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オシャレコンプレックス糞野郎は服屋の店員が怖い

僕は自分でもなんでか分からんくらい交通事故をやたらに怖がる人間で「きっとお前の前世は車に撥ねられて死んだ犬だね」なんて、からかわれたことがあるくらいなんだけど、思うんだけど俺たぶんその時、蝶ネクタイしてたんじゃねえかなと思うんです。俺の前世たぶん、蝶ネクタイにつば広帽で散歩してる時に車に撥ねられたフレンチブルドッグなんじゃねえかな。完全にジバニャンのライバルに名乗りを上げられる設定なんですけど。

というわけで、俺は交通事故と同じくらいオシャレが怖ぇ。そう、掲題のとおり今回はこのブログで定期的に繰り返されるオシャレコンプレックスの話題です。だって、オシャレコンプレックスで寄稿*1までしてるからねズイショさん。なんだよそれ。

もうオシャレが怖くて怖くて何を着てても似合ってるのか似合ってないのか全然わからねえから、もはや喪に服しときたいよねずっと。そしたらずっと喪服着てりゃいいわけじゃん。喪服着て「いや、オシャレとかそんなのとんでもないですから、俺は全力で服しにかかってますから喪に。喪に服しっぱですから。全服しですから。服しに服したり、喪!」って顔しときゃ一生穏やかな心で過ごせるんじゃねえかなと思うんですけど、やまない雨はないんだ!明けない喪はないんだ!という事でね、そうもいかねえですからちゃんと服を着て普段生きてるんですね。で、その服は買わないと無いですから、本当は自分で作れりゃいいんだけど俺なんか雑巾縫うくらいしかできないですからいいんですよ別に?俺みたいなオシャレできない糞ダサいカスは雑巾でも着とけってみなさんが思う気持ちはわかりますよ?俺だってそう思いますけどたぶん雑巾着て外なんか歩いてたら捕まっちゃいますから。それじゃ意味がない。俺は捕まらないためだけに服を着てますからね、オシャレをしたいわけじゃないから、服着てないと歩いてるだけで捕まるから仕方なくやむを得ず着たくもない服を着て行き交う人々にどうせダサいなとか思われてんだろ、それでも背を丸めながらも健気に生きてるわけですから、そこまでして何か着てるのに捕まっちゃ意味がないんだよ。だから自分で雑巾縫って着るんじゃなしに、洋服屋さんに服を買いに行くわけ。ここまでが前提ね。

で、また、それで仕方なく行ったオシャレ服屋の店員さんがさ、オシャレでまた怖ぇんだ……。

着こなせてる人間が近づいてきたらもうそれだけでこっちは刺されると思って身構えちゃうから、あの全く人間に懐こうとしない野良犬の感じ、かわいそうにこれまでよっぽど人間たちにひどい目に合わされてきたんだな……の感じになりますから。わかってるんだよ、刺すわけないんですよオシャレな店員さんが。当たり前だろ。ただもうオシャレさがすごいから、オシャレすぎてこの人に比べたら結局俺が今着てるのなんてほとんど雑巾じゃねえかって気分になってきたらもうダメで、「やばい刺される!」じゃないんですよ、正確には「こんなオシャレな人に刺されても俺きっと救急車も警察も呼べずに泣いて逃げるな。だって俺オシャレじゃなくてこの人オシャレなんだもん。救急車で駆けつけてくれた人もこんなオシャレなお店で俺が倒れてたらオシャレじゃないダサい雑巾着た人が倒れてるって思うだろうし、現場に到着した警察官もなるほどこれはオシャレじゃないダサい人がオシャレな人に刺された事件だなって絶対思うじゃん。俺どんだけ色んな人にオシャレじゃないって思われなきゃいけないの?そんなのってないよ。だから俺は刺されても通報しないで泣いて走って逃げる。そして誰の目にもつかない日の当たらない路地裏で血だまりに伏せて一人死ぬしかない」と瞬時に考えてつい身構えちゃうんですよ。ジャケット羽織ってカジュアルなネクタイなんかしちゃってさ、それでズボンはちょっと丈が短くてスネ毛まで見せてるみたいな奴に話しかけられようものならもう裸足で逃げ出しますよ。靴と靴下は店に置いて裸足で逃げ出すほかないですよ。で、あれだろ?俺のダサい靴、ダサい靴下なんてオシャレな人は触りたくもないだろうから、あの美容院の床に落ちた髪をモップで一箇所に集めるシステム的な感じで、直接触れることなく撤去して捨てられるんでしょ?俺みたいなダサい奴に買われたばっかりにごめんな、靴と靴下。だいたいこの文章書いてる最中も「あれ、ズボンって言い方ダサい?オシャレな人はズボンのことなんて呼ぶの?」って思ってグーグルに「ズボン オシャレな呼称」って入力しようか迷ってる時点で俺はなんてダメなやつなんだと思ってバキバキに体力削られてるからね。もう既に気持ちがだいぶ折れてるからもし目の前に湖があったら入水しててもおかしくないくらいにやられてますから、だから俺オシャレな話は絶対に水辺ではしないって決めてるのね。

で、店員が怖いんですよ。話しかけないで欲しいんですよ。だからもう田舎の野菜みたいに無人の服屋作ってくれよって思うんですけど、なかなか無いんですね。絶対お金とかちゃんと払うから、なんなら入店前にお金払わず持ち出そうとしたら即射殺で問題ございません鉛玉でも毒矢でもレーザーでも僕が了解したことなんで一切遺族に文句も言わせませんいくらでも風穴を開けてくださいって一筆書いてもいいから頼むからそっとしておいてくれって思うんでけど、現状店には必ず店員がいて話しかけてくるんですね。「試着ももし良かったら」みたいなこと言ってくるわけですけど今更そんなこと言われても俺にはもう「どんな顔で袖を通すのかせいぜい見物させてもらうぜ」みたいな風にしか聞こえないわけで、何が今更か向こうからすると全然意味わからんとは思うんですけど完全にこっち都合なのは分かってますけど兎に角俺はそっとしておいてほしいんですよ。頼むよ。で、そんな調子でもともと店員さんはずっと怖かったわけですけど、最近もう一つ気付いたことがあってそういう店員さんの中でも特に俺をダウナーな気持ちにさせる店員さんの傾向があるってことに気付いて、それが、気が弱そうな男性の店員さん。イメージとしては百貨店とかに入ってるメンズの専門店の店員全員超オシャレに着こなしてるようなお店の、気の弱そうな店員さん。

わかります? 店員さんにも二種類いるじゃないですか、すげえ堂々とした感じの「安心してください履いてますよ」のノリで「試着もいけますよ」って言ってくるタイプの人、これはまだイケるんですよ怖いけど。意味がわかるんで。オシャレをしてる人間は偉い。雑巾を着てる俺は終わってる。だから彼は堂々としているし俺は幽霊みたいな表情をしている。これは意味がわかるし整合性が取れてるのでいいんですけど、たまに「あ、あの、試着とかもあの、いけるんで言ってくださいね」みたいなちょっとナヨッとした感じの店員さんもいるじゃないですか。確認しときますけどこれ別にそういう店員さんがダメだって話じゃないですからね、ここまで読んでたらわかるでしょうけどダメなのはどう考えても俺だろ。前世のカルマを背負った俺がどうかしてるだけでそういう店員さんが悪いことは何一つないし、むしろそういう店員さんの方がやりやすいって人もいるんでしょうけど、俺に限って言えば、お前はオシャレなんだから堂々としていてくれよって思うんですよ。文句じゃないんですよ、むしろ懇願に近い。この苦行の果てに希望はないのかと思うわけですよ。お前はオシャレなのになんでそんなナヨッとしているんだ、じゃあ雑巾着てる俺はなんなんだよ。雑巾着て、頑張って俺ここまで来たんだよ。オシャレな服が買えれば、俺でも、……こんな俺でも少しは変われるかなって。そうすることが俺の半身でもあるフレンチブルへの弔いになるんじゃねえかなと思って……、俺、頑張ってここまで来たんだ。でも、オシャレなお前がそんな感じってことは俺は結局変われないってことなのかもな? ……笑っちまうよなぁ、もう俺来年30だぜ? 中学の時からのオシャレコンプレックス、まーだ引き摺ってるとは思わなかったよ。でもこれからもずっとそうなのかな。……何年経とうが、何を着ようが、俺のこのこじらせてる感じ、ずっとこのままってことなのかな? 書いてたら、本当にそんな気がしてきたよ。……なぁ! 違うって言ってくれよ! そんなことないって、オシャレ頑張れば自信持てるんだって、俺の目を見て言ってくれよ、だから! オシャレなお前がそんな顔してんじゃねえよ!!

って思うから、気の弱そうなオシャレな店員さん、ほんと辛い気持ちになる。性格は人それぞれだから仕方ないんだけど、なんか俺もう辛くなってダメなんだあれ。あ、サトリだと思えばいいかな、この、ここまでの3500字くらいの感じのことをグルグルグルグル頭の中で考えて考えて考えすぎてゲボ吐きそうな客がやってきて、店員がサトリだったらそりゃ恐る恐る話しかけるしかないわ。むしろ話しかけるだけですごい勇気だわ。よく考えたらサトリじゃなくても幽霊みたいな顔は本当にしてるから。恐る恐る話しかける気持ちはよく考えたらわかるわ。じゃあ仕方ねえか。いや、そっとしといてくれよ。そっとしといてくれよ。以上です。