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最近の『食戟のソーマ』雑感と、他のジャンプ漫画の話題など

なんとなく更新しないで日にちが空くことは今までもあったんですけど、意識的にお休みしたことってたぶん無かったのでどうしても「二年後にシャボンディ諸島で!」的なものを感じますよね。ふんどしを締め直すというか、一味違うぜって感じがしますよね。お前もそうだよな!犬!

犬「わん!」

この犬も二年前はただの柴犬だったんですけど、今は半分サイボーグになってますからね。フリスビー投げてやっても自分は飛びかからずに目から出るレーザーで撃ち抜くんですけど。「よし、犬、取って来い!ほらほら投げるぞ犬、そら投げた!」「わん!」「チュンッ!!」つって投げた次の瞬間にはフリスビー消滅してるんですけど。休み中はまぁ長期の連載でなかなか羽を伸ばす機会もなかったですから旅行なんかにも行ったりしてね、それで階段から落ちたと思ったら幕末にタイムスリップしちゃって。その時代は漫画はもちろんのことGペンとかもありませんから、大変な苦労をしながら綾瀬はるかをチーフアシスタントに据えて漫画を発表していくわけですけど。つまり僕が何を言いたいのかというと、よく見たら大沢たかお尾田栄一郎って顔の系統似てない?ってことですよね。輪郭は長方形だし、切れ長の細目だし。

そういうわけで、じゃあ久々の更新で何の話するかっていうと、掲題の通り、『食戟のソーマ』の話を4000字くらいします。なぜなら今週のジャンプが、というかここ最近の展開が超面白いから。で、その後ついでに最近ジャンプで注目してる漫画の話を1500字くらいします。そうです、平常運転です。みなさん、引き続きよろしくお願いします。

それで『食戟のソーマ』なんですけど読んでない人にザックリ説明をすると、これジャンプでやってる料理漫画なんですね。遠月茶寮料理学園っていう料理人を育成する名門学校が舞台なんですけど、めちゃめちゃな実力主義で無事に卒業できるのが全体の10%で、先生が「お前香水つけてんな?退学」とか普通に言ってくるとんでもない学校なんですね。で、そこに高等部から転入することになった主人公・幸平ソーマ(たぶんちゃんと検証したらそんなことないと思うんだけど、なんや言うたらすぐご飯に汁物かけて更にうまくしてる気がする)が仲間やライバルを作りながら頑張るみたいな話なんですけど、これが今めちゃめちゃ面白いの。

薙切エリナっていう、神の舌を持つ学長の孫のライバルキャラがいたんですけど、実はこの父親が悪いやつでね、超英才教育と称して幼少時のエリナに洗脳みたいなスパルタ教育を強いていてエリナ様本当は良い子だったはずなのに超絶性格悪くなってしまったのはその影響が~みたいな事だったらしいんですが、この父親である薙切薊がクーデターを起こして新しい学長に就任したんですよね。

そうして発表された今後の学園の方針というのが、全ての学生を「料理を創造する資格を有する一部の才能ある者」と「彼らの指示に従い成果物を模倣することのみを赦される者」に二分するという内容だったんですね。こういう仕組みにしてしまえば、才能のない者にもないなりの仕事を覚えさせそれをこなせば良いので理不尽な退学に追い込む必要もない、才能ある者はより如何なく自身の能力を発揮することができる、みんな幸せになれるんだと新学長・薙切薊はぶち立てるわけです。そしてこの漫画、絵がやたらに上手いんですが、薙切薊のとんでもない威圧感、まさにラスボスに相応しい貫禄なわけです。めちゃめちゃ燃える展開です。めちゃめちゃ燃える展開なんですけど、「あれ?薙切薊の改革、普通に良くない(笑)? 無茶苦茶な学校に普通にメスが入ってるだけじゃない(笑)?」っていう。

で、この調子で俺はずっと説明していかなくちゃいけないの?無理無理無理、そろそろみんな読んでる前提で進めるからそのつもりでよろしくね。漫画読んでない人は、まあ雰囲気だけ楽しむか、読んでみるか、して。頑張って5巻くらいまでは読んでみようか、正直走りだしはここまで面白い漫画になるとは思ってもなかったから。ただ、4巻か5巻かの四宮シェフと食戟をやるあたりから劇的に面白くなってくるから、とりあえずそこまで頑張って読んで欲しいんですけど。

いやね、薊さんは洗脳教育をエリナ様に施してた実績がある時点で完全にあかん奴ではあるわけですよ、作中でも指摘されてるとおり彼がやろうとしていることはディストピア以外の何物でもないってのは間違いないところだと思うんですけど、じゃあこれまでの遠月の状況が健全なのかと言われればそんなことないだろ(笑)っていう、そういう世界観なもんでってな調子で受け入れてたんで忘れかけてましたがそもそも卒業到達率10%って教育機関として終わってますからね。無能すぎるでしょ。実習で先生に不味いもん食わせたら即退学とか、学園祭で赤字出したら即退学とか、退学賭けて学生同士で料理勝負できるとか、料理勝負で勝ったら部活を潰していいとか、よくよく考えると無茶苦茶なんですよこの学校。薙切薊が超悪いやつみたいに出てきたけど、この学校そもそもめっちゃ悪いぞ、っていう。

でも、もしかするとそれも織り込み済みの展開なのかなーと思って、だとしたら原作考えてるやつ結構すげーなーと思ったり。というのも、学年全体の生徒数よくわかんないんですけど、主人公ソーマと同じ学年の生徒で既に名前あるキャラがたぶん20人は下らないくらいの数で出てきてるわけですね、こいつら全員が全員がちゃんと卒業しちゃったら何か「卒業到達率10%」って設定が微妙な感じになりません? なんだよ全員卒業できてんじゃん、モブが全員いなくなろうが、顔ありキャラは全員生き残ってんじゃん。なんかご都合主義っぽくて微妙だよね、って話になると思うんですよね。かといって、退学の基準ってすげえ理不尽なんで順当に同級生が退学喰らっていく展開っていうのも普通に後味悪いしみんなむかつくだけだと思うんですよ。退学者一人くらいなら『銀の匙』の野球部みたいな配置で退学後もうまいこと噛ませていけるかもしれないけど、そういう漫画じゃないしねぇ。と考えた時に、全キャラがハッピーな大団円を迎えるためには学校方針の改革自体はもともとこの漫画に必要不可欠な課題だったんじゃねえのかとも思えるわけです。切磋琢磨という美しいお題目を肯定するうえで過剰な排斥っていうのは別に必須項目ではないはずなわけです。なので、薊政権にはNOを突きつけつつも旧体制とも違ったうまい落としどころを作って、遠月学園が変わっていく可能性っていうのは全然あるよなとも思うわけです。

その作品がどのような立場の価値観を肯定していくかっていうのはいつだって大事なことなわけですけど、バトル漫画やスポーツ漫画はどうしてもその価値観が主人公の勝ちに寄与しなくちゃいけないわけで明らかに美しくわかりやすい価値観が示されがちなわけですが、だからこそジャンプは面白いし明らかにジャンプが苦手とするジャンルというものがあったりするわけです。その苦手な部分っていうのを割と丁寧に書こうと目論んでるんじゃねえのか『食戟のソーマ』っていう熱い期待が俺の中にあるわけですね。

とりあえず今後の展開が気になるところですが、新体制も十傑の権威というものを念頭において考案されているようなので十傑の権威を権威たらしめる「食戟」が絶対であるという概念は揺るがないでしょう。であれば、当然薊体制に反発するべく食戟を用いる勢力が出てくるはずです。今週見た感じで、解体の対象として丼研、郷土料理研究会、汐見ゼミ、そして極星寮が槍玉に上がっています。極星寮には九席の叡山が直接出向いてますね。極星寮はエリナを匿っている砦でもあるわけですが、さぁここからどうなるのか。叡山はもともとソーマが唐揚げをナンに巻いた件で怒り狂ってますのでここでいきなり直接対決というパターンもあるかもしれません。「唐揚げをナンに巻いた件で怒り狂ってる」は事実なんですけど完全にわざと漫画読んでない人が「どういうこと?叡山って人は唐揚げ愛好家なの?唐揚げはそのまま食べるのが一番うまい原理主義なの?レモンとかかけたらやっぱり怒り狂うの?」って思うような書き方選んでますけどね。でも、個人的にはここでソーマが動かなくてもいいんじゃねーかなーと思う。極星寮には七席の一色先輩がいるんでね、叡山と同学年にて格上なわけですけど、そんな叡山が敵に回したくないほどの実力差があるんですかね?そうでもないような気がするので、ここが対決して一色先輩勝利で極星寮を守るみたいな展開が個人的には見たい。そして一色先輩の背中を見てトップレベルの勝負からソーマには何かを学んでもらいたい。そしてエリナも一色先輩の背中を見て「守られるということ」「居場所があることの尊さ」を学んでほしい。でね、いきなり正ヒロイン感がハンパないエリナ様なんですが、初期の敵キャラやってた時についちゃったままの味噌がひとつあるんですね、そうソーマに敗北した肉魅を捨てた件ですね。今後、善キャラの正ヒロインにシフトしていくにあたってこれをそのままにしておいてはやっぱ良くないと思うんですね。なので、一色先輩に自分が自分のままでいられる居場所を守られるってエピソードを踏まえて、是非とも丼研で追い込まれてる肉魅のところに駆けつけて欲しい。そこで肉魅を救ったら激熱だと思うんですよね。二年生トップの六席あたりを退ける感じで。これが見れたら俺はかなり「うおー!」ってなると思います。あとは、心配なのは、葉山アキラくんで、なんか普通に十傑上位に挑んでボロカスに負けそうな予感がするんですよね。秋の選抜を制したっていうのはそういうフリなんじゃねえかなって予感がするんだ俺ぁ。「あの葉山がいともアッサリと負けた?霊圧消えた?」ってなる展開しか想像がつかない。かわいそうだからやめたげてよね。あと郷土料理研究会も普通になくなると思うな。薊政権樹立について蚊帳の外になってた久我先輩の中華研とかもどうなるんだろ。「僕と食戟したいって言ってたよね?」って感じで司瑛士一席が出てくる可能性とかないかな。じゃあ久我先輩、絶対負けるな。わはは。でも、薊政権がやろうとしてるトップダウンの軍隊的組織を久我先輩は中華研で既に完成してたわけで、それに対して他の奴に任せてられんから全部自分で料理しないと気が済まない司瑛士だったらなんだか話があべこべだよなとか思うわけなんですけど、まぁ久我先輩ごときじゃお前は人を使う側ではなく使われる側だよごめんねって話になるのかもしれません。それやったら作者は完全に司瑛士と久我先輩の薄い本作れって言ってるみたいなもんだけどね。

とまぁ、熱っぽく語ってるわけですけど、そんな色んなところで食戟やりまくってたらなんかジュウドウズみたいな漫画になっちゃうけどそれって大丈夫?って気がしないでもない。そもそも僕が勝手に「こういう展開なら読みたい」って騒いでるだけで一つも掠りもしない全然違う展開になる可能性は全然あるからね。暗殺教室の時もそうだったからね。別に予想してるわけじゃなくて、「俺はこういうのが読みてえんだ!」って喚いてるだけだから恥ずかしいこっちゃないんですけどね。思ってたんと全然違う展開になったって糞化しなければ何でもいいです、そしてきっと糞化はしないだろうって思える背骨がソーマにはしっかりとあります。キャラによって愛情を受けて育ったチームと、愛情を受けられず育ったチームが意識的に分けられてるのもこの原作者やるなーって思う点で、ソーマは父の愛情を受けてるし、田所ちゃんも地元でみんなに愛されてる。エリナ様が歪な愛(愛ですらない)に捕まっているという点が今回明らかになりました。葉山アキラは愛情を一切受けない幼少期を過ごし汐見潤に拾われて以降は彼女に無償の愛を捧げます(薄々知ってたけど、アニメ版の葉山は「うわ、こいつの愛、重っ!きしょ!」って感じが良く描かれてて最高だった)。同様に黒木場リョウも、愛を知らずに生きる狂犬でしたがアリス嬢に拾われてからかわいいワンちゃんになっててかわいいです。アルディーニ兄弟はソーマ同様、両親の愛情を誇りにしていますが親からの愛情は独り占めできず二人で分け合ったための葛藤も少しあったりといい感じ。というソーマの主要キャラの背景を考えると、飛び道具イロモノっぽい美作昴も父との確執を背負ったキャラですので今後も意外に大事にされるんじゃねえかなという予感がします。とりあえず今後も毎週楽しみな熱い展開が続きそうで超面白いです、『食戟のソーマ』。

そういえば最近、ブログであんまジャンプの話してなかったような気がするので、ついでに他の漫画の話をすると『ものの歩』、あれ超面白いね。『クロガネ』の作者ってことで、とにかくあの作者は何がどうしたって「コンプレックスを抱えた主人公が、一点突破の特殊な才能でコンプレックスのある部分はそのままに成長して自分に自信を持ってく話」が描きたいってことはわかった。個人的には作者の自己投影をめっちゃ感じてしまう。けど、面白ければオッケー。今は素直にめちゃめちゃ面白い。あとは、いかに『クロガネ』の時みたいに「主人公がほとんどただの超人になってコンプレックスがどうのとか言われてもよくわかんないですけど」って状況になるのを避けるかですよね。今のところイケそうな気がする。なんとかこのまま頑張って欲しい。だからこそ「気をつけて!間違えるなよ!」という気持ちがある。

『僕のヒーローアカデミア』も安定して面白いですね、ステインのエピソード自体も良かったし、ステインの思想に引きつけられてヴィラン連合に悪意が集結するって流れも良いですね。ここに来て爆豪くんとデクの関係に一回テコを入れるのもいいし、八百万にスポットを当てるのも超良い。この作者は、「あるキャラのある感情に整理をつけてやる」ってエピソードをやることに異常な執着があるんですよ。それがこの人の持ち味ではあるんですけど、前回前々回で打ち切られたのは、そういうエピソードを挿入しすぎてとっ散らかっちゃって本筋が分かりにくく何で今闘ってるのかなんかようわからんなるみたいなのが要因だったと思うんですよね。今回はそうはならないように「今、何をしているところなのか」という部分は分かりやすく提示しながらそれぞれのキャラクターを上手に掘り下げていけてると思う。非常に良い。この調子で頑張って欲しいけど、そういうこの人の味でもある悪い癖がどういう時に一番あかんパターンで出てくるかというと敵側の新キャラが大量投入された時だから俺はまだ全然油断してないからな!気をつけなはれや!

『ハイキュー!』は青葉城西戦が面白すぎて、こっから白鳥沢戦をちゃんと盛り上げるとか無理っしょっと思ってたんですが、結構頑張ってると思う。青葉城西戦の方がどうしてもテンション上がっちゃうのは仕方ない。それにしたって頑張ってると思う。「どうせ勝つんでしょ?」てテンションで生温かく見守れるほどでもないのが良い。いやー勝つとは思うんだけどね、どう勝って気持ち良いように勝つか、全然わからん。普通に決勝戦やってるように見えて、作者は実は相当に高いハードルに真っ向から挑んでるような気がする。しかし、この後も全国大会が控えているわけで、もう本当に「バレーの試合」を描けるだけ描いてイケるところまで駆け抜けるつもりなのだろうか。それも良いだろうと思う。なお、アニメの二期が始まったんですが、スタッフのキャラ愛がすごいみたいな話なのか、さらっといって欲しいところをすげえ丁寧にやってくれるので、なんか、こう、観ていて気恥ずかしいな!って感じがある。もともと原作でもちょっと痒くて苦手だった谷地さんのエピソードが終わったのでとりあえず合宿を見守ります。けど合宿も全体的に痒かった気はする。

『左門くんはサモナー』、最初出てきた一話、二話は、これをギャグでやってるならあんま好きじゃないやつかもしれないと思っていたけれど、どうもその後の展開を見た感じ、ギャグじゃなくてそういう話を描きたい人なような気がしてきた。であれば、全力で応援したい。西森博之が『お茶にごす!』でやろうとしてたようなテーマが作者の胸の内にあるのではないか。

他にもコメントしたい漫画はたくさんありますが、手が疲れてきました。以上です。