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でんぱ組とZOZOTOWNがコラボ!それを見て俺は死にたくなった。

はい、「シャドーボクシング」という言葉があります。もともとの言葉はボクシングのトレーニングの一種で、目の前に人がいるかのようにシャドーがいるかのように拳を突き出し頭を振って攻撃を避けているかのように、敵をイメージしながら身体を動かす。それをシャドーボクシングと呼ぶわけですが、独りで言葉を黙々と綴る「文章を書く」という運動においてもシャドーボクシング状態に突入することが僕たち人間にはあるのです。敵を作り出してその敵を撃つべく筆が走る瞬間というやつが文章を書いていると時たまあるわけですが、走る筆の手はパーで超ダサいんですが、一体その敵は誰なんだ?それはお前だ。お前だ、お前しかいないんだよ。お前が撃っているのはお前なんだ。この世にはお前しかいない。いいや違う。お前とこの世の二つしかないんだ。孤独に書き殴るお前が殴っているのはお前だ、そしてその瞬間お前は世界とは決して接続していない。お前は独りで生き独りで死ぬのだ。読んでても書いててもそんなことを思ってしまうことが往々にしてあり、またそれこそが書かれる言葉に触れる醍醐味であるようにも僕には思われます。実際にはそんなことは別に全然なくて僕と貴方がいつか出会う可能性はいつも僕と貴方の鼻からちょっと出ていてそれは鼻の内側とほんの一点でつながっていて息をするたびスピースピーと音がするんですけど、アレに陥るともうそんなステキな事実には気付きません。そうして、勝手に孤独に陥って世界に圧殺されそうになった書き手は自分を守るべく、闘うべき仮想敵はより強大にかつ弱点が分かりやすい、序盤のボスみたいなものに成長していきます。そうなると僕たちはより一層そいつを殴るのが楽しくなり、どんどんより一層と人に伝わらない孤独な糞文章を書いてしまうのです。ああ人間はなんと悲しい存在なのでしょうか、今回の話は、そんな雰囲気がよくわかる感じになりそうな予感がします。でもまぁ、いつもか。

ところで、秋元康という金儲けが得意な何か巨大なエネルギーの中心にいるのをよく見かけるデブがいるんですけど、そいつがこの前テレビで調子いいことを言っていました。超うろ覚えですけど。あの目つきあの喋り方あの身振り手振りでこんなことを言っておりました。「コンテンツを作るのに必要なものってのは気付きです。日常の中での些細な気付きが出発点となってコンテンツを作るのです。へー、女の子が髪を結ぶのに使うあれ、シュシュっていうんだ。あの頭につけるのはカチューシャっていうんだ。そういう小さな気付き、発見がヒット曲になるんです。」とかなんかそんなん。それを見て僕は思うわけです。何をさも良いこと風に言ってやがるんだ。シュシュの名前がシュシュって知らないやつは女にまるで縁がないやつだけだろ。シュシュがシュシュという名前だと知っていてもそれ以上のことを知らないやつだけが、シュシュに夢を抱くことができる。シュシュやカチューシャが日常にない、それらについての情報を持たない人間だけがそこに物語を見出すことができるのだ。まぁ、別にそこを突いてコンテンツを作ること自体は悪いことではない。けど、それは手の込んだコンプレックス商材ちゃうんかい、と思うわけです。気付きだなんだとなんか口触りいいこと言ってんじゃねぇよ、と思ってしまうわけです。コンプレックス商材売ってるんならコンプレックス商材売ってますよの顔をしておけよ。ちなみになんですが、コンプレックス商材って一般的に通じる用語なんでしょうか。育毛剤とか脱毛剤とかちんちんが大きくなる薬とか、感想は個人によるもの全般を指します。まー、そしてそこに群がり夢を抱いてしまう僕らよ、僕らは自分に関係のない世界のことは知れませんし、自分に関係のない世界にこそ夢を見ます。そして僕と関係のない世界と僕との関係は僕の思惑と世界の思惑が絡み合った結果、関係のない距離感に至っているのです。

そんで本題なんですけど。

でんぱ組 × ZOZOTOWN オシャレ熱はでんぱする!でんでんファッションキャンペーン

http://zozo.jp/_news/5169/5169.html

こんなんがスタートしたとのことです。でんぱ組というのはなんだか最近人気急上昇中のアイドルだそうで、なんか僕あんまよく知らんのですけど各メンバーが不登校だったり引きこもりだったりネトゲ廃人だったり地獄の釜の底の底のサファイアみたいな色をしたあかん昆布から出たダシがいい感じに浮かんできた上澄みをすくったような集団のようです。そういったバックボーンを逆に武器にしてのリベンジだったり反逆だったりをキャッチーでポップに表現しているうえ、みんな出自がそんな感じなのでファンにも非常に誠実で、そんな人柄が応援したい魅力になるみたいな、なんかたぶんそんな感じの人らだそうです。下積み時代の営業ドサ回りを売りにのしあがったのがももクロなわけですけれども、それともまた違うどう転んでも湿っぽい、なんだったら苔の蒸すまで感すら漂うカウンターアイドルということで着々とファンを増やしてきてたわけですがここに来てほぼほぼグループ名を含んだシングルをリリースということで、たぶん今年ガチで売り出す気なんだな風です。ほんとに全然知らない僕なんですけど、この段落のこんな程度の説明は書けちゃうということで、アイドルヒストリーの中にうまく配置することもラクチンなコンセプト明瞭設計なので本当にこっからすげー売れんのかなとか思いながら見てます。いや、嘘です見てはいません。何にせよ説明しやすいっていうのはいいですね。説明しやすいってのはめざましテレビで取り上げやすい、ってことです。軽部さんに説明されるようになったら売れたも同然です。まーなんか近所にドハマリしたやつがいたので知ってるだけで僕はアイドルほんまに興味ないんであんま知らないんですけどね。好きなアイドルと言えば元モーニング娘高橋愛くらいのもんで、高橋愛がすやすや眠る寝室に忍び込んで高橋愛の顔にそっと人肌くらいの温度の水を霧吹きしたい。それで明け方になんだか目が覚めた高橋愛が「何この発汗量?これも加齢の影響?」とか戸惑うのをそっと見ていたい。もう今年で27だもんね。そんくらい。

で、まー目下売り出し中のでんぱ組なんですけれども、その一貫でZOZOTOWNとのコラボ企画です。内容はというと、ありそうでなかったのか俺が知らないだけで過去にもあったのかは分からんですけど、通販サイトだと商品詳細ページに実際にその商品を装備したモデルさんの写真なんかが載ってたりするわけです。そこにでんぱ組のメンバーがモデルとして登場しているページがどこかにあるのでそれを探しましょう!みたいなそういう企画です。なるほど、なかなか面白いですね。何万点の商品を取り扱ってるのか知りませんけど、どこかにでんぱ組のメンバーがいるわけですね。探してみましょうぞ、という、そういう企画なわけで、じゃあ早速探してみましょうぞとなるわけです。流石にノーヒントなわけもないので、鍵になるのはこの告知ページ。ここで各メンバーが装備している商品にあたりをつけて詳細ページを見つけ出せばきっとそこに各メンバーがいるはずなので、早速検索を開始します。じゃあとりあえずえーっと左から3番目のなんか灰色の服着てる子から攻めようかな。よし、この灰色の服から調べよう。よし。……あれ?これなんだ?この灰色の服、なんだ?下にもう一枚なんか白いの着てるから、アウター?かな?うん、下に着てるのがインナーだからたぶんこれはアウターだ。アウターでとりあえず調べてみよう。アウターから更に絞り込もうとすると、カバーオール ダウンジャケット テーラードジャケット ライダースジャケット ナイロンジャケット ミリタリージャケット デニムジャケット ノーカラージャケット ダッフルコート ピーコート ステンカラーコート トレンチコート モッズコート スタジャン ブルゾン ポンチョ マウンテンパーカー ダウンベスト と文字列が並んでおり、どれ?どれだ?ていうか、なくね?たぶん灰色のあの服は、この中のどれでもなくね?ジャケットでもコートでもないよね?あれ?アウターじゃないの?下に何かもう一枚着てるのにこれアウターじゃないの?あれ?

さて、人は自分に関係がないと思ってるものに興味をもつことができません。興味をもたない限りに、人はそれがいくら視界に入ったところで「あれは俺には関係ないから」という態度で接します。そうすると当然そんな態度で目や耳に入ったものは脳のどこにも残らず反対側の穴から抜けていきます。そうしてやっていくために人の大抵の情報収集器官は穴が二つあるのです。関係がない、という結論に辿りつく理由は色々ありますがその中の一つに「自分みたいなもんが関わってはいけない」という感覚があります。

僕にとってオシャレは完全にそれなのでした。

面白すぎるので過去100回くらいしてる話なんですけど、中学生時代にクラスメイトだった遠野君はチビで天パだったんですけどヘアワックスを万引きして捕まってました。僕には彼の気持ちが痛いほどわかる。別に金がなかったわけじゃないんですよ。ヘアワックスをレジに持っていって会計するのが嫌だったんですよ。レジ係に「お前がヘアワックス?ふーん。」て思われるのが耐えられなかったんです。いや、実際そんな意地悪いことレジ係が思うのかはここでは全く問題ではありません。彼にとってはきっとそうだったんです。

先天的なものなのか、何か思い出せないトラウマがあるのか不明ですが、オシャレに対する恐怖というものが俺の中にもあります。許されるなら未だに毎日学ランを着てたいですからね僕は。ダサいと思われるのはイヤですし、そう思われないために努力をするのもイヤです。何かアクセントを取り入れようとした時に「この糞ダサ野郎、あんなことしてオシャレだと思われようとしてるよ」と思われるんじゃないかと死にたくなります。それならばいっそ襟のカラーも外さないままに学ランを着続けたい。女教師役のAV女優が目の前にいなくても構わない。僕はただ学ランを着ていたい。個性をアピールする余地すら奪って欲しい。この考え方が浸透してしまうともう何もできなくなります。服そのものを自分用にカスタマイズすることそれ自体がオシャレの一貫だと思われたらどうしよう、「あらあら自分ならでは風にしてるよお前ごときが」と思われたらどうしようという感覚に襲われます。こうなるともう、ベルトを店で切ってもらうのもズボンの裾上げを頼むのもいきなり黄金伝説です。とめどなくにじみ出る俺の手汗を舐めるだけでハムスターが一週間生きながらえます。そんな生きにくさを抱えてる人間が恐らく一定数いるのです。というか、こんなの俺だけだったら堪らない。

そしてそんな調子で生きていると、出来る限りオシャレに近づかないようになりますので、オシャレ用語もできるだけ避けて生きるようになります。もうなんかちょっとオシャレなやつが喫煙所で「そういえばインナー買いたいんだよね」とか言ってきただけで緊張が走ります。こいつシャツじゃなくてインナーとか言ったぞオイ、となります。俺がそれを聞いてどれだけ緊張したか、それをこいつに伝えるために俺は一旦猫になりたい。たぶんめちゃめちゃ毛が逆立ってるから。それくらい緊張する。そんな毎日を続けてきた僕の脳には服飾用語フォルダなんぞあるはずもなく、そして、その結果俺は今もダサいままなのです。

というようなことを、ZOZOでうまく検索できない俺に気付いたコンマ3秒で僕は思ったのです。で、まー、だからなんだっていうと、同じこと思った人いない?ていう投げかけなんですけど。修学旅行の夜の「もう寝た?」くらいの声量の投げかけなんですけど。別にオタクも千差万別なんでしょうけど、あの企画で俺と同じ感覚に陥った人、いないの?みたいな。いるっしょ、アイドルオタクやってる人の中にならちょっとはいるっしょ、みたいな。むしろいてくれないと俺が困る。そんな、俺同様のエラーを吐く人が大量にいるからこの企画は失敗だよねみたいな話になるわけはないのは分かってるから、俺が少数派でRHマイナス級の少数残念派な人であることは分かってるから、そこまでは言わないんだけど。俺と同じようにまったく不意打ちで死にたくなった人たぶん日本に何人かはいると思うんすよねー。そいつらに届け、みたいな。なんか俺は、今日、全く予定してないところで不意に死にたくなりました、ていうそれだけの話なんですけど。ちなみに今は全裸です。全裸で、「別に服を着ていること自体がオシャレコンプレックスを刺激してしまうからとかそういうわけではなくて、単に暑いから、もうすっかり夏で暑いから服着てないだけですけどね」みたいな顔をしたちんこをぶら下げてこれを書いてます。以上です。