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「風立ちぬ」はいい映画でした

映画「風立ちぬ」を見ました。僕はこの映画を見て心を強く揺さぶられたり痛く感動させられたりなどということは特になく、この映画のことをいつまで覚えているのか、今後また見ることがあるのかもよくわかりません。そういうわけなので自分の持つ限りの言葉を尽くしてこの映画のすばらしさについて述べたり、ましてやこの映画を見ることを人に勧めようだなんてことは全くする気がありません。ただこの映画はいい映画でたぶん宮崎駿という人にとって一番いい映画なのだなと思いました。

別に取り立てていちいち口にするほどではない当たり前のことになるのですが、僕や貴方やみんなは生きている限りにやりたいことかやらなくてはならないことか或いはやりたくないことやらなくてもいいことの何れかをやって時間を潰し季節を何周も何周も見送っていくほかありません。そしてそれは「今」、或いは「その時代」が与えてくれる選択肢の中から選ばざるをえませんし、今も昔もそしてこれからも私たちはずっとそうしていくのでしょう。そんな当たり前のことを僕はこの映画を見ていてふと思ったのですが、それは僕が自ずから思ったような感覚で不思議と「そんなこと今更わざわざお前に言われなくたってわかってるんだよ」とは思いませんでした。悪くない気分でした。

日々の中で「必然」と「たまたま」の区別が非常に難しいケースというものが時たまありますが、そもそもそんなもの区別する術など本当のところ僕たちが持ち合わせているはずもなく、僕や貴方にとってそれを区別する必要がある場合にのみ僕らはそれを必然と思うことにするかたまたまと思うことにするかを選択しているにすぎないのではないか。僕はそんなことも思いました。この映画は震災や戦争が出てきたり日本でも指折りの何なのかよくわからない人が主役の声を当てていたり、考えなくてはならないことがたくさんあるように思えます。しかし実際のところ、それは宮崎駿という人が彼自身にとって最高の映画を作ろうとしたら何となくそうなっただけにも思えます。何となくそうなったのが「必然」なのか「たまたま」なのか、それすらも少なくとも僕にとっては区別する必要のないどうでもいいことでした。とてもいい映画だったと思います。以上です。