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【雑まとめ】出産~ワンオペ育児開始までの合間にお母さんがやっといた方がいいかもしれないこと

こういうツイートを先日しまして。

流れとしましては、まぁ「俺が子供見といてあげるから外出してきなよ」ということが今ならわりと簡単にできるから、今のうちにしておきたいことなぁい?と嫁に尋ねてみるんですけど、嫁さんとしてはかわいいかわいい子供と離れてまで今したいことっていうのがなかなか考えられない、みたいなことを言うわけです。まぁそういうもんなんだろうな、考えられない人に「そんなことはないはずだ考えろ」と言っても仕方ないわけで、じゃあ既にその期間を過ぎた先輩のパパママに、我々の今のフェイズを経た人に、「あの時あれやっときゃよかったな」を聞いてみようと思って、ツイッターで聞いてみたわけでございます。その中で「言われてみれば、それは後々やっときゃよかったと思うかもしれない」って思えるやつがあれば、嫁ちゃん出掛けたらいいじゃない、って話になるわけですね。

喉元すぎればに似てるよね。「子供とずっと一緒にいたいと思ってたけどほんとにずっとおるならやっぱ一人であれやっときゃよかった」と「喉元すぎれば熱さを忘れる」はだいたい一緒だから。

そういうわけで聞いてみたら色んなリプライが寄せられました。なんかそもそもの聞きたいことからはちょっとずれてシンプルな「子供生まれたての親へのアドバイス」とか「新米パパへのアドバイス」とかもありましたが、まぁ聞いたのは俺なのでせっかくなので、ありがたや~ありがたや~とぜんぶ聞きました。

我々夫婦も今から吟味検討するところでどれが参考になったならないとかも未だ無いのでノーカットのノー編集で頂いたリプライ全部コピペしときますね。人それぞれに「なるへそー」も「私はこれ全く思わんなー」もあるかとは思いますが、なんしか自分の頭で考えるのが面倒なときは他人の頭と経験を借りて選択肢を作りましょう。選択肢は多ければ多いほどハッピー、手持ち無沙汰で八方塞がりなときはなおさら。

つまりは僕が頂いたアドバイスのおすそ分けです。検索だかなんだかでここを訪れた、何かしら少しでも似た境遇の誰かの役に立てば何より。「そんなことやってる余裕ないよ」とか「こんなん言われるまでもなくやってるよ」とか全部知らん。全部全部知らん。俺には夢がある。両手じゃ抱えきれない。

では以下本編です。

 

 

これ案外盲点でした。「ぶっつけ本番は大変」という世界の真理を踏まえるとガキなしでのマップ調査は大事だなと思いました。日頃使う場所が「最初失敗した苦い思い出」とワンセットにならないことも大事だな、と思う。

 

 

 

 

@鍵 

寝たい時に寝る!これが全く出来なくなるのしんどいです。そして歯医者などの通院。あとは夫婦関係が良好ならワンオペでも精神的には良いので、その辺の基盤作るとか探るとかすると良いかも。奥様がどの辺がキツくてどのお世話のや家事でストレスを感じるのか把握しておく感じで。

 

 

 「うちにもこれから生まれます!」「子供のツイート読んでると楽しみです!」みたいなことはちょくちょく言われますが、なんだか言われてくすぐったいものですね。僕は実際に生まれるまでおくびにも出さないでいましたが色んな人のツイートを見ては同じようなことを思っていました。

 

これは、僕は知りませんでした。広く知られて欲しい内容ですね。

@鍵

 24時間1人で自由行動にしてもらえたのが個人的に嬉しかったです。あと生後3ヶ月くらいまでは育児でいっぱいいっぱいだと思うので出来るだけ奥様が家事しなくて済むような環境にしておく、とかですかね。もうしてたらすみません。

 

 

 

 

 

 

 

@鍵

余裕があれば問題ナシですが、チンして食べられるものとかはある程度常備しとくといいって聞きました(*'▽'*)

 

 

 

 

 

 

 酒はダメ

 

 

嫁さんと子供のツーショットを撮ってあげようは、なにげにナイスアドバイス度高い。気づかない男は言われないかぎり2億年ずっと気づかない。

 

 

 

 

 

 二人で一緒にビデオ撮影、こっぱずかしいけどせっかくだしやろうかなぁ。

 

 

@鍵

私の場合ワンオペで辛かったのは物言わぬ赤子と2人きりの孤独感だったので、奥様がオタクでしたら、アマゾンプライムやdアニメストアを契約して、24時間好きなときに好きなアニメやドラマ観れるようにするのはいかがでしょう。授乳中には、途中で左右交代して、アニメ1話分がちょうど良いです。

 

と、まぁ、こんな具合になります。まぁ参考にできそうなもののみ参考にしつつ、善意でアドバイスくださったすべての方々に感謝しましょう。ありがたやありがたや。なお、今後もこのエントリを見て頂いた追加のアドバイスについては気が回る範囲で追記していきますのでまだまだ募集中でございます。あなたの思いつき冷やかし半分のアドバイスが誰か未来の新米親のスタートダッシュの一助になりますように。

では最後に、もっとも抽象度の高かったリプライを紹介してお別れです。 

 

 

ありがたやありがたや。以上です。

「しずかちゃんさようなら」感想文

最近、自宅で作業している時に暇なのでせっかく加入してるんだしアマゾンプライムビデオでてきとーな映像をテレビで流しっぱなしにしている。で、ここ何日かはドラえもんのアニメをテキトーに流している。これくらいが一番ラクなのである。字幕の洋画なんて論外だしそもそも2時間映画という縛りがなんだか集中力を要求されているようでよくない。ある程度集中して見てもらう前提で向こうが作っているので本当についていけなくなる。「全然ちゃんと見てなかったけどまーなんとなく面白かったなー」というところまでいけない。その点アニメは良い。なんなとくでもすんなりついていくことができる。つまり、どういうことかというとコムサビートルズ流れてるのと同じノリで最近はドラえもんを流しっぱなしにしている。もうひとつ付け加えるならBGMがビートルズのラーメン屋、小洒落た味付けで「おいしいはおいしいんだけれど俺がラーメンに求めているのはこういうことではない」と俺の中でなりがち。

それで今日もドラえもんをなんとなく流していると何やら不穏なタイトルが突然出てきた。掲題の「しずかちゃんさようなら」がそれだ。これはテキトーに耳だけで追いかけてひみつどうぐトリビアの引き出しを一つ増やす感覚で見るやつじゃないな、ガチのやつだなととっさに理解して俺は膝を正した。

ざっくりとあらすじをネタバレする。興味ある人はAmazonプライムビデオで先に見てみてもいいかもしれない。ただ、ストーリーの概要を知ったところでそこまで視聴に影響を与えるような話でもないのでどちらでも良いかもしれない。むしろ、今から俺はソラで雑にあらすじを書くわけだが、そのテキストのあらすじを読むのと実際の映像を見るのでは随分印象が違うよう気もするので俺が先にあらすじを読んでから映像を見たかったくらいである。とネタバレすると宣言してからダラダラと200字ほど書き連ねたのでそろそろ本当にあらすじます。

ある日、えらく落ち込んだ様子で学校から帰ったのび太。そこでのび太ドラえもんに言い出したのは「僕はもうしずかちゃんと別れる」ということだった。今日も放課後こっぴどく先生に絞られていたのび太、「このままじゃお前はろくな大人になれない」と断言される。のび太はしずかちゃんが大好きだ。しかしこのままいけば僕なんかと一緒になったしずかちゃんはきっと不幸になってしまう。だからもうさようならするしかない、しずかちゃんが好きだからこそしずかちゃんとさようならするしかない。さっそくのび太はしずかちゃんと別れることを目指して行動に移す。まずはしずかちゃんから借りていた本をすべて返して、さようならを伝える。突然の別れの言葉に戸惑い追ってきたしずかちゃんに嫌われようとのび太はしずかちゃんのスカートをめくりしずかちゃんから「嫌い」という言葉を引き出す。その後たまたま出くわした出来杉くんに「しずかちゃんをよろしく頼む」と涙ながらに伝える。その話を出来杉くんから聞き、またジャイアンスネ夫からのび太が先生にこっぴどく怒られていたことも聞いたしずかちゃん、のび太が思い詰めて自死を考えているのではないかと考えのび太の家にやってくる。しずかちゃんに嫌われるうまい手段はないかとのび太に詰め寄られドラえもんが取り出したひみつどうぐは「虫スカン」、その液体を一滴身体に振りかければたちまち周りの人間に不快感を与えられるらしい。のび太は誤ってこの「虫スカン」をまるまる一本自分にふりかけてしまう。のび太から突如立ち上るものすごい不快感。ドラえもんもママも堪らず家から逃げ出してしまう。しずかちゃんものび太の家から流れてくるとんでもない不快感に思わず踵を返そうとする。これでしずかちゃんに嫌われることができた、しずかちゃんさようなら。泣き笑いののび太であったが「虫スカン」の効力は自身でも耐えられるものではなかった。朦朧とした意識のまま倒れ込むのび太。あえぐように「助けて」とつぶやく。そんなのび太の前に現れたのはしずかちゃんの姿だった。のび太の声を聞いたしずかちゃんは一歩前に進むのにも眉をしかめるような不快感と戦いながらのび太のところまで来てくれたのだ。しずかちゃんの肩を借りてなんとか風呂場まで辿り着き「虫スカン」を洗い流してもらったのび太。「僕のこと心配してくれたの?」としずかちゃんに尋ねるとしずかちゃんは大粒の涙を溜めながら「当たり前でしょ、お友達なんだから」と憤って見せる。「だいたいのび太さんは弱虫よ、何よ先生に怒られたくらいで」のび太の無事に胸をなでおろしたしずかちゃんはすごい剣幕で怒り続けた。場面は変わり、一人夕焼けを見ながら黄昏れているのび太のところにドラえもんがやってくる。「しずかちゃんに嫌われるのはまた今度にするよ」「うん、それがいいだろう」と話は終わる。

文字に起こすとわりと詳細に書いてこんな感じになるんですけど、のび太が終始すぐ泣いてたりとか思い詰め方が半端なかったりBGMがエモにがっつり寄せてきてたり、見れる環境にある人は10分足らずの作品なので是非一度見て欲しい。

で、これ、なんなんだろうな。なんか、すごいものを見たなって感覚が残って。いやこれたぶんいろんな言い方はできるんですよ。それこそ「まぁこれ僕の感想じゃなくて、こういう見方もあるんじゃないですかね」みたいな言い方はなんぼでもできるんですよ。のび太は「しずかちゃんが好き」で動いてるのに対してあくまでしずかちゃんは「のび太が好き」ではなくて「当たり前でしょ、お友達なんだから」で動いてるその対比とかね。対比をどう読むかもまぁ色々あるだろうけど。

ただ、あんまり面白かったんで何人かの男友達に見てみろっておすすめしてみたら見終わったら全員チャットツールで聞いてないのに元カノの話始めたけどね。なんか格好つけてコメントするのも逆にダサい?みたいなのがあるよね。ただ、この話が何なのか、のび太は何を考えていたのか、それを書けば書くほど「それのび太じゃなくてお前だよね?」ってなりそうな感じ。ある意味で感想文の本質をのび太が一手に担ってるんだよね。ただ、このいい大人のアラサー男子たちが揃って元カノのことを思い出す、ドラえもんで!?ドラえもんすげえな!!

これ、しずかちゃんの心配をよそに、のび太は死のうとは一切思ってないのね。俺はまぁ惨めかもしれないなりになんとかやってくよ、ただしずかちゃんにそんなことはさせれないって思ってるだけの決断で、死のうなんてさらさら思ってなくてその点ではある意味図々しいやつだとは思うんですよね。ただ、じゃあ、お前、しずかちゃんいなくなってどうすんだ?ってことは傍から見てても思うわけ。とりあえずしずかちゃんのために別れなきゃってのが最優先でその後の自分のことなんか一つも考えてない。実際にも「虫スカン」で死にかけている。それを助けるのは結局しずかちゃん。だからなんだろ、これは俺がそういう男だからそう思うんだろうけど、結局好きだの惚れただのって話になった時に私は私であなたはあなたでっていう区別なんかあるようでなくなってる部分もあって、それはちょっと頭がおかしくなってるってことなんですけど、そこをきっちり区別してるからこそ別れようとするんだという言い方もできる一方でそういうのを越えてつながった気になっているからこそこういう不安への変な対処の仕方が自傷行為的なニュアンスも含めて表れちゃうよね、みたいな。

結局のび太が最後に考えたのはなんだったのか、みたいなことも考えちゃうよね。全部俺だけどね!のび太の考えてることじゃなくて俺の考えてることだけどね!

なんかこう、のび太馬鹿説みたいなものもあっていいけどそれだけじゃないんだよ感は出したいよね。のび太が「しずかちゃんが心配してくれた、えへへ」って気を良くしてそもそもの悩みがどっかいった、みたいな解釈もまぁできるけど、そうじゃないよね、みたいな。まぁしずかちゃんのいい女っぷりというか、惚れ直すよね。のび太には気づいてて欲しいよ、別にこれ相手が誰だったとしても、しずかちゃんはきっと同じように助けたんだろうなっていう、そういうしずかちゃんだってことには絶対のび太もわかったと思うんだ。「虫スカン」を浴びたのが俺じゃなくてもね、ジャイアンでもスネ夫でも出来杉くんでも、ましてのび太でも助けたんだから、別にしずかちゃんは俺が好きなわけじゃなくてそういう優しい女なんだよ、って俺になってんじゃん。「ましてのび太でも助けたんだから」って俺視点じゃん、ただ俺がしずかちゃんに惚れてるっていう作文になってますけどもね、だからしずかちゃんに嫌われるのは生半可なことじゃないってことだと思うんですよね。のび太が気づいたことは。しずかちゃんは誰にでも優しいから、僕がしずかちゃん無しではまっすぐ歩けないくらいに頼りないうちは、無理に離れようとしたって今回みたいにしずかちゃんを心配させちゃってうまくいかないから。まず、しずかちゃんと別れるためにはもっと立派にならなきゃなってのび太は思ったと思うんだ。そして、しずかちゃんと一緒にいたら僕はもっと立派にならなきゃってちゃんと思えるなともやっぱ思ってて。だからしずかちゃんとやっぱずっと一緒にいたいとは思いつつも、自分にしずかちゃんを幸せにできるかはわからないから、いつか別れなきゃならないけど、その時はしずかちゃんに心配かけないで別れられるくらい強くなくちゃいけないからさ、強くなるためには今はまだ一緒にいさせて的な、甘えで先送りなんだけど、その感じね。あとは、これはしずかちゃんとのび太の話じゃないんだけどさ、こういうのび太としずかちゃんの関係を考えるとさ、今はまだ恋人と別れた傷を引きずりながらでも生きてるとしたらさ、そうやって別れることができてるってことはさ、きっとその彼氏彼女と会う前よりはきっと少しは強くなれてるってことなんだよみたいなことを、すべての失恋を引きずってる男女に藤子・F・不二雄は言いたかったんじゃないかなって。俺は思うわけ。ドラえもんで!?いやだからまぁ俺だよね、藤子・F・不二雄関係なく俺だよ、俺が思うわけ。別れることができたってことは、その相手が必要で必要で仕方なかった付き合いたての頃より、きっとみんな強くなってるんだよ。俺はそう思ったの、ドラえもんを見て。ドラえもんで!?マジで!!?? 以上です。

I have a radio.

ツイッターで、ブログ書きたいから、なんか書くお題くれ、って言ってたら、「ラジオについて書いてくれ」ってのがあった。

なので僕とラジオの話をしよう。

大学浪人してた時、勉強する以外死ぬほど暇だったので出会い系をやってたら、年齢でいうと一つ上の女の子と知り合った。地元の糞田舎が死ぬほど嫌だったのでなんの計画性もなく都会に出てきたものの別にいいことなんか一つもなくて、いつも死にたい女の子だった。うっかり風俗に堕ちてしまった、ものすごくありきたりな出会い系にいがちな女の子だった。

僕はその子の死にたさにめっきり当てられて、こんなに他愛もない子が死にたがってるのは良くないと思って彼女に死んでほしくないなと思った。僕にできることは何もないけれど、彼女の生きる活力になればと思って、彼女から送られてくる死にたいメールにあっけらかんと面白おかしく返事をしようと僕はいつも躍起だった。僕は死にたいと思ったことなんか一度もなかった。

僕は良い大学に行くために良い予備校に通う必要があって、だから僕は都会に出ていた。彼女には彼女の論理があって彼女の身体は都会にあった。だから、僕らは必然やがて顔を会わせることとなった。

喫茶店で顔を会わせた彼女はなるほど、死にたそうだった。

たぶんやろうと思えばやれたんだろうなーということは今でもわかるが、それって彼女の死にたい理由をよりくっきりさせることにしかならないだろうし、じゃあ口説いちゃ駄目なら俺はどうすりゃいいんだ。俺は困った。

困りながら、俺は喋った。世の中捨てたもんじゃないよと言いたかった。だけど、それはそのままに言ったところで伝わるわけはないから、俺はただ只管に喋った。喋り続けた。今でも、あんなに喋ったことは、後にも先にもあの時だけだと思う。

彼女はつまらない人だった。こっちがいくら面白いことを言っても「へー」とか「あはは」とか、一つも面白いことなんか返ってこない。期待されたことなんかないんだろうなと思った。だから、僕は彼女の力を借りずに、一人で、ただ彼女を楽しませようと思ってただ喋った。

喫茶店でたぶん4時間くらい喋ってたんじゃないかと思う。僕はあの時、間違いなくおかしくなっていた。意地になっていた。彼女をただ楽しませるために、それ以外の意味が何一つ存在しない場所に、あの喫茶店をそういう無意味なものにしたかった。

小学生の時の話もしたし中学生の時の話もしたし高校生の時の話もしたしおばあちゃんの話もおじさんもおばさんも、全部、話せるだけ話した。僕はただ喋り続けた。

彼女は僕の話にコロコロと笑いながらたびたび言った。

「すごい面白い、伊集院さんみたい」

そりゃそうだ。僕は伊集院光のその話しぶりを真似てずっと喋っていた。

彼女と僕との数少ない共通点は月曜深夜の伊集院光のラジオを熱心に聴いているということだった。

伊集院光のその深夜ラジオは、ただ一人でただ喋る。笑い声を添えるだけの放送作家はいるものの、喋るのは伊集院光ただ一人。

彼女がそれを面白く聴いているのは僕も知っていて、僕もそれを面白く聴いていたので、僕は彼女を楽しませるために伊集院光の真似をすることに全神経を集中した。

話す内容はもちろん僕の話だ。僕にあったおもしろエピソード、僕に話せるのはそれだけだ。それを、伊集院光のやり方で喋ろうとする。もちろん今までそんなの試したこと一度もない。ひとりっきりで、なんの援護もない中で喋り続けるなんてその時までやったことなかった。

彼女は本当にそれを喜んでくれた。

「本当に面白い、伊集院さんみたい、お金とれるよ」

とか、そんなつまらないことを言ってくれた。

俺はだって伊集院さん以外に一人で喋り続ける方法を知らなかったからそうしただけで、伊集院さんを真似てる自覚はバリバリにあったのだけど、「そんなに似てる?普通に喋ってるだけなんだけど」なんて言っていた。「やっぱ聴いていたら似ちゃうのかな」とか言っていた。僕は、僕一人の力で誰かの時間を楽しい時間にするだなんて伊集院光のやり方以外に知らなかった。それがどれぼど不細工でも、僕にはそうするしかなかった。

やれるやれないの話で言えばたぶんやれたんだけど、僕はやろうとはせずにさんざん「面白く喋る人」をやって、彼女と別れた。彼女は「こんなに笑ったの初めて」と言った。それが嘘か本当か考えることを僕はずっとやめている。

それから彼女はしばらくして死んだらしいが、彼女が死んだことを、ちょっと出会い系で知り合って付き合ったわけでもやったわけでもない僕が、彼女が死んだことを知れたのはまぁ幸運なのかもしれない。

僕にとってのラジオが何なのかと言われるとよくわからない。思い出すのはこの話ばかりだ。俺はラジオのお陰で人を笑わせることができた。ただ、その瞬間を笑っていさせただけで、その後のことをどうこうはできなかった。

向こうからしたらまったくの他人事で全部お世辞で、俺の話はすげえつまらなくてうざいだけだったかもしれないか。今でもたまにそう思う。思えば思うほどそれは確信に変わりそうだ。

それでも俺は、あの時のことを思うと後悔しきりなのだ。あともう少しだけ俺が面白ければ。本当にそう思ってしまう。

 

そこらへんの話からずっと向こうの未来の話、いつだったか伊集院光デビット・リンチの絵をなんとなく気に入って買おうとしたらその絵のタイトルが「I have a radio」だったのでえらく興奮したみたいな話を、ラジオという仕事にえらく熱心な伊集院光が熱っぽくかつおもしろおかしく語っていて、僕はその話を爆笑しながら聴いていて、同時になんだか泣いていた。