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みんなでサンタクロースをやっている

あのー、毎年のことなんですけどクリスマスってクソだなと本当に思うんですね。

僕は中古を中心としたコンシューマゲームやカードゲームを取り扱う販売店に勤めてるわけですけど、みんな人生はあるでしょうねそりゃ。みんな大事に過ごしたい日なんでしょうね、クリスマスなんて日は。でも店を閉めるわけにはいかない。誰かがシフトに入らなくてはいけない。入りましたよ僕は、シフトに。なくはないよ、予定は無くはないよ、仕事を終えたら彼女が待ってる同棲中の家に帰って、二人でケーキを食うんだよ。そのあとセックス。そういうもんだろ、人生ってやつは。

けれど、俺の務めるこの店の閉店時間は23時。働いて働いて働いて働いてじゃねーんだよ、うるせーよバーカ!時給上げろよ、深夜手当とかじゃなくて根本的に上げろよこの馬鹿!

だいたいこんなクリスマスイブに客が来るわけねえんだから。店なんか閉めちゃえばいいんだよ。でも開ける。資本主義な〜!!

そんな思いを胸に陰々鬱々と働いてたら閉店間際におっさんが一人やってきてさ、「すいません、無いとは思うんですが、ポケピースってありますか?」と聞いてくる。POSを叩いて確認して「すいません、取り扱いないですね、今だとカービーシリーズの人形とかはあるんですけど、ポケピースはないです」。ポケピースとは、なんかシルバニアファミリーみたいなサイズのポケモンキャラの人形だ。そんなものはこの店にはない。なぜならこの店はゲームでアイデンティティを保とうとする豪の者の溜まり場で、そんなかわいいとかそういうのは別にどうでもいいのだ。

おっさんは残念そうに言う。「amiiboはどうですかね?」。

無い。無いんだよそんなものは。

おっさんは続けて言う。

ポケモンカード、スターターデッキはありますか?」

それはある。あるけどうちの店のメインコンテンツではない。うちはどちらかというと、有能なレアカードを高額で売るのが基本のそういうタイプの店だ。スターターデッキを買いたいやつはヤマダ電機とかJoshinとかそういう店に行ってくれ。俺たちはそうじゃないところで勝負してるんだ。

続けておっさんは言う。

「なんでしたっけ?ダメージカウンター?ダメージコイン?そういうの別売りでしたっけ?」

仕事なので仕方なく確認する。「あ、入ってますね!ダメージ確認できるからこれだけで遊べますよ!」

おっさんは寂しそうに笑いながら

「ありがとうございます、じゃあコライドンデッキとミライドンデッキ一つずつ購入します。これさえあれば明日、息子と二人でポケモンカードで遊べますかね」と言った。

それは知らない。全然知らないし全然お前ら次第。俺は早く帰りたいし彼女とケーキ食ってセックスしたい。それ以上でもそれ以下でもない。

会計を済ましたおじさんは「ありがとうございます、この時間ではもう開いてる店もなくてどうしようもないと思っていたので、本当に助かりました。ありがとうございます。」と言い残して去っていった。

僕はこのまま家に帰ってケーキを食ってセックスをするのだろう。しかし、子供に何買ってあげたら喜ぶだろうか全く想像ついてないノリの癖にポケモンにはやたら詳しいおじさんとのやりとりを思い出すと、寒空の下、俺もあのおじさんもサンタクロースをやってたんじゃないかなと思う。ケーキを食べる。セックスをする。誰かを大事にする。誰かと過ごす時間を大事にする。僕たちはひとりひとりではサンタクロースになれませんが、みんなでサンタクロースのようなものがいて当たり前の世界を作れると、僕は信じています。

 

※この文章はクリスマスイブの夕方に小学2年生の息子が「サンタに手紙を書く」と突然言い出してポケモン熱冷めてきて今はマリオとかサンリオとかの方が好きだなと油断してプレゼントを準備していたら「サンタさん、ポケモンのグッズを今年もよろしくお願いします」と書かれてどうするべきかと頭を抱えた父親筆者の実体験をもとにしていますが店員視点から書いた方が絶対面白いかなと思った結果こうなった完全な創作です。面倒見てくれた店員さん、本当にありがとうございました。迷惑かもしれませんがあなたの淡白な笑顔を一生忘れません。

 

以上です。