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映画「マルホランド・ドライブ」の感想文です

カルト的な人気を誇るのかなよく知らないけどデビッド・リンチっていう映画を撮るのが得意なおじさんがいるらしいんですけど、まったく観たことなかったんでせっかくだし見てみました。

マルホランド・ドライブ [Blu-ray]

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退屈だなぁと思いながら最後まで頑張って見て結局よくわかんなかったんで時間泥棒に尻の毛まで毟られたみたいな悲しい気持ちになったんですけどまぁいいやこういうこともあるさ忘れようと思って寝て起きたらまだむかついてたんでやっぱブログ書こうとなった俺の今・ここにいる僕です。

まず、最初にハッキリしときたいのは、好きな人いるだろうからと思って気を遣って「わからなかった」とか濁した言い方してやってるのにこっちが下手に出てりゃこのガキゃ調子に乗りやがって「まぁあの映画はちょっと難しいからねー」とか上から目線で言ってくる人が実際に存在するのかはさておき少なくとも俺の頭の中にいるじゃん。なので言い直すけど「わからなかった」じゃなくて「超退屈でつまらなかった」です。ほら、帰れ!デビッド・リンチ好きは帰れ!そろそろ晩御飯の時間だよミートパイが焼けてるはずさママのところにお戻り!ばーかばーか!

というわけで感想としては「超退屈でつまらなかった」です。「まぁ難解だから好みは分かれるよねー」とか言われても「いや、俺は難解じゃなくて退屈って言ったんですけど」って喧嘩腰になるレベルでつまらなかったです。

そういうわけで基本disが続くわけなんですけど、それでも「まぁわかるんだけどさぁ」みたいな、内容はわからないから観終わって即解説してるブログ読みに行きましたけど、つまり内容わからなかったんだけど、やりたいことは大体すげぇわかる。わかるけど、少なくとも俺はお前が狙ったような気分の変化は観てる間一切起こってないから、やりたいことはわかったけどそれ出来てねぇから少なくとも俺という客を相手には、っていう感じなのでそれはそれですげぇむかつく。

例えばズイショさんの映画感想の歴史としてやっぱ外せないのが秒速5センチメートルの炎上ですけどアレなんかは今思うと根底にあるのは「俺はこんな気持ち悪いもんを有難がらないメンタリティでいられるよう日々頑張って生きてるのに何をそっち側突き詰めてんだこのボケが」みたいなところが僕にはあるのでしょう。つまりは明確に作り手が狙って刺激してやろうと企んだ部分はしっかり俺も刺激された結果なんだろうなとか思うわけです。あと個人的に書いてて面白かったのはるろうに剣心の感想だったんですけど、それも骨組みとしては「勢いだけの糞原作をどう娯楽映画としてギリギリ成立するラインに持ってくか」みたいな作り手側の努力を見守るドキュメンタリーみたいな観方で盛り上がってましたね。無理難題を知恵と努力で振り絞るノンフィクション映画アポロ13なんか面白かったですけどアレと大体同じノリでるろうに剣心見てました。しかもアポロ13は無事に帰還するってオチは実話が元なだけにネタバレしてましたけどるろうに剣心は最後まで「見れる映画」のギリギリラインを維持できるのかどうか全くわからないですからそりゃあめちゃめちゃ手に汗握りますよ。

そういうわけで、わざわざ感想書こっかなーと思うのは良くも悪くも観てて何かめちゃめちゃ刺激を受けた時なわけですよ。それがなかったらこの前の映画感想と観光日記を綯交ぜに書きますみたいな手慰みに消費するのがせいぜいなわけです。それが「おもしろい!」でも「つまんねぇぞ糞が」でも、刺激されて感情がグングンうねるだけで俺の中では「あー今娯楽享受してるわー」ってなって楽しいし何だったらちょっと面白かったなくらいの映画よりはよっぽどデビルマンの糞さを面白おかしくしゃべってる時間の方が俺の人生の中で累計したらよっぽど多いわって考えるとトータルで見た時のコストパフォーマンス的にはデビルマンって結構すぐれた娯楽なんじゃないかとすら思えてくるわけです。

それでいうとマルホランド・ドライブは全く刺激されなかった。終始退屈で早く終わんねぇかなと思ってた。たぶん全部前振りで途中からすげぇ面白くなるんだろと思って期待してたけど「あ、たぶんこれは前振り終わりましたよって合図だ」みたいなシーン以降もお変わりなくつまんなかったもん。参ったよ俺は。それでも俺がこうして「書く」を選択してる時点でやっぱ無自覚なだけでデビッド・リンチが想定してるツボは俺も刺激されてるということなのだろうかと思わないでもないけど思い返すとやっぱ全くつまらなかったよ。

こう、なんか色々こっちの集中切らさないようにだったり何か不安になるような撮り方してるんだろうなってのはわかるんですよ。たぶんですけど。誰かの背中のすぐ後ろ追いかける撮り方だとかやたら近いアップだとか何か無駄に部屋の奥の暗がりが気になるようになってんなとか、それらの感じをもってアドベンチャーゲームをやってるようなそれでいて選択肢を選ぶ権利は一切なくただ目の前で淡々と進行していく感じが何だか不気味だなとかそういうのは分かるんですけど、だからそれがどうしたって話なんですよね。なんか似てるなーと思ったのはポニョなんですけど、なんかシーン毎のぶつ切り感とメタファーオールBET感とか似てるなと思ったんですけど、ポニョはそこで客を退屈させないためのサービス精神がすごいじゃないですか。子供向けってのもありますけど。そういう飽きさせない工夫に相当する部分がデビッド・リンチの場合はあの不気味さになるってことなんすかね。知らねぇよ。その不気味さにかぶりつくためにはまた別の原動力が必要になるだろうがそれ用意してくれよ頼むわ。服を買いに行く服がない状態だわ。

ただねぇ、明解なストーリーでスッキリ爽快エンターテイメントはそれはそれで好きにしたらいいけど何かもっとこうウネウネっとうまく言えないような何かをお届けしたいなってのはあるじゃないですか。お届けするというかお前は気づいてないだけでお前の中にそれは何かあるよ、少なくともそれはある、それを気づかせてやるという種類の面白さはあるわけで。俺もそれを少しでもできねぇかなと思って、その結果アクセス跳ねる記事が出るたびに「読みにくい死ね」というコメントとか頂戴するわけです。どこかを目指すうえで受け取る側に負荷を与えることを厭わない的な、こっちが頑張って書いたんだからお前らもちょっとは頑張って読め、焼き魚を一人で食べられないガキじゃねぇんだから読みにくいだの甘えたこと言ってんじゃねぇよ読みやすい形で何でも出てくると思うなよみたいなそういうブラック根性は間違いなく僕の中にもあるわけなんで。リンチつまんねつまんねぇって言うのもブーメランなのかなぁという後ろめたさもあるわけですね。

じゃあ便宜上とりあえずの主語を「言葉」としますけど。言葉を紡いで意味を生み出して、その意味を共有するってのはそりゃ立派なことですよ。ただその生み出すって大体捏造で本物とはちょっと違うんじゃねぇかなという気がしてくる。本物はもう既に誰しもが内に抱えてて、ただ重い重いドアに閉ざされてて、開かない。そのドアをただノックしてノックする。ノックするための、ただノックするためだけの、意味なんかはもうどこか遠くにやってしまったただ投げ出される言葉を投げ出し続ければ、開くドアもきっとあるんじゃねぇかなと思ってるんですけど。少なくともマルホランド・ドライブのノックは俺にはもうピクリとも反応しなかった。糞つまらなかったです。なんか落ち込んできたので以上です。