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ラーメン屋には手厳しい

 どういう理屈でそうなっているのかはわからんが、飲食店の中でラーメン屋にだけは手厳しくしても構わないと考えるタイプの人間がいる。店員にタメ口を利くとかそういう話ではなく、評価基準も評価に応じた印象の持ち方も、なぜか一段厳しいのだ。かく言う私もその一人である。不味い定食屋に入ってしまったら「もう二度と行かねえ」と思って終わりだが、不味いラーメン屋に出くわすとそれを喧伝せずにはいられない。あんな不味いラーメン屋で気分を害する人がこれ以上あってはいけないという使命感すら覚える。たぶんテレビや漫画で知るラーメン屋のイメージが客にも手厳しいからなのではないか、おあいこなのではないか。そういうわけで俺自身ラーメン屋にそんなこっぴどくやられたことはないにも関わらず今日も俺は佃製作所を訪れる帝国重工社員の顔でラーメン屋の暖簾をくぐる。今のは『下町ロケット』を観ていないとビタイチ笑えない奴なので、『下町ロケット』視聴してる人はほかの人のぶんまで笑ってくださいね。今日は21時半から二時間SPで前半戦最終回スペシャルです。

 それで、今日は図書館に本を返しに行かなくちゃならない日だったのですが、普段は自転車で行ってるところ空模様がどうにも頼りなかったので電車で行くことにしました。それで図書館の近所にはいつも目に付くラーメン屋がありまして、自転車で行く時はあまり腹にモノを溜めてペダルを漕いで帰るのも後々後悔するのは僕なのでそれまでスルーしていたのですがこんな機会ならば行かないのは嘘だろうと本を返してまた別のものを借りた僕は件のラーメン屋に赴いたわけです。

 初めて訪ねるラーメン屋においてはその店で一番人気の自信がある味でなおかつその味を一番楽しめる素朴なラーメンを頼むのが流儀であると考える。「初めて行くラーメン屋でキムチラーメン頼む奴はどうかしてる」みたいなことを話してたら取引先の偉い人がキムチラーメン頼んでたことまである。今からリカバーしようとしてもどうせ無理だろと思い開き直って「キムチの味はどうです?いや、スープの味はもうわからないと思うんでキムチの味はどうですか?」とか言ってた。そういうわけでメニューを眺めながらその店が何味を推しているのか見てみるに、どうも醤油とんこつラーメンが一番推しているように思われたので、それを注文することにした。それで店内に入って、醤油とんこつラーメンを注文したところ、注文を取りにきたおっさん(本来麺を茹でてそうなおっさん)に「これですかね?」と本来のメニューとは別の特別メニューみたいな別紙を指さされて、そこには「サービスラーメン」と書かれていた。サービスラーメンは最も安価なラーメンで財布にも優しく、希望者には無料でおにぎりが2個ついてくるらしく、庶民の味方のラーメンのようであったのだが、俺はそこに魅力を感じて醤油とんこつラーメンを頼んだわけではない。色々なメニューが一覧されている表において一際大きな面積を取られていることに目をつけて「なるほど、ここで一番美味いのは醤油とんこつなのか」と察した次第である。その中で一番素朴なイノセントなラーメンを頼んだ結果である。お得感とか糞ほどの興味も無い。そこで「サービスラーメンですね」と言われるこの屈辱、希望のおにぎりの数を尋ねられる屈辱、おわかりだろうか。ほんとマジで銃社会なら銃を向けながら「チャーシューメンの値段でふつうの醤油とんこつラーメン持って来い」って言いたくなる状況なわけです。

 それで、そんなことにむかつきながら、サービスラーメンを待ってたわけなんですけど、それで結局出てきたサービスラーメンがね、あんまり美味くないの。美味さレベルでいうと、マジでサービスラーメンレベルなの。680円って値段からするとまあこんなもんかなって気がしないでもないけどそんなに美味しくなくてね、これなら握り飯で腹を膨らませて安くあがったほうがよっぽどいいやって味しかしないわけ。味がするラーメンレベルなわけ。ラーメンとしての形になってないわけ。味つけラーメンにしかすぎないわけ。こうなってくるとサービスラーメンって言い方がすげえむかついてきて、なに俺はお金をケチってサービスラーメンなんぞを注文したからこんな惨めな思いをしているわけ?そういうところに俺を押し込もうとしてない?じゃあこれがもう300円とか奮発して、チャーシュー麺にしてたら比じゃない満足感を獲得できてたわけ?そんなこたないでしょ、どのみち大してうまくない味があるだけのラーメンを堪能してたわけでしょ?俺はそういう、なんでもないラーメンの基本形を注文したにすぎないのに、サービスラーメン呼ばわりでこんなひどいメに会ってるわけ。納得いかないわけ。なんか半分俺のせいみたいな、「おにぎり欲しさにダボハゼ掴まされた」みたいな感じになるのが我慢ならないわけ。だからこうやってブログにも書くし、ブログじゃなかったら言うからな。これ読んだ、俺と他で顔合わせる機会あるやつは「アレどこなん?」って俺に聞けよ。Googleマップを提示する準備は俺はすでに出来上がってるからな。マジで許さないからな、俺は不味いラーメン屋を。

 それで不満気に眉間に皺を寄せながら食ってると、視界の端にアンケート用紙が見えてそこには「ラーメンの味はどうでしたか?」っていう設問に4段階評価の選べる項目があって、とても美味しかった、美味しかった、ふつう、気に入らない、の4段階だったんだけどもう坊主憎けりゃ袈裟についたフケまで憎い、坊主ツルンツルンなのになぜフケが出るかね?憎い憎い憎い!って調子で最高にむかついたんですけど、なんでポジティブな評価については「美味しい」という客観的な言い方をしておいて、ネガティブな項目については「気に入らない」とかいう、それを書いたアンケート主の主観みたいな言い方なんですか。受け取る気ないじゃないですか、どっちかに統一しろよ思うんですけど、「気に入った・気に入らない」「美味しい・不味い」のどっちかにしないのは、お前ナメてるだろとか思うんですけども。

 そんな感じなので、そういう恨み辛みをアンケートに書くでもなく、実際の店名を晒しながらブログに書くでもなくやってるうちは、俺がちょっとおかしい奴でいいのかなとは思っているんですけども、間をとってアンケート用紙に「ズイショで検索」とか書いて誘導しつつブログで罵詈雑言浴びせるようになったら、その時は僕はもうダメなので誰か俺を殺してください。殺してください。以上です。