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「ゼブラーマン」という僕の大好き映画をうろ覚えでオススメします

ゼブラーマン [DVD]

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前回が全く反響なかったんですけど俺が書いてて面白かったので第二弾です。

さて、オススメしやすい好き映画とオススメしにくい好き映画という二つの好き映画が僕と貴方の胸に自由に分布しますが、僕にとってのオススメしにくいのは重々承知だけれどもそれでもオススメしたい好き映画としてパッと出てくるのが今回ご紹介するゼブラーマンです。

何せうろ覚えなのですが、たぶんそこまでめちゃめちゃ面白い優れた映画でもなかったような気すらします。要約すると「つまんない日常なんて願えば突き破られるんだぜ」くらいのことしか言ってません。この主張自体は大抵料理しやすく陳腐で、そんな手放しに褒めるものでは決してなく、むしろガッチリと履きこんだブーツで蹴り転がして穴に埋めましょうという程度の正しいヤクザの死体の扱い方レベルのテーマです。それでも僕がこの映画を超好き映画、なんなら観てみてよ映画として記憶しているその根っこには、この映画のエンドクレジットに使用されている楽曲「日曜日よりの使者」とそれを演るバンドであるハイロウズが好きすぎるという加点がでかいことは認めましょう。

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日曜日よりの使者 - YouTube

そういう言い方もできなくもない言い方として、この「ゼブラーマン」という映画は本編すべてが終わった後に暗転したところで流れるこの歌「日曜日よりの使者」を最も感受性豊かに共感しやすく感動しやすくするためのコンディションを整えるための2時間であると言っても構わないと僕は考えます。その効果たるや個人差で未知数です。甲本ヒロト兄やん大好き人間としてバリバリの補正がかかってる俺こと僕の言うことなのでなおさら全く信用がなりません。言いたいこと既に言い切って、伝わってなかろうと言い切った僕なんですけれども、さすがにもうちょっと書こうかなという気になりました。ここまで読んでも絶対わけわかんないからね。なのでもうちょっとわけわかんないと思われそうなことを書きます。ここで僕が言いたいのは物語と僕・あるいは貴方との関係は何なのだろうという話です。

さて、先ずは、誰しもに訪れるあるいは過去に訪れたことがある普遍的で何でもない話をしましょう。

貴方はある日、とある物語に触れました。そして物語は貴方の心に触れました。貴方はその話の行く末に気を揉めるだけ揉み、そしてやがてその物語の終わりに立ち会いました。最後の1ページ、あるいは最後の1幕を無事に見届けました。そうして物語を見届けた貴方は、その物語から得た何かしらをむずりと握り締めたまま、また明日を生きるでしょう。

また、こんなお話もあるかもしれません。

貴方ははたと見知らぬとある物語を手に取りました。そしてパラパラと本を眺めたかと思うと一飛びに終わりの1ページを開き、そこにある文字列を眼でなぞった貴方は、そっとその物語を棚に戻し書店を後にしました。

改めると、僕が今ゼブラーマンをオススメするついでにお話をしたいのは、物語と僕・あるいは貴方との関係は何なのだろうという話です。

物語を締めくくる最後の1ページ、あるいは最後の1匹であるところの死にかけの二足歩行の哺乳類から発せられる50音から構成された呻き声、あるいは数千年生きてきた二足歩行の哺乳類のとある一匹が夢想してそれを形にした結果の最後の1コマについて、僕たちが何かを思うということは、果たして僕たちのまるごとの生という物語の中でどのように位置づけられるのか、というようなことを僕は考えてしまいます。その答えというやつは僕にも実のところよくわかっていません。一つ、確定的に言えてしまうことと言えば、そこまでの数百ページを、そいつが産まれてから今までの呻き声を、そして僕のオギャーから今までを、もし僕が知らなかったならば僕はこんな気持ちにはなっていなかっただろうということです。そういう性質のものがアホほどあるぞ、ということです。

この映画「ゼブラーマン」の哀川翔が演じる主役は、なんかものごっつくたびれたおっさんであったように記憶しています。たぶん40とか50とかの設定でしょう。そんな彼がそれまでの人生の総決算としてなんかする、みたいな話です。物語に一応のピリオドを打つような流れです。あるいはそれまでのつまらない物語をぶっ壊す物語なのかもしれません。そして全てが終わったその後に、流れる歌こそがこの「日曜日よりの使者」というわけで、物語られた物語を総括するように「物語からの脱出」を高らかに歌い上げるわけです。そこまでで2時間。貴方がどんだけ生きてるのか知らないですけど、たったの2時間です。

あーこれ俺の中でまとまってないから書けないやーて正にたった今気付いたんですけど、もういいや結構書いたし公開しよー、と思って締めにかかるんですけど。たぶん僕が言いたいのは、僕の人生も貴方の人生も広義の物語なんですよ、ってことなのかなと思います。本編1時間50分の果てに1時間50分にあまりにふさわしい10分前後の歌を僕はこの映画に見かけたわけですけれども、その10分で僕はこの全体で2時間の映画すらも、僕の人生の本編90年のワンシーンに過ぎねぇんだなと思いまして、その時に押し寄せた謎のポジティブたるやとんでもないもので、同時にそこで俺がポジティブになったフローを正しい考え方だと採用するならば、俺の人生という名の物語に登場するほんの数秒のしょーもない瞬間すらも割りと高等で後日の俺に影響を与える可能性もあるなと思い出して、そんな風に思った当時の俺の物語の断片を記した今こと俺こと俺の物語です。

「締めにかかるんですけど」って言っといてこのザマだよ、っていうことなんですけれども、まぁ良い映画なので暇なら観てみてねっていう。翻って考えるに何がいい映画なのかはあんま俺も分かってない仕上がりになったので、貴方が観て、面白かった点を分かりやすく教えてね、箇条書きで教えてね、みたいな。以上です。