剃ってもらってるところに「すいません、ちょっといいですか!」と一人の男性が店の扉を開けました。

金属バット友保くらいロン毛の年齢は30歳前後のスカジャンを着たその男性は言います。

「すいません、ここらへんに産経新聞の配達所ないですか!?」

親父さんは答えます。

「あ、向かいにあったけど潰れたんか移転かわからんけどもうないなぁ」

友保みたいなロン毛は言います。

「あーマジっすか、僕引っ越したんすけどぉ、引っ越したんすけどぉ、前の家にずっと新聞届いてるんですけどどうしたらいいですかねぇ?」

床屋に聞くなよと僕は思った。

「でも届いてるってことはやっぱ移転なんやな、どこいったんやろな」

親父さんはめんどくさそうに応対する。

ここで俺の髭剃ってた奥さんが「電話帳どこやったっけ?」とレジ中に向かう。

いや待て待て、人の良い奥さんやから仕方ないけど俺の顔半分泡残ってんねん、なんやねんこの状況、勘弁してくれよと思い僕は歯医者の椅子みたいに寝かされてる状態で言った。

「前の家のポストに連絡寄越せって貼り紙しといたらええんじゃないですか?」

 

「ナイスアイデア!ありがとう!」

そう言うと金属バット友保みたいなロン毛の男は店を去っていった。

 

金属バット友保みたいなロン毛の男が嵐のように過ぎ去っていった。

奥さんが「新聞読むんやね、人は見かけに寄らんねえ」と言い、そのあと親父さんが「髪切らんのかい」と言った。

以上です。

 

 

もうひとつ浮かんでたので「朝5時から待ち伏せしたらええんちゃいます?」があったが、そっちでいくと「ナイスアイデア!ありがとう!」は出てこなかったと思うのでボケ役に回るのを回避した俺はファインプレーだったと思う。

 

それではみなさん、本年もよろしくお願いします。

2022年、暫定賛歌

率直に言って今年はかなりうまくいかない年だった。ここ5年6年の中で考えれば明らかに最悪で、それよりも以前を考えると頑張ってもうまくいかなくて世界に唾を吐き捨てたくなるような時もしょっちゅうだったけど、今年は頑張っても甲斐がなさそうなので頑張る気もいまいち起きなくてなんとかやり過ごすような一年だったので、もしかしたら人生の中でもワースト1位くらいの一年だったかもしれない。来年に明らかに好転する目処も特になく、どうしたもんかな〜と考えてはいる。とは言ってみてはいるものの、別に生活に困っているわけではないし、まあもっと大変な他所様の事情に比べれば全然マシでそんなに悲観するような状況ではないのだろうが、俺の人生くらい俺が勝手に評価してもいいと思うのでそういう意味では最悪だった。のびのびご機嫌にあるいは不機嫌にレーザービームのように元気よく飛び出して生きるのが心情であるが、それがどうにもできない一年だった。

しかし、そんな一年の終わりを迎えて気付いたこととして、意外とそんなにイライラしていない自分の感じだ。自分自身は停滞も停滞で、自慢できることなんかあんまりない一年だったから特に自慢ごとを言うことなく過ごしていたが、それでも友人や知人のグッドなニュースには素直に良かったねと思えるし、誰かがグッドな巡り合いにはしゃいでいるのを見かけると素直にこっちまで嬉しくなっていた。僕は僕以外の人間のことがよくわからないので、もしかしたらみんなにとっては普通なことなのかもしれませんが、自分がうまくいってない時にそんな風に他人のことを思えるというのは、僕にとってすごく新鮮な驚きだったんです。

甲本ヒロトが大好きなんですが、『情熱の薔薇』という歌があって、その歌の一節に「花瓶に水をあげましょう」という詞があります。意外と自分はそれをそのまま受け止めてて、意外とずっとそうできていたのかなーとか考えます。だってそうじゃなければ、花瓶に水をあげないような生き方をしていたら、自分がうまくいってない時に誰かに「よかったね」なんて思えないと思うんですよね。心の優しい人は世の中にたくさんいて、「そんなの当たり前じゃん」と思われるかもしれないし、一方で俺がうまくいってないって知ったら「ざまあみろ」って思う人らもそりゃあたくさんいるだろうとも思うけど、なんかうまくいかなかった一年にこんな話をできる自分にびっくりして、人生捨てたもんじゃないなぁと思っている。

そして、そんな自分に気づいたからせっかくだしブログに書いておくか、となるのも今までずっと花瓶に水をあげてたからできることだと思うので、結局過去の自分偉いぜ!と思うし、そういう自画自賛で終わりながら来年もやっていくぜ!

あんまり実りのない一年だったなぁとは本当に思うし、これがずっと続くのは嫌だなぁとも思うから、どうすっかな〜とも思うんだけど、不思議と絶望してないのは色んな人に「よかったね」って思えたからだ。イチローだって打率3割なんだから、自分にだってこういう年もあるよねと思えるし、ホームランは誰が打ったってテンション上がる。そういう風に考えられるようになってるんだ、あの俺が!言い訳風にそうポジティブに考えておこうと思う。

そんな漠然とした俺の話をしたかっただけなので、俺以外の名前なんかどこにも出てきてこなかったけど、これをここまで読んでいる全ての貴方に途轍もなく感謝をしています。

 

俺は他人に生かされてるし俺の人生は俺のもん。

 

以上です。

 

劇団公演の感想ブログ10年書いてたら、悪い芝居・山崎彬さんと対談しました。

2005年だかに京都で産声をあげて、2023年の1月だかに記念すべき30回目の本公演を下北沢・本多劇場にて行う「悪い芝居」という劇団があります。その30回公演メモリアル企画の一つとして、劇団を主宰する山崎彬さんと対談する機会をいただきましてその書き起こしが公開されました。なんで!?

 

waruishibai.jp

「なんで!?」というところから入ると理由はたぶんきっぱり明快で、たぶんインターネット上で悪い芝居について語ってる文字数がわりかし多い方の人だったからだと思うんですけど、なにせ悪い芝居見るたびに数千字の感想ブログを毎回書くってのをかれこれ10年くらいずっとやってたので「なんで」かはわかるんですけど、そのうえで「だからってなんで!?」としかならないわけですけど、滅多にない機会なのでご挨拶させていただきました。あの、サンドウィッチマン単独ライブで毎回立たされてる人みたいな。

悪い芝居と僕の出会いはかれこれ15年ほど前、僕が役者や脚本演出などの経験を重ねていた学生劇団の卒業公演を不完全燃焼のまま終えてしまった直後でした。もっとすごく作れたはずだ、もっと何かをお客さんに伝えられたはずだ、それが出来なかったとモヤモヤしていた時に当時京都を拠点に活動していた新進気鋭らしい悪い芝居が僕んちの近所の大阪で公演やるらしいってんで観劇して、「今から殴るよ」とわざわざ宣言されてから右ストレートでぶん殴られた。そこにあったのは「僕のやりたかったこと」で同時に「僕にはできなかったこと」でもあって、何よりも「僕が見たかった景色」だった。それ以降、悪い芝居の公演がある度に足を運び、都度殴られて感動し続けていた。もちろん最初に僕が感じたことなんかは僕の若気の思い上がりで、悪い芝居は「僕になんかは想像もできなかったような素晴らしい景色」を見せ続けてくれて、そのまま15年ほどの月日が流れて現在に至る。

「面白いってなんだろう」、人生の命題です。「面白いってなんだろう」、そんなこと本当は考えなくていいのかもしれない。なんで生まれてなんで生きて、なんで今僕はここにいるんだろう。別に面白くなくてもそこそこで十分なはずなのに世界はそれだけではどうも僕たちを許してくれないから、産み落とされた以上は「面白い」を探し求めるより仕方ない。僕はそう考えるけど、世の中の仕組みは全くそうはなっていなくて、堂々巡りのまま、また明日がやってくる。物心ついた時から漠然と考えていたそんな思いをもう手放すしかないのかなと思っていたそんないっときの気の迷いの瞬間に出逢ったのが悪い芝居なのであった。

対談のなかでも話しているが、何より素晴らしいのはこれから悪い芝居を初めて見る人たちは悪い芝居に初めて出会えることだ。「なんだろう、この生」というぼんやりとした不安を伴いながら続く人生に灯火を得られるかもしれないということだ。夜に寝る人、朝に寝る人、土日に休む人不定休の人、さまざまな人生がそれぞれにあろうがみんなそれを365日続けたら平等に誕生日がくるし、生活はどうあれ人生は続いていく。それが良いことか悪いことはよくわからない。わからないことは自分で決めるしかない。

そんな人生の繰り返しに悪い芝居が挟まれば、自分がどっちに駆け出したいか、その方向が少しだけ見えてくる。本当は「かもしれない」まで末尾につけなくちゃあいけないことを勝手に無責任に言いました。

 

そんな悪い芝居の次回公演はこちら。

waruishibai.jp

対談を読んだ人も読んでない人も、興味が湧いた人も半信半疑の人も、15年前の僕みたいに「一回だけ冷やかしでいってやろうかな」の気持ちを大きくできないか胸に手を当ててチャレンジしてほしいなぁと思います。

 

あと、悪い芝居じゃなくてもなんでも、自分の好きな作品や作り手について気が済むまでわーわー騒ぐことって意外とそれって向こうにも伝わってるもんだよ、っていうこともはてなブログを書いてるみなさんに感じてもらえたら嬉しいです。みんな好きなものについていっぱい語ろうぜ!えーと、こういうこと書いといたらはてなブログ運営にピックアップされないかなーって思ってアップ直前の最後の見直しのときに書き足しました。「あ、そうだ!」つって。

 

 

そして以下は、せっかくなので過去にこのブログで書いた悪い芝居過去作についての感想文のリンクもいくつか貼っておきます。もともと悪い芝居をご存知の方で、このブログに初めて来られた方の参考になれば。いや、本当は対談記事からリンク貼ってもらってるのに今見たら一番上の記事がおしっこの話しかしてなかったので今慌ててあつらえました。

実際に公演を観た人に読んでもらったほうがいいのかなと思うのでとりあえず最近のやつを。ほかの感想文も気になる方は、なんかこう、それくらい自分でできるでしょの顔で「検索してみてください」。

 

zuisho.hatenadiary.jp

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以上です。