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映画『シャイニング』感想文

スタンリー・キューブリック監督の傑作ホラー映画『シャイニング』(邦題:『ジャック・ニコルソンのだいじょうぶだぁ』)をそういえば観たことなかったので観ました。なので、その感想文です。

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とりあえずめちゃめちゃ古典だし、そんなもんネタバレを躊躇するって選択肢が僕にはないですから、目玉焼きは醤油、焼肉はハラミ、『シャイニング』はネタバレOK、ここらへんは揺らぎませんからネタバレが嫌な人は回れ右でお願いしますね。まぁ、何はともあれ何てったってジャケットでもお馴染みのこの顔ですよね。やっぱジャケットが有名な映画ランキングベスト3といえば『プラトーン』、『ショーシャンクの空に』、『シベリア超特急』ですから『シャイニング』は惜しくもランクインできなかったですけどまぁそれなりに有名ですよね。いつ来るんだろういつ来るんだろうって感じであんまり集中できなかったってのがまず一つありますよね。ジャック・ニコルソン、最初ちゃんと髭を剃ってるんで「あーまだ全然こないなぁ」と思いながら観てて、髭が伸びてきたあたりで「お、そろそろかな?」と思うもなかなか来なくて、斧持ったところで「遂にくるぞ!」って感じで、もうあの顔が気になって気になって仕方なかったし、あの顔を見たらもう満足して気が抜けちゃったみたいなところがまぁ無くはなかったです。それならもういっそ本編とは別にあの顔が出てくるようにして欲しいですよね。右下にワイプを置いてずっとあの顔を抜いておくとか。あるいは右下のワイプにドアが3つくらいずーっと映ってて、斧でガンガンやってきたらリモコンを準備してどのドアからジャックニコルソンが出てきたかをdボタンで当てようみたいなそれくらいやってくれないと顔待ち感でどうしても本編がおざなりになってしまいますよね。

しかし、ジャック・ニコルソン、弱かった。いや、ほんとこんなに弱いんだってビックリしましたよ。だって、結局あんだけガタガタ騒いで殺したん脱出用の車を持ってくるために帰ってきたあの黒人一人だけでしょ? しかも母親と息子はノーダメージでしょ? 弱すぎでしょ。しかもこれ一回、幽霊の力で鍵開けてもらうっていうチート技を使ったうえでの成績ですからね。いくらなんだってドン臭すぎるでしょ。あの黒人が来なかったらもうちょっといいセンいけてたんかもしれませんけど、あの黒人もジャックの渾身の顔芸シーンを潰して殺されて終わりなんであんまりっちゃあんまりですけど。てっきりあのドアから顔出した状態で3分くらい歌うみたいな「え?ミュージカル?」みたいな展開があるんかな思ってたんで肩透かし喰らいましたけど。

マジメな話をすると、なんか人間の精神が憔悴して狂ってく話なのか霊的な磁場が人を狂わせる話なのかどっちなんかよくわかんなくてめちゃめちゃ中途半端な印象はありましたね。最終的に3人とも目撃してるんで一連の何やかやは狂ったジャックの幻覚ではなくホテルの霊的なアレなんだろうなーとは思うんですけど、それにしてもジャックがはっちゃけた理由がよくわかんねーなーみたいな。嫁さんもヒステリックな性格に見えたので、ジャックが狂うのを後押ししてたような印象もあって、ますます人間如きには抗いようもない霊的な力の仕業なのか、ただの落ち着きがない人の話なのかよくわかんねぇみたいな。映画にそんなこと言っても仕方ないだろってのは重々承知なんですけど「そんなに怖くない話を頑張って怖い撮り方をした」みたいな感じに見えちゃったんですよね。いや、映画ってそういうもんだろって言われたらそれまでなんですけど。それなりにハラハラさせられたものの、そもそもこれってハラハラさせたい話なのかー?何か起こりそうな予感を楽しむ話なのかー?人に追いかけられる怖さの話なのかー?みたいな。もっと例えば綾辻行人の霧越邸だとか、ファイナルデスティネーションだとか、たぶんこの二つはあんまり上手じゃない引き合いの出し方だとは思うんですけど、そっち系の「場の力」みたいなでかい何かにフューチャーする映画だとてっきり勘違いしてたんで「あれ、なんか観るテンション間違えた」と思いながらdボタン連打してました。

最後の死に顔は本当に『ジャック・ニコルソンのだいじょうぶだぁ』って感じで笑えました。でも名作ホラー面白いのでしばらく、名作ホラーを観ます。俺は。ホラーを。