ちょっと最近インフルエンザをやっていた。しかも最近の感じのお前らがやってるインフルエンザじゃなくて、「ああ、お前もやった?俺もやった?ぜ?」のインフルエンザじゃなくて、もっと昔ながらのインフルエンザ。インフルエンザ・クラシック。とどのつまりタミフルとかリレンザとかあそこらへんの抗インフルエンザ薬を使わないでインフルエンザやってた。縛りプレイ。いやなんか身体ダルいなと思ってとりあえず熱なんか測ったらさ、39.4℃とか言ってさ、真夏の東京並みの気温並の体温が表示されてたからこれもう完全にニュースがよく知らないどこだかの噴水で半裸になってるガキの映像を見せてくるやつじゃんと思って、なんで首都圏が真夏日になるたびに首都圏なんざと縁もゆかりもないこの俺が首都圏のどこだかの半裸のガキを見せられなきゃならねえんだよ糞がって思いながら病院行ったんだけどインフルエンザ陰性だって言うのね。で、こっちとしては素直にそれを信じるしかないからさ、むしろインフルじゃなかったんならよかったーって調子なわけ。だってインフルじゃないなら寝ときゃ治るわけだから。だいたい俺はそもそもちょっとした発熱を気合でサクッと治すのもともと得意なんだよ。代謝が活発だから、ちょっと滋養の良いもん食って、いっぱい着込んで、汗かいてもいいようにタオルケットに包まってそれでいっぱい汗かいて夜中に一回着替えてもう一回寝ついときゃ大体一晩で治るんですよ。ここ10年くらい大体ずっとそうだから今回もそんな感じかなー楽勝かなーと思ったんだけど、これが全然駄目なの。悪寒が半端なくて地力で全く汗がかけないの。インフル検査だけやって「じゃあわからんけど風邪でしょ」って感じですげえ雑に処方された解熱剤は朝夕・食後の一日二回しか飲んじゃいけないんだけど、この薬に頼らない限りもうどうしたって地力では汗をかけないの。全身が寒くてガクガク震えて着込んでも全く意味がなくて左右上下よくわからんなるような状態なわけ。で、もうこれ死ぬってタイミングで解熱剤を飲むの。うるせえよ馬鹿一日2回の貴重なチャンスを馬鹿正直に朝・夕に使ってられるかよ。一番しんどい時まで奥の手は取っておくに決まってるだろうが。ただ食後用の薬だから胃腸が動いてないとうまく消化できないからね、夜中にガクガク震えながら起きて冷蔵庫開けて立ったまんま冷蔵庫の灯りを頼りにヨーグルト食ってヤクルト飲んで、そして薬を飲んで寝るのね。ほとんど狐憑きじゃねえか。それで布団に戻って30分くらい震えてたらやっと少し身体の内側がポカポカしてきたような気がしてね、少しずつ寒気が収まってやっと眠れるんだ。で、2時間後くらいに汗だくで目が覚めて着替えるじゃん。で、寝るんだけど1時間経ったらまたダルくて熱いんだか寒いんだかわからん感じが気持ち悪くて目が覚めるんだよね、ヤバイなーと思いながらうつらうつらしてたらまたそのうち寒気が襲ってくるんだけど、一日二回までの薬をさっき飲んでからまだ4時間とかしか経ってないから、さすがにまだ飲むわけにはいかねえだろと思いながらまたガクガク震えてるのね。これ以上薬飲まずにいると死ぬってなる直前までまた耐え続けるしかないのね。なんだこれ。射程距離5ドットしかないから名古屋撃ち以外選択肢がないインベーダーゲームかよ。もちろんカラーセロファン版な。インベーダーが赤くなるところまで攻めてこないと対応できないんだよ。一歩間違えたら死ぬやつ。おかしいだろ、一日2回までしか飲めない解熱剤が手元にあって、その薬が効くのが一回せいぜい3時間とか4時間で薬が切れたら1時間そこらでまた39℃まで持ち直すとかにゃんこ大戦争に換算すると1億年かかってもクリアできないやつじゃねえか。で、インフルじゃないって一回言われた手前インフルじゃあねえんだなとこっちも信じてるからそのつもりで竹槍でB29が主食のゴリラに挑むくらいのヤケクソ感で養生してるわけだけど、頑張っても良くならない状況が続けば続くほど「いやむしろこれインフルじゃなかったら困るだろ」って感じに俺のなかでなってきて、だってインフルだったら耐えてればそのうち良くなるけどもしこれがインフルじゃなかったらずっとこの調子が死ぬまで続くってことでしょそれはヤバすぎでしょ障害者手帳くれってってなってきて、それで朦朧とした意識のなかでコンビニに行った帰りに玄関のドア開ける手前の外のところに靴脱いでたことに買ってきたゼリー食い終わって薬飲んで寝ようとしたところで気付いて、「やっぱこれ絶対インフルだ」となって(なぜなら7年前にインフルやった時も全く同じことをしたから)重く凍える身体を引きずってもう一回でかい別の病院に行った。そこでもインフルエンザ検査はやっぱり陰性だったのだけれどその後にレントゲン検査をやって血液検査もやって全部トータルで見たら他に異常なところもないので色々考えるに検査引っかかってこないだけでインフルで間違いないやろ、という結論を医者が下した。そんなことってあるんすかーと聞いてみると、結局インフルの検査は鼻の粘膜をギャンっとこすってそこにインフルがあるかいないかを見ているだけであってインフルであっても鼻にインフル菌がついてなかったら陽性にならないのは当たり前、とのことである。例えば俺が右の乳首をこねくり回されて無反応であったとしてもそれは単に俺の右乳首が既に大阪城のプロジェクションマッピングをスタートする起動スイッチに改造されていて痛覚が死んでいるだけに過ぎないかもしれないわけで、右乳首いじくり回されて無反応だったとしても俺がド変態ではないという証明にはならないということらしい。言われてみれば今回、一通りの発熱、倦怠感、関節痛、頭痛、腹痛などなど一通りの人間の毎日を色褪せさせる諸症状ほとんどコンプしてたけど喉鼻は無傷で鼻水とかも全く出てなかった。そっちの方にはインフルがいってないんだなと思えばある程度納得がいく。ここからは余談だが、こういう仕組みのインフルエンザ検査なので、陽性が出た場合はほぼほぼ100%陽性であると判断して差し支えないようだ。つまり大阪城が光り輝いてる時に俺が悶え狂ってたらそれは間違いなく一抹の疑いを差し込む余地もなく俺は変態である。そういうことなので、インフル陽性は間違いなくインフルだがインフル陰性が出てもインフルは引き続き疑って良い、とのことである。これを教えてくれた医者は俺の報告する症状をタイピングでパソコンに打ち込んでいたが「寒気が続々と」と誤変換しており「おっと、ぞくぞく、ぞくぞくが」と言っていたので僕が「まぁ、間違ってはないですけどね」と水を向けると「あながちね」と言っていた。「あながちね」は俺が言うのはええけどお前が言うのはあかんやろ。そんな感じで晴れてインフル認定を受けたはいいがタミフルとかリレンザとかあそこらへんの抗インフルエンザ薬が効くのは発症後約1日くらいだけらしい。なので「まぁ寝てりゃそのうちには治りますよ」というお墨付きをもらって、解熱剤も一日4回まで使用可能な頓服薬にバージョンアップしたに過ぎず、状況は大して良くもなっていない。ともあれこの後も俺とインフルとの戦いは続いていく。これは人類への警告である。近年、そこらへんの抗インフルエンザ薬の登場によってインフルエンザは「人に伝染っちゃうから自宅待機だけども、まぁ症状的にはちょっとダルいくらい」という微妙ポジションに成り下がった。しかし、かつての、本来あるべき姿の、インフルエンザ・クラシックはそんな生っちょろいものではなかったのだ。僕のちょっと恥ずかしい記憶として、小学二年生だかの時にインフルエンザにかかって寝込んでいた時、熱にうなされてぼんやりと目を覚ました時、母が枕元で濡れタオルを絞ってくれていた。僕が時間を尋ねると母は「二時」と答え、それを聞いた僕は「ああ、こんな遅い時間まで看病してくれるだなんてお母さん本当にありがとう」などと思ったものだった。しかし実態として、それは昼の二時だった。別に母は寝ずの看病などサラサラやってなくて、僕が起きる少し前までは『ごきげんよう』を観ていただけだったのだ。しかし、そんな恥ずかしい思い出もこうして久方ぶりにインフルエンザ・クラシックをやってみれば無理からぬ話だとわかる。こんなしんどいもん時間感覚がなくなったって全然仕方ねえわ。初期に殺しにかかれなかったインフルエンザはマジでしんどい。インフルエンザ・クラシックはマジでしんどい。お前らこれゆめゆめ肝に銘じろ。むしろこれへらへらしながら読んでるやつら、次はインフルエンザ・クラシックをプレイしろ。タミフル処方するな。大事なことを思い出せるから。
療養中、身体は熱にうなされながらも流石に延々眠り続けるにも限度がある。Amazonプライムに最近加入したので何か映画でも見ようと思ったがあまり頭を使いたい気分ではない。そういう経緯で私は布団に横たわりながら息も絶え絶えに二代目キャストのドラえもん映画を8本ほど観た。そこでわかったのは、人間は弱っていると母性を受信するアンテナの感度が8~20倍程度向上するということだ。つまり、私はしずかちゃんに圧倒的バブみを感じずにはいられない身体にすっかり調教され尽くされてしまった。もうこうなったら私はしずかちゃんから生まれたい。この文章を書いている私の熱は下がっているのだろうか?もう一度言おう。私はしずかちゃんから生まれたいのだ。以上です。