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2014年暫定賛歌

これ全部今朝見た夢っていう建前の今から作る話なんですけど、今日てきとーに街をブラブラしてたら知らないジジイに話しかけられてジジイみゃーみゃー鳴く猫を抱えたんだけど「この猫を育ててやってくれ」つってよくわかんないけどなんか泣いてて、「なんでだよ」と思いつつ話を聞いてみると捨て猫見つけたんだけども自分独り身で老い先短いから飼えないとか言ってて、いやおかしいだろと思って、飼えよと思ってそう言うんだけど、頑なに飼えないって言うんだそのジジイ、老い先短いからだとか俺が死んだ後こいつどうすりゃいいんだとかグダグダ言うわけ、語るに落ちるにもほどがあるジジイだったから好きに喋らせてたら特に奥さんに先立たれたでもなくまるでモテない人生だったでもなく天涯孤独だったでもなくなんとなくラクだからって理由で独りのままずるずるいって気付いたら今で、そんな中この師走も走るド年末に捨てられてる猫を見たらまるで自分を見てるみたいで居た堪れなくなったってジジイ涙ながらに語るんだけど、でも俺は老い先短いからお前助けてやってくれって語るんだけど、もうそれをワンカップ飲みながら語ってる時点でちょっと胡散臭いのよな、俺も奢られてるからそんな文句言うつもりはないんだけども、いいかジジイつって、頑張ってきたジジイはな、自分が死んだ後は誰かがなんとかしてくれるだろうと思って何気なくそのまま猫飼うんだよ、死んだ後猫の面倒見てくれる奴が大抵何人かはいるもんなの、そういう人を周りに置いておくために頑張るってのが僕らが日々の生活でやることであって、普段そうやって頑張ってたからこそ自分の心の赴くままに猫サクッと飼えるジジイになるの、お前それやってたのどうなのって話でね、俺も最初同情するような話なのかなと思ってビクビクだったよ、若い頃に奥さんと死別してとか、まぁ誰であっても死別は辛いよね、そういう話だったらこんな僕みたいな若造が説教なんてできるはずもないですから、どうなのかなと思ってたら貴方なんとなく人を避けて避けて今、っていうそれだけじゃないですか誰に虐げられたでもなしなんとなく億劫がっての今で、その今が受け容れられないのが辛いっていうそれだけの話じゃないですか、今まで誰かに施すべきだった踏み込むべきだった一歩を躊躇って、ずっとずっと躊躇って、ファーストで躊躇いセカンドで躊躇いサードで躊躇い、その結果の今を悔いて悔いて生きてた時にパッと目に付いたのがこの猫、あのとき踏み出したかった一歩の集合体が形になったような存在としてのこの猫、後悔のサイクルヒットとしての猫がこいつなわけでしょって俺怒ったら猫「にゃー」つってジジイ泣いてたけどね、そこでまた独りだから責任持てないって泣かれてもさ、あのさジジイ、お前がずっと躊躇ってきた理由もそれだったわけでしょ、例えば結婚を考えた時とかさ友達が辛かった時でもいいよそこで責任持てないかもなと思って離れたからの今なわけでもしそこで踏ん張ってたら、今でもそういう人がお前の周りにいてさ、そういう人が周りにいるから猫飼っちゃえエイって判断ができたかもしれないわけじゃん、そういうもんだと思うんだよ猫「ニャー」つって、ジジイはもう涙と鼻水で顔クシャクシャにしてさ、そうだと思うそうだと思うって泣くんだ、俺もなんか泣けてきてそのうえ夢だからまぁ実際のところ夢ですらないんだけどこれ事実だったらそんな辛らつなこと言えないけれどもどうせ夢だしと思って「俺は絶対お前みたいにはなりたくないから、最後だけかっこつけようなんて出来っこないってお前見て思い知ったから、俺は晩年かっこつけるために日々かっこつけてくよ」って言って、猫でも人間でも自分以外、他人に踏み込むって要はそういうことだと思うんだ、俺なんかその時すごいそう思って、既に肩ブルブル震わせて嗚咽漏らしてるジジイにそんなきついこと言っちゃったんだけど、ジジイはもうそれ聞いてより一層ヒックヒク泣いちゃって「俺だってそうしたい、そうすればよかった、戻りたい戻りたいやり直したい」って訥々とこぼしてさ、そしたら猫が「了解」つっていつの間にか猫二本足で立ってステッキ持ってたんだけどにゃーんつってステッキ振ったらジジイが光に包まれて3歳児くらいに戻ってな、よかったじゃんやり直せるじゃんと思って、俺がその元ジジイ引き取るわけにもいかないけどよくわかんないからとりあえず110と119両方電話して足早に立ち去ったんだけどその後腹減ったなと思って蕎麦屋立ち寄ったらお母さんと子ども二人の3人で一杯の掛け蕎麦すすってるの見かけて今時そういうのあるんだーと思ってたらさっきの猫がまたやってきて「了解」つってステッキ振って海老天3尾出してたけどね、蕎麦出せよって思った。ついでだし猫にジジイが3歳児に若返った姿、俺のちっちゃい頃にそっくりだったみたいなのどうかなって聴いたら「にゃー」って言われちゃって、そこタダの猫のフリするんだって思って、他人にしてやれることはしてやった方がいいし、どうするのがいいかわからない時は黙っておいた方がいいんだなと思った。そういうわけで今から紅白見て寝ます。皆様、来年もどうぞご贔屓いただきますようよろしくお願い申し上げます。良いお年を。以上です。