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今朝、「人の意識に働きかける身体」というやつを電車でたまたまかなりナマに体感したので書く

僕毎朝通勤中の電車で寝てるんですけど、それはもう全力で寝るんですけど、歯磨き粉使い切ったら最後に一回チューブを真ん中から切って歯ブラシをガシガシと突っ込んで最後の残り粉をかき集めるじゃないですか。あれに近い感じで、最後のわずかな自由時間を全力で睡眠にあてるべくすんごい勢いで僕は電車で寝るんですけど、今日どっひゃーって感じで目が覚める出来事があったのでご報告させて頂きます。

もともと眠りは深いというか放っておくとかなりの間寝ている僕なのですが、僕はその特性を損ねることのないまま乗り換え駅ではビタッと目を覚ましそれまではもう僕の身体を薄皮一枚の春が覆ってるんじゃないかってくらいの実に暁覚えない春眠をむさぼる技能を獲得しているんですけど、もう多少の雑音や衝撃なんぞものともせず乗り換え駅までの時間を眠りこけるんですけど、今日なんか横の人の肘がツンって当たった瞬間に僕の脳は警報をがなり鳴らし「あかん、乗り過ごした!」と瞬時に覚醒してどっひゃーってなりました。電車のシートだから良かったものの新婚さんいらっしゃいの不安定な椅子だったら間違いなくズッコケ落ちてたと思われる勢いでどっひゃーとなったんです。確認すると全然乗り換え駅の手前で全然乗り過ごしてませんでした。

繰り返しますが本来僕の睡眠はとっても強固です。ちょっと小突かれようが足を蹴られようがそんなん知ったこっちゃなく眠り続けます。もし気を取られて目を覚ましたとしても2秒以内で睡眠に立ち返ります。そんな僕なのにどういうわけか今日に限ってちょっと隣の人の肘が触れただけで完全に目が覚めてしまったのです。これはどういうことじゃと思ったわけですが、間もなくして僕は取り急ぎの答えを手に入れました。

よくよく見ると僕の斜め向かい、つまり僕に肘を当てた人の向かいに、初老のおじいちゃんがいるんですけど、その人がなんだか珍妙な動作をしているんですね。それは手話でした。恐らくそのおじいちゃんは聾唖の方だったわけです。で、おじいちゃんが手話で何かやってるんですけど、それを伝えたい相手っていうのが、僕の横に座っていた僕に肘をこつんと当てたおばあちゃんだったんですね。そしておばあちゃんももちろんそんなじいさんに手話でなんか言ってるわけです。あーなるほどなーと思って。今日僕にちょんと当たった肘はいつものただ無作為な動作の結果たまたま当たった肘とはわけが違ったんだな、今日あたった肘は手話を繰り出す過程で当たった肘だったわけか、と。人の意識に働きかける目的で繰り出された動作をしていた肘なので、僕の身体は「起こされた」と勘違いしたんだなーみたいな。

人に伝えやすい身体の在り方というものはやっぱりあって、それを僕らが頭でどんだけ理解できているのかはさておき、僕や貴方の身体はそんなニュアンスも勝手に感じ取りながら生きてんだなー、と。

まぁぶっちゃけ結果論というか、「なぜか起きた」「なぜ起きたか」にとりあえず僕の中で納得のいく解釈ができた、それだけの話と言えばそれだけの話なんですけど、すげーなるほど感がある貴重な体験でした。