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M-1グランプリ2015雑感

さて、そういうわけで5年ぶりの開催となりましたM-1グランプリ2015、とりあえず結論から言うとめちゃめちゃ楽しかったですねぇ。あんだけコロコロ笑い続けてられるのってちょっと尋常じゃない、テレビ如きの分際でどう考えたって非日常の域に足を踏み込んでいる。無料でこんなに笑えるなんてお得すぎるだろってくらい笑えました。最高だった。2001年の開幕から一旦幕を下ろす2010年までは年々右肩上がりに面白くなっていくイメージがあったんですが(だからこそ、ピークを越えた感がある2009年を経て2010年での閉幕となったのでしょう)、復活した2015は来年以降これより面白くなるのかって心配なくらい面白かった。そのこと自体が僕はめちゃめちゃ嬉しかった。

M-1が始まった当時っていうのは既に言うまでもなくお笑いブームだったんですけど、それは同時に「テレビにおけるお笑いとは何なのか?」っていう価値観の綱引きが行われていた時期だったわけで、そして当時テレビにあるべきとされる笑いというのはある勢力にだいぶ偏ってそっちに引っ張られててバランスが危うい時期でもあったと思う。そこでその勢力を打ち倒すためではなくあくまでバランスを取るための別の勢力として、そういう風に明らかに必要とされてM-1というものは産声を上げたのだったなと改めて思った。それから10年が経って「ひとまずの役割を終えた」みたいなノリで終了となったわけですけど、その判断自体も賢明で復活もまた必然だったのだなと思えた。

危惧してたのは、もちろん時代が違うのであの時とはまた違った過程になるのだとしても2001年から積み上げていったM-1の形を、また今年からもう一度積み上げていくような形になるのであればそれはちょっとしんどいなと思っていた。しかしそれは全くの杞憂で、それまでの10年間の開催と5年間の空白の明らかな延長線上にM-1グランプリ2015は立っていた。終了した5年前と比べてもより一層の成熟を見せてくれた。それはM-1が提示したお笑いの価値が一旦終了した後も芸人たちの生きる文脈の中で息づき続けていたということに他ならない。そのことが嬉しかった(というこのコメントも、熱心に芸人のネタを日頃追いかけているわけでもなくこういう機会にテレビで漫才を楽しむ程度のにわかだからこそ出てくる性質のコメントであることも自覚しているので、若干の申し訳なさを感じながらも)。

そういうわけでM-1グランプリ2015、本当に素晴らしかったと思う。しかし先にもちらっと述べたようにM-1グランプリ2016が更に良いものになるかは若干疑わしいなとも思う。もちろん「やめとけやめとけ」とは言わないし、今後も毎年とまでは言わないまでも(一旦終了にも意味があったとも思ってるので)末永く楽しみにしたいと思う。であればこそ、省みるところは省みなくてはならないと思うので、なんかそこらへんも考えつつ徒然と感想を書きます。

とりあえず優勝がトレンディエンジェルみたいな展開は今年を最後にしましょう。ここまで読んだところで「出たよ、最初褒めそやしておきながら結局お前が言いたいのはそこか」と思う方もおられるかもしれませんが、そうです、俺はトレンディエンジェルの優勝を全然どうかと思っている。「M-1」が提示するお笑いの価値を信奉して切磋琢磨する芸人たちはずっと息吹いてたんだ、だからこそM-1グランプリ2015はこんなにも面白かった。ファイナリスト全員とても楽しませてくれた。だからこそ、トレンディエンジェルをこんな風に優勝させてしまうと、こんなに面白い漫才を芸人たちに作らせた「M-1」が提示するお笑いの価値自体も揺らいでしまうんじゃねえかと心配になるのです。何もトレンディエンジェルが優勝すんのはおかしいとか納得いかねえとか不服だとまで言う気はない、今回の流れでトレンディエンジェルが優勝するのはある種の必然だったと思う。ただ、来年以降はああいう流れでの優勝が必然にならないような仕組みに作り替えていかなきゃダメだろうって話です。

まず以前からもよく言われていた「後半であればあるほど有利だろ」みたいな話なんですが、これが最高に顕著な大会だったよなってのは言うまでもないところ。原因は色々あるんだろうけど、ひとつ気になったというか「難しいんだけどなんとかしなきゃダメだろこれ」と思ったのは、審査員が歴代優勝者というところでバラエティ番組における第一線のプレイヤー大集合みたいな感じになってるじゃないですか。あいつら、審査後のコメントできっちり笑い取りすぎて、ちょっと会場温めすぎじゃない? もちろん以前の大会でも審査員がちょっとした小ボケをかましたりなんてのは普通にしてましたけど、あんまり面白くなりすぎないようにというか、重たすぎる客席の緊張感を解す程度に収まってたように思うんですけど、今大会はみんなちゃんと盛り上げすぎでしょう。これは別に審査員がもっとうまくやれって話じゃなくて、彼らがあの場に立たされたらそりゃそうするより他ないでしょうってところでジレンマみたいなものなんだと思う。しかしその結果として、尻上がりにお客さんの反応が良くなっていって、「後半であればあるほど有利」の加速度がハンパなかったような気がする。

そして、これも審査員ががらっと変わった一発目だから仕方ないってのと、順番が順番だったのも仕方ないってところだと思うんですが、「結局ウケてる奴らを評価するしかない」ってのを判断基準にするのなら最初っから最初までその判断基準でいかなくちゃならんと思うし、一番面白いネタをやった奴が一番ウケるような仕組みを目指さなくちゃならんと思った。トップバッターのメイプル超合金、その後に続く馬鹿よ貴方は、めちゃめちゃ面白かった。特にメイプル超合金、過去11回の大会全体で見てもトップバッターであんなにウケてたの初めてだったんじゃないのってくらいウケてたし面白かった。その後に続く馬鹿よ貴方はの漫才ですらちょっと古いというか普通に見えるくらいメイプル超合金はめちゃめちゃで面白かった。馬鹿よ貴方はも全体で見たらかなり面白かった。というか、今回のM-1を仮に成功とするのであれば、この二組こそが今回のM-1を成功させた最大の功労者だったろとすら思う。重厚な賞レースではなく、面白けりゃ笑えばいいだけで、その中で優勝者を決める極上のバラエティなんだって客や視聴者に思わせるには十分すぎる二組だった。ていうか、この二組が敗者復活で上がってきてたらそのまま優勝してたんじゃねえの?とも思う。ただしそうなるとトップバッターがこの二組ではなかったということになるので、それはそれでまた全然違う別の大会みたいな空気になったのかもしれず、であれば敗者復活で彼らが上がって来ててもやっぱり優勝はしてなかったのかなという気もする。ここらへんはまあ栓なき話ではある。で、とりあえずそんな技術というよりかは豪腕で笑いを掻っ攫っていった二組が会場を盛り上げながら毎度言われてる「基準」に近いような点数がつけられて、その後に技術が光るタイプの漫才が続きここらへんに「技術を評価する」みたいな点数が続いてく。ウケ方で言えば最初二組の方がずっとウケてた気がするんだけどなぁ。でも技術で見りゃ構成のうまさが際立ってる方に点が寄るってこと自体はまあ仕方ない気もする。それにしたって銀シャリちょっと低すぎないかと思ったんだけど、これはボケのエッジを際立たせるのではなくツッコミによってどこまで笑いを最大化できるかにチャレンジする銀シャリの芸風が審査員の好みとマッチしなかったのがでかかったんじゃねえかなと思ってる。ネタ作り担当を審査員に呼んだんだろうけどそうなるとどうしてもボケ担当ばっかに寄る。M-1王者の中だけで見てみても、中川家・剛、フット・後藤、ブラマヨ・小杉、サンド・伊達あたりの審査員やらなかった方も採点させて大丈夫な人らだったのではないかって気はする。もう少しバランスどうにかならんもんかって気はする。

で、そんなこんなで若干基準がぶれてるような気はしつつもそれなりにちゃんと点数がついてた中で、最後トレンディエンジェルですよ。言っとくけど、ウケてたんですよ、めっちゃウケてたんだと思う。けど、あんなもんウケるに決まってるんですよ。仕組み上。だからこそ最後に出てきたやつがドッカンドッカンとウケて、それで「ウケてるんだから高得点つけざるをえない」ってなるのであれば、最初っからその視点のみで採点してくれよ、と思う。どうにも今回の審査員たちには「根負け」みたいな空気が見てとれた。「色々俺らも考えながら吟味して審査してきたけど、こんなにウケられちゃ構わないよ」みたいな雰囲気を俺は感じた。これをアリにしちゃうと、敗者復活有利すぎるでしょと思うわけです。ましてや今回の敗者復活枠はお昼に生中継されてて視聴者投票で決定してたそうなんですよ、みなさん。8組の漫才師と、豪華すぎるひな壇芸人オールスターズでさんざん舞台を温めたところで、テレビ視聴者が決める「一番テレビで見てて安心して笑えた」コンビが敗者復活というシンデレラストーリーを引っさげて満を持してネタをやるんですよ、そんなもんウケないわけがないじゃないですか。それを「ウケたんだから仕方ないよね」って高評価しちゃうのであれば、もうどうしようもないんじゃねえかなと思うわけですよ。だから、なんつーのかな、そこで「あんな優勝は認めない」とか「笑いをわかってない馬鹿が」とか「M-1は終わった」とか言う気はないんですけど、もうちょっとやり方を考えないと今後続けていくにあたって出場者やる気出ないんじゃないのとは思うんですよね。

あと、敗者復活戦は録画してて優勝見届けた後に見たんですけど、視聴者投票で敗者復活決めるってシステム、それならそれでいいんじゃないのとは思いつつもそれならせめて屋内でやれよって思うんですよね。以前の大会でも衛星放送で中継してるのはけっこう見てたんですけど、やっぱあの環境ってちょっと異常なわけですよ。12月の寒空の下に屋外で、なんか毎年やたら風が強い印象がある、マイクも声を拾いにくいものすごい悪環境の中で、お客さんだって糞寒い中で身を震わせながら見守ってるわけです。そういうわけわからん状況下で、一番客の心を掴んだやつが決勝に返り咲くんだっていうのはまあ面白いと思うんですよ。なぜそんな高負荷なところでやるんだっていう甲子園問題はここでは一旦置いておくにしても、やっぱその場の空気みたいなものは芸事は大事にするところだと思うんで、そういう基準でその糞寒い場にいる審査員さんたちが敗者復活コンビを選ぶっていうのはいいんじゃねえのと思うんですけど、テレビの前でぬくぬくコタツ入ってみかん食いながら見てる奴らが投票で決めるんだったら、それは屋外でやる必要ないだろって思うんですけど。

みたいなまーそんなこんなでね、番組としてはめっちゃ笑えたし超面白かったんですけど、来年以降どうするのよこれみたいな部分もありつつ、そこらへんを書きました。本当はもっと、上戸彩の笑顔を抜くタイミングのわけわからなさが最高にうざいし面白いし上戸彩めっちゃかわいい話とか、合間のリクルートのCMに松ちゃんが出てくるのがなんか変な気持ちになりすぎて面白い話とか、敗者復活の少なくともナイツと東京ダイナマイトは「歴代王者が審査員なら別に決勝進みたくねえわ」って思いながらやってただろみたいな話とか、あと単純に誰のネタがどう面白くてどう好きだったかとかそういう話もしたかったんですけど、手が疲れたのでこの辺で。以上です。

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