なんか盛り上がっててブコメとか眺めて「へー」とか言ってたんですけど。まぁまず、「こんな男いる?」ってのは言っても詮無いので置いときましょう。なんか、いるって言ってるんだからいるんでしょ。そういう男が描かれた屏風があって夜な夜な抜け出しては高収入バリキャリ女に罵声を浴びせるので大変困っておるのじゃって将軍様が言ってるんだから「いるんだー」って思ってるんですけど、こうやって書くと実のところいないと思いつつ書いてる揶揄だと思うじゃないですか。実はこれ、そもそも一休も屏風に入ってるっていう世にも的なオチのやつですから。「よし、引き受けてくれるのじゃな一休、では新右衛門、一休を屏風から出してやれ」「ははっ!」つって、そういうスタンド攻撃なんですけど。まぁ人間誰しもたった二つのまなこで世界を無理にでも見渡すしかないわけで見える景色は人それぞれ、その中で見えたものを互いにシェアしていけるといいですねってことだと思うんですね。
それでー、なんか思ったのは、冒頭で挙げたエントリの中では女性の方は対等な関係を望んでいるんだ対等な関係と言っているのだけれど、対等な関係って一体なんじゃらほいみたいなことを思って。じゃあ実際にパートナーとどういう風な結婚生活を送りたいのかみたいな部分に全然触れてないなと思って。そういう具体性を伴わないのなら「対等」って言葉は方便としてしか受け取れずたぶんあんまり意味がないかもなぁと思うんだけどそこらへんは書いてないだけではっきりビジョンがあるのかなぁと疑問には思った。
ひとつ、これからするのはひとつの可能性の話なんですけど、例えばですけど自分より高収入の女に尻込みする男性の中には、もしかすると「結婚生活における家事は収入の低い方がより頑張らなくてはならない」という先入観にとらわれているタイプもいるのかもしれないなぁと思いました。なぜなら、一昔前のお父さん・お母さんの時代は女が家事をやるのが当たり前で、かつ男の方が稼ぐのが当たり前の時代だったからです。そんな時代を見て育ったのでそういう誤解をしてる人の存在はじゅうぶんに想定できるなぁと思った。もちろんそこで収入に関係なく家事は女がやるもんだ、そして俺は男だ、なんなら証拠を見せてやろうふぐりぽろ~んなんて言う男は論外なのでバスタブで転んで洗濯紐を首に引っ掛けて死ねばいいと思うんですけど、そこで「今は女が家事なんて古い時代じゃない!収入の低い方がやるべきなんだ!」っていう「う~ん、20点」くらいの理解に留まる人もいると思うんですよ。もちろんそこで結局男の俺は家事がしたくないので俺は自分より収入が低い女しか相手にしないんだって言っちゃう男はそれはもう喧嘩にうんざりしてその場を立ち去ろうとしたところでバスに撥ねられて死ねばいいと思うんですけど。俺はさっきからなぜ『ファイナル・デスティネーション』の死に方のネタバレを混ぜているんだ。純粋に対等ってのはそういうもん、収入差の分は家庭でより多く頑張って補ってそれで対等なんだと想定していて「げっ、相手の収入が俺の倍、ってことは家事なんか俺が全部やらなきゃいけないじゃん、でもこっちだって収入惨敗してるとは言えフルタイムで働いてるんだから全部は無理だよ。でも向こうがそんだけ稼いでるんじゃ『全部やってくれ』と言われた時に断れないな」とか考える人もたぶん世の中いっぱいおるんやろな~みたいなことは思いました。
仮にこういう考え方の男がいたとして、そいつはたぶんどのみち自分より収入が低い女に対しては「家事くらいやってくれよ」と言うに決まってるのだからクズだ、と考えて切る人はまぁそれはそれでいいと思うんですけど、これって単純に「対等っていうのはそういうことじゃなくて収入に差はあれどお互い仕事を持って頑張ってるってことには変わりないんだから、収入を負い目に感じる必要はなくて、家のことはまた対等に分担できればそれでいいよね、対等なパートナーシップってそういうことだよね」という意識を共有できれば何の問題もないはずですよね。それってそんなに難しいのだろうか。そんな当たり前の大前提すらいちいち共有しなくちゃならねえのかよ糞めんどくせえと思うかもしれませんが、それ結局言わなくてもわかって欲しい察してちゃんと変わりねえだろと思うし、そういう金銭面での負い目みたいなものって男女問わず多少なりとも人間思うところがあるデリケートな部分なわけでじゃあそこのところの意思疎通を図ろうって時に収入多い側が切り出すのが自然でスマートでしょうとは思う。それこそ男女逆で考えれば自然であることはわかりやすいと思う。大体、稼いでる方がそういう話を切り出してくれないといつ後出しで格差を理由に対等の定義をいじるようなこと言い出すかわかったもんじゃないしなぁ。利根川理論だよね、「対等とは言った。ただ、対等とは何かは言ってない」みたいな。
っていうとまた「それはお前がそうしてきたから(古いジェンダー感に乗っかって女を虐げてきたから復讐されると)そう考えるんだろ」とか言われそうだけど、そう言われたら「そうじゃなくって、俺が(男であるという理由もあって)そうしてきたことをあなたもやるべきなんじゃないのと言っている」という話になる。理由はそれぞれ、男であるということだったり、年齢が上ということだったり、それこそ収入がどうとかだったり、色々たくさんあるんですけど、相手が何かしらのものさしで勝手にこっちを推し量って「この人は対等なパートナーシップを築いてくれない人なんじゃないか」って疑われることって実は生きててしょっちゅうじゃないですか。だから我々はそういうときには面倒を厭わず「だいじょうぶですよ、僕は対等な関係を望む人間ですよ」というエクスキューズを第三者に常々発信し続けなくちゃならんわけです。他に良い言い方がないので感じ悪い言い方になりますが「持ってる方」がコストを支払うしかないのです。大きな話から小さな話までなんでもです。たとえば僕はこんなブログを書いているところからも分かる通り、よく口の回る人間ですので、それは僕にとって僕が一番ラクで喋りやすいように喋っているだけなのですが、口下手な人間は勝手に僕に対して「この人は自分の話なんか聞いてくれないんじゃないか」と思う可能性があります。それに対して僕は「聞くに決まってんだろ、いちいち俺が言わなくちゃならんのかそれ」とは思いません、相手が萎縮することもあるだろうなと考え「僕はあなたの話もちゃんと聞きたい人間ですよ」ということを言葉や態度で示せるよう努力します。それをめんどくせえって怠るのは結果的に自分が損をすると考えています。
結局自分が望む望まないに関わらず、相手が「そのカード切られてしまったら勝ち目がねえ」って思ってるカードを自分が持ってしまっているのなら「私はあなたと勝ち負けを競いたいわけではないのでこのカードを怖がらなくてだいじょぶですよ」と言ってやらないと腹を割った話をするのは難しいよねという実のところ男女すら関係ない話です。もちろんそれを手間だと判断して件のエントリの話でいえば年収が自分より下の人間を一律で切るみたいな選択肢は別にそれはそれでいいとは思うんですけど、どうしたってこのカードの持つ持たざるの問題からは別に誰も逃げられやしませんよ。みたいなことを思いました。
しかしなんか、元ネタがそんな感じなので僕も引っ張られて男が女がって言い方になっちゃってますけどやっぱこれって別に男はどうだ女はどうだって話でもなくて、結局恋愛なんてやつぁパートナーと話し合って価値観摺り合わせてオンリーワンな私たちにとってちょうどいい関係作りましょう、そのためには互いの固定観念を確認してアップデートしていくことだって必要だよねって考え方でいくしかねえだろとは思うんですけどね。悪い言い方したらパートナーに関しては育てましょうって態度が正解だと思うんすよ。最初から全部希望通りの願ったり叶ったりの物件なんかないし、いたとしてもそれって十中八九誰かが育てた結果なわけですよ、だからたぶん婚活サイトで優良物件探すなら「前妻と死別」で検索するのが一番手っ取り早いと思うんですけど。そんな検索できるのか知らないけど。ウイスキーでショートして爆発したパソコンのモニターの破片が全身に突き刺さりそのうえタオルを取ろうとしたら包丁が落ちてきたって死因で前の奥さんを亡くしてる男性で検索してそれに引っ掛かった人を狙うのが一番手っ取り早いはずなんですよ。ただ、そんなファイナル・デスティネーションの女の先生みたいな死に方で奥さんに先立たれた人ってめちゃめちゃ希少種で競争率ハンパないだろうし、それならやっぱ育てた方が早いんじゃないのって思ってしまう。炎上して終わっちゃった東村アキコのヒモザイルとかたぶん着地としてそういう話になる予定だったんじゃないかなーと思ってたんだけど、燃えちゃってもったいない。
同じ「うまく関係性を築けない理由」を探すにしても「だから関係性を築かなくていいんだ、私は悪くないんだ」と居直りたくて探してるのか、「ここさえどうにかなれば関係性を築けるんだ」って思いたくて探してるのか自分でわかってんのかなぁって人はザラにいて自分で自覚してそっちを選んでるなら僕はどっちでもいいと思うんだけど、わかってんのかなぁなんてことを恋愛記事なんかにコメントしてる人を見ていてよく思う。件の文章に出てくるようなどうしようもないクズ男もそりゃ世の中なんぼでもおるのは知ってるけど、「男は全員そんな感じ」に帰結するのは本人にとっても不都合が多い結論なのではないかと思うのだけれど。屏風に描かれた餅は取って食えないわけだけど、屏風に描かれた餅をありがたがる人は結構いて、それは屏風として風流だから気に入ってるのかいつか新右衛門さんが餅を屏風から追い出してくれると本気で信じてるのかちょっとよくわかんねえなみたいな、なんかそんな感じ。以上です。