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デジタル一眼レフを買いました

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なんかデジタル一眼レフ買いました。滅多にものを買わない俺からすると糞高い買い物でしたけど、それより安いの買うくらいなら中古で64とポケモンスナップ買ったほうがマシだろくらいの初心者向け全開っぽいやつ買いました。そもそも嫁が欲しがってたんでじゃあ買うかみたいなんが発端でして、僕自身は写真なんて撮るのも撮られるのも全然興味がないですしまともに写真撮ろうとした経験なんて昔友達の家でちょっとやったポケモンスナップくらいです。全然関係ないんですけど「友達を家に呼ぶの全然ウェルカムな奴のゲームやる用の部屋は大体和室」っていうあるあるネタはウケる人にはウケるけどウケない人にはまったくウケません。自分の経験に照らし合わせてその通りだったらウケるしその通りじゃなかったらウケないというあるあるの本質を僕はここに見出しました。

で、せっかく買ったんだし買っちゃったんだしせっかくなら自分でもある程度バシバシ撮れるようになった方がお買い得感があるよなーと思って早速何か撮りに行くべやと新品のカメラを首から引っ掛けてなんだったらフリスビーとかやってる奴がいそうなカメラ持ってウロウロしてても怒られなさそうな公園まで足を伸ばしたんですけれども、まー撮るもんないぞ、ていうことにすぐ気付いて。まず撮ったら怒られそうなものが多過ぎますよね。人とかもう全面的にアウトじゃないですか。俺がもしカメラ向けられたらちょっとなんすかってなるんで恐らく他人もなるであろうと考えると人は勝手に撮っちゃいけない、この寸法で行くと車とか自転車も撮れない。あと、別に撮りたくもない。そうなってくると誰の所有物でもないもん撮るしかなくなってくるわけなんですけれども、花とか撮っても糞つまんないわけですよ。絶対花びらを丁寧に根元からぶっちぎってチューチューした方がまだ楽しい。

それでもう仕方なく別に素晴らしい眺めでもなんでもない風景なんかを延々撮るわけですよ。俺には風景を撮らなくてはならない理由も風景を撮りたい動機もまったくないんですけど他に撮るもんないから仕方なく撮りまくる。次のシリーズにあたるホームレスくん編で主人公のホームレスはこの公園に住んでる設定なんで、僕はあくまで取材で撮ってるだけなんで、別に全然悲しくないですけどあ~この構図ええわ~みたいな顔してしばらくパシャパシャやってるんだけれども内心めちゃめちゃ悲しい。知ってたけどなるべく日ごろ眼を背ける事実の一つとして、何気ない何かしらを愛おしく感じて愛でる心ってのがそもそも自分には欠けているよな、とかそういうことを考え始めるわけです。雲が今なんかすごいいい感じの形をしているとか、花がすごくキレイだとか、雨上がりの匂いが好きだとか、そういう感性が俺には圧倒的に欠けているぞ、なんて悲しい人間なんだ俺はとかなってきて落ち込んでくるんですけどもこの緑に溢れた爽やかな公園でそこそこゴツいカメラぶら下げていい歳した男がうなだれてたらそれちょっと面白過ぎて駄目だぞ、むしろ俺を写真に撮ってくれよ状態になってくるので、なんとか持ちこたえて歯を食いしばりながら犬のうんこ拾えよみたいなことを記載してる看板とかにフォーカスをあわせて僕はシャッターを切り続けてたんですね。この木の枝ぶりとか先輩ホームレスが首を吊るのにピッタリだな、よし撮ろう、みたいな顔をしながら撮ってる内心は最早嫁への恨み節が16ビートです。俺にカメラなんて買い与えやがって、こんなに惨めな気持ちにさせやがって、俺は撮りたいものなんて何もない空っぽの人間だがこのカメラが俺が撮らないことを許さない。妖刀かよ。生き血をすすりたい妖刀に操られる侍のカメラ小僧バージョンが俺かよ、強さを欲するあまり取り込まれた的なやつかよ。

で、いい加減しんどくなってきたんですけれどもこれじゃあいかんと思いなおして、今考えてたようなことを帰って嫁に話してもたぶんあんまりウケないので、ほぼ間違いなく「なんだこいつ」と思われるので、なんとかこの旅をハッピーエンドにして帰らないわけにはいかないぞと思ったのでじゃあ撮りたいもん何かあるかねと今一度自問し直してみたところ詰まるところはやっぱ動くものですよね、となりました。ただね、「じゃーちょっくら写真撮ってくるわ~!」「うん、帰ってきたら見せてね!」みたいなやりとりをしている手前、虫は駄目なんですね。嫁が虫嫌いなんで。僕は虫とか見るの好きなんで、蟻とか撮ってても楽しい可能性あるんですけど、それがそこそこ金出して買ったカメラで撮るべき正解なのかは知りませんけれども、嫁に見せるにはちょっとアレだなぁ、となったので引き続きウロウロしていたところベンチに腰かけてパンの耳をばら撒いてるので結果として鳩だらけのおじさんがいました。それでまぁ、よっしゃ鳩撮ろ、ってなって。一応まぁアレなんでおじさんの所有物ではたぶんないんですけども絵的には完全におじさんの鳩って感じになってるのでおじさんに「すいません、鳩撮っていいですか?」て聞いたら「いいよ」って言うのでバシャバシャ撮ってたんですけど、すぐ気付くんですけど、鳩そこまでかわいくない。かわいくないことはないのかもしれないけど、胸を張って、声を大にして「鳩かわいい」と言い切るには、胸を鳩にして「鳩かわいい」と言い切るにはシラフじゃちょっときつい。思いつきで要らん比喩混ぜましたけどうっひょー鳩かわいいのテンションに持っていくには少々ドーピングがいるぞと僕は自覚しました。家出る前に一本鳩映画観とくべきだった。なんだよ鳩映画って。伝書鳩トレーナーと伝書鳩の友情を描いたドキュメンタリーみたいなの事前に一本観とかないとちょっと鳩撮りまくりたいみたいな感じにはならんぞってなって、おじさんにそこそこにお礼を言ってその場を立ち去りました。

鳩失敗したな~と思いながらまたウロウロし始めたんですけど、ここで僕すごいことに気付いて、鳩のおっさんの許可もらって鳩撮れるんだったら許可もらったら撮らせてもらってもいいんだ、ってことに気付いて。じゃあ犬だ、と思って。で、とりあえず優しそうなラブラドールをつれて歩く優しそうなおじさんが散歩をしていたので「すいません、カメラ練習してるんですけどワンちゃん撮らせてもらっていいですか」とか言って、「ワンちゃん」とか言ったんたぶん生まれて初めてでしたけど。それでちょっと撮って、ただそんな迷惑かけるのもアレなんで「勝手に撮らせてもらうんで、普通に歩いててもらってだいじょぶです!」とか言うんですけど、俺の家からどんどん遠ざかるよね。おじさんと犬はいつもの散歩コースをただ行くだけだから。なので、ある程度パシャパシャしたら「ありがとうございました~」って言って離れて道を戻るんですけど。その後も何人かに「すいません~」つってワンちゃんを撮らせてもらったんですけど、犬はかわいいですし飼い主さんもみんないい人ですしそこそこに楽しかったんですけど、それを繰り返してるうちにやがて自分が人見知りをどうしても克服したい訓練をしているのかただ純粋に写真を撮っているのか分からなくなってきて疲れたので帰りました。

僕もいつかは「お気に入りの一枚です」とか言って自分で撮った写真をブログに上げたり、カメラがきっかけで仲良くなった飼い主さんにキレイに撮れた犬の写真を現像して配れるような、そんな立派な人間になりたいなと思いました。いや、でも実際カメラ好きとか言う人って何撮ってんだろ。普通に教えて欲しいわ。以上です。