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ワンピース苦手な人向けワンピースの面白がり方を喋る練習をしてみます

やっぱよりたくさんの人と仲良くなるためには共通の話題・共通の知識があった方がやりやすいねってのは当たり前の話でそういうのをダセェと思わない人であればトレンドなんかは押えられるだけ押さえておくに越したことはないし、それを突き詰めた結果として俺はカスカスダンスを習得してるよね。2時間踊れるよね。2時間カスカスダンス披露されて喜ぶ人は今のところ見たことないけどね。

で、そういうトレンド押えることに吝かじゃない同士の「『話題の引き出し』という話題で話せる」人と喋っててたまに出てくるのが「ワンピースがわからん」っていう話ね。雑食で割とみんながおもろいおもろい言うてるもんは何でも読んでみるよつまらないにしても「なるほど」ってなるよ、って人でもワンピースが意外と鬼門らしくて、全然おもんなくてどういうことだってばよって話をよく聞きます。すいません、今のは「あ、ここ2,3行普通だな」と思ってそろそろ何か変な言い回し挟んどこうと思ったらパッと出てきたのが「だってばよ」だっただけで別にNARUTO好きはワンピースを好まないとかそういうことを言外に言いたかったわけではありません。ごめんなさい許してください。殺さないでください。テクノカットだけは勘弁してください。ここで更にもう一つオードリーネタを追加したことによってこの後もう2,3回オードリーネタ入れなくちゃならないのかなって義務感が生じてきたけど出来るだけテイクイットイージーな心持ちで気楽に書ききれればなと思っています。

そういうわけで今回はワンピースについて書こうかなと思ってるんですけど、あくまで対象は「出来ることならワンピース好きの人と楽しくワンピースの話ができればなぁと思うんだけどワンピースの楽しみ方がいまいちよくわからなくて困ってる人」です。「こういう読み方をすれば少しは面白がれるかもね」っていう一助になれば幸いですレベルのアドバイスであって、こうこうこうであるからワンピースはおもろいんじゃこのおもろさ分からん奴はアホじゃというつもりもないので「ワンピースを面白がる気がない人」は読まなくていいと思います。あと楽しみ方わからない人向けなので「ここんところ押えたら何とかなるから他のおもんないところは我慢しよう」みたいな歩み寄り的言い回しが出てくる可能性も高い気がするんでワンピースが好きで好きで堪らなくて週刊少年ジャンプが合併号の時は一週間のワンピロス期間が発生して飯も喉を通らなくて2kgは痩せてしまうくらいワンピースが好きな人も気分を害するかもしれないので読まない方がいいかもしれません。あとオードリーネタがこの後出なかったら怒っちゃいそうなオードリーファンも帰ってください。

あと、ダラダラ前置きしてたら既に1000字なのでここまで読んだ人からするとふざけんなって話になりますけど、ちゃんと着地するのか割と自信ない。掲題のとおりで俺もワンピース楽しみたいけどいまいち楽しめない人と酒飲む時に備えての練習みたいなところあるんでご了承ください。

ちなみにこれを書いている人は中学生の時に読み切りのロマンスドーンがめちゃめちゃ面白かってこいつはやべぇ!!と思って以来連載も毎週楽しみにしてたけど50巻くらいで流石に俺もいいかげん大人だしコミックス集めるのもういいやってなってるけど大人の癖に毎週ジャンプ買ってるから話は普通に追ってるくらいの人です。じゃあテキトーに始めます。

とりあえずワンピース苦手っていう人見てるとやっぱ謎の心理的障壁の高さを感じるんですね。別に好き好みは人それぞれでいいと思うんですけど、なんだかんだ売れてるものには売れてるだけの理由があるはずなわけでみんなそこは割りと了承していて、例えばディズニーとかジブリとか苦手な人でもあんま楽しめないなって話をする前に「まぁ好きな人がいるのは分かるけど」って感じのエクスキューズがあったりすることが多いと思うんですけどワンピースdisを見かけるととりあえずここのエクスキューズが薄いんですよね。「全然おもんない」「何がおもろいねん」的なニュアンスを感じるわけで。まずはそこを取り除かないとしんどくて読んでらんないと思うわけですね。で、この心理的障壁がどこから来るのかを考えるに、単純に薦める側のセールスポイントが悪いと思うんですよ。「感動」とか「名言」とか「仲間の絆」とかたぶんワンピースの印象ってそんなとこだと思うんですけどそこらへんを推すから、こっちも身構えてそこらへんを基準に読んじゃうんですよ。まずここを一回捨てましょう。「感動」で涙するにも「名言」が飛び出たタイミングでそのフレーズにグッと来るにも「仲間の絆」に心を打たれるにもとりあえず感情移入できてないとしんどいです。感情移入なんて個人差と体調に左右される要素を頼りにしないと楽しめないってのはそりゃちょっとキツいです。なのでこれ一旦置きましょう。

具体的にはまず「麦わらの一味」への興味を捨てましょう。ルフィかっこいいかとか、ナミに欲情できるかとか、チョッパーをかわいいと思えるかとかそこらへんの要素を全部忘れましょう。キャラ愛から入るとキャラ愛せない時点でもうダメになるのでそこらへん捨てましょう。そりゃあ大枠で見れば「麦わらの一味」の成長物語的側面もあるんですけどあいつら結構よくわからん心理で行動したり突然に何の前触れもなくパワーアップしたりするんで、あいつらマトモに相手してたらキリがないです。余裕で興ざめする可能性があります。あと、あいつらを追おうとすると全部読まなきゃあかんのでダルいです。

いきなり主人公チーム全否定なわけなんですけど、これ全否定してもいいのにはわけがあって、ワンピースって○○編みたいなある程度まとまったお話が連続で続いていく構成なわけなんですけど、基本的にいつも「異邦人が困ってるその土地の人を救う話」なんですよ。異邦人ってのが当然主人公であるルフィとかなんですけど、そりゃあ細かく見てくと色々あってややこしいんですけど大枠としてはルフィがどうしてもその敵と闘わなくちゃならない動機ってのがあんまりなくて、たまたまトラブルに居合わせてたまたま気に食わなかったので折角だしブッ飛ばすってのがメインストーリーなんですね。それによって救われる人ももちろんいてルフィは感謝されるんですけど、異邦人たるルフィには直接的にそいつをブッ飛ばさなくてはならない因縁みたいなものがないんです。なんかイメージとしては水戸黄門なんかは治安維持みたいな使命があるのでちょっと違うくて、どっちかっていうと地方に伝わる妖怪民話で神社に生贄の娘を捧げたら夜中に大蛇がやってきて食って帰るみたいな風習がある村にたまたま旅のお侍さんがやってきてそいつの退治を名乗り出る、みたいなあっちのノリに近い。やってきた侍がたまたまゴム人間でした、くらいのもんで。つまり倒してくれるのは別にルフィじゃなくてもいいんですね。

とりあえずこういう風に、ワンピースは「少年ルフィが海賊王を目指すバトルあり感動あり友情ありの大長編ロマン」ではなく「たまたま立ち寄った異邦人がその土地のトラブルを解決してくれる短中編の寄せ集め」であると解釈し直しましょう。土着の人間と異邦人が出会うということは異文化コミュニケーションが発生するわけで、そこで既存の(悪い)価値観が破壊されて新たな(良い)価値観が創造される流れなんかはすいませんめんどくさいから勘で言うんですけどディズニーなんかでもよく出てくるテンプレートと言えるかもしれません。こう言ってしまうと、「ディズニー全然おもんないねんボケ」って人が脱落してしまう気がしてヤバくない?って思ったんですけどもう覆水盆に返らないんで続けますね(さっきBackSpaceキー取れてどっかいったので書き直せません)。

ワンピースは週刊少年ジャンプの押しも押されぬ看板漫画であり当然バトル漫画になるわけなので各章ごとに倒さなくてはならない敵キャラが出てくるわけですけど、敵キャラはみんな基本的にすごい悪いやつです。で、何がどう悪くてどういった理由でそいつが倒されるべき存在であるかを割りと丁寧にやってくれます。陳腐な比較になりますけど、ドラゴンボールなんかはまず「倒さなくてはならない敵がやたら強い」というノリが先行しているので割と敵が絶対悪っぽく描かれるというか「まぁそんだけ強かったら何でもできちゃうし悪くなるのも仕方ないよね」みたいなところがあると思うんですけど(とりあえずワンピースを面白く読むコツの話の雑な比較なのでブウ編とか結構複雑だぞこの野郎、とか置いといて欲しいんですけど)、ワンピースの敵キャラは「強さ」と「悪さ」が割りと別個のものみたいなところがあって、悪い奴がたまたま強かった(悪さを行使するために強くなった)みたいなところがあります。もっと言えば強いだけで悪くないやつとかもいます。なので、バトル本編のどっちが勝つんだ的な盛り上がりとは全く別に彼らの思想や悪い振る舞いが丁寧に描かれ、彼のせいで誰がどう苦しんでて何故に彼は打倒されるべき存在であるかというのをしっかりページ数をとって説明してくれるのです。

まぁ、ここまでとりあえず分かりやすく「悪さ」という言葉を使って説明してきましたが、要はワンピースの各章ってそりゃあ勧善懲悪的なところはあるにせよ「思想」vs「思想」みたいな枠組みがわりとカッチリしてるんですね。かつ、そこで描かれるどちらか一方の「思想」つまり敵キャラが倒されるべき理由とルフィがそいつに喧嘩売る理由がよくよく見るとそこまで一致してないところが味噌で、対立する両者のどちらかに与するにせよルフィは割とそういう思想的対立とは無関係なところで(或いはその土地の思想的対立とは別の部分で敵キャラと対立して)何か勝手に揉め事に首を突っ込んでるだけなんです。なので、なんかルフィの行動原理がわからんとか突然怒って叫んだりするのがわからんとか言われますけど全部仕方ないんです。主人公に見えてあいつどっちかっていうとただのトリックスターなんです。

そういうわけで、ワンピースのある章を読み始める時は「次の島ではどんな冒険がルフィたちを待ち受けているのか!?」ではなくて、「昔むかしある島で……」という気持ちで読み始め「そこにある日、風変わりな海賊がやってきました」と続くような御伽噺くらいの感覚で受け止めましょう。まぁめちゃくちゃ思いついたままに書いてるんでそこまで確信ないんですけど、これだけでグッと物語として見やすくなるような気がします。

ここでまた別の漫画を引き合いにしちゃうとそれ読んでない人が脱落しそうですいませんって感じなんですけど、ろくでなしBLUSEって名作不良漫画あるじゃないですか。構図的にはアレに似てる要素って結構強いんじゃねぇかなとか思うんですよね。何せ不良なんで彼らはわざわざせんでいい喧嘩をするわけなんですけど、それでもその喧嘩には意味があるんですよ。葛西編、川島編なんかが特にわかりやすいと思うんですけど、敵側の高校の内部においてもボスキャラとその舎弟たちとの間で何らかの溝とか軋轢があったりする。中には裏切りとか下克上を目論む奴が紛れてたりする。そういう中でなんやかんやあって敵のボスと主人公・前田太尊が闘うことになるわけですけど、太尊と闘う中でボスと舎弟の関係性も変容していって結果的に向こう側の高校チームの結束も強まったりする。でももちろん太尊は敵チームの内部に仲直りしてもらいたくて闘ってるわけじゃなくて、そことは別の太尊なりの動機で勝手に闘ってるだけっていう。その感じに似てるんじゃねぇかなとか今思いました。

というようなことを踏まえまして、じゃあどの御伽噺から読めばいいのって話なんですけど、やっぱオススメはドラム王国編(15巻~17巻)、チョッパーのやつ。ていうかこれ色々小道具うまいこと効き過ぎてるんで海賊もトナカイも出てこなくていいから、設定だけ色々パクってラブロマンス要素混ぜてディズニーでやろうや。あと長いけど空島編(24巻~32巻)、ここまで僕がグチャグチャ言ったような「実はルフィ主人公じゃなくて異邦人のトリックスター」説的な読み方が一番しっくりくるような気がする。別に要らないバトルとかめちゃめちゃ多いけどそこは週刊連載の少年漫画なので勘弁してください。あと章単体で見るなら新世界の魚人島編(62巻~66巻)とかまとめて読んだら意外とおもしれぇんじゃないかなって気もするけど、連載時のジャンプでしか読んでないからあんま自信ない。そこまでに張ってる伏線の回収が多いからそこだけ読むのはしんどいのかなぁ。アーロンパーク編(8巻~11巻)はたぶん人気高いと思うんですけど、ここで紹介した言い方でいうと敵キャラが絶対悪すぎて泣かせに掛かってる感強いんで結構「うっ」てなる人多そう。それだったら海上レストラン編(5巻~8巻)とかの方が田舎でウジウジくすぶってたサンジ君がよくわからん異邦人に刺激を受けて上京を決意する話として読めば面白がれる気はする。もちろんアラバスタ編(11巻~23巻)だって面白いけどね、如何せん長いからね。何か色んな小エピソードも入り組んでたり各味方キャラの成長が丹念に描かれてるんで一巻からちゃんと読んでいかないと「知らんがな」ってなりがちでオススメしずらいかもね。味方キャラどうでもいいから一回忘れようって言ったの俺だけどね。

まーそんな感じで、当初の宣言どおり割と思いつきでべらべらーっと喋っちゃったのでこれ本当に参考になるのかなって感じですけど。もちろんここで喋ったような読み方をすると逆によくわからなくなる話もありますし、ここで全く触れてない面白要素もたくさんあると思うんですけど、とりあえずワンピース苦手な人が一番きついなと感じる部分を除けて考えてみるならばたぶんこんなような漫画なんじゃないですかねみたいな、そういう話に受け取ってもらえれば幸いかな、くらいの。気付いたらなんか6000字近く書いてるんで、なんだかんだまどろっこしい言い方しつつもお前ワンピース大好きなんじゃねぇかって話なんですけど。バッ! ちげーよ! そんなことねーし! あんな漫画つまんねーし! 特にオススメの章を紹介する段落で出てこなかったデービーバッグファイト編とかインペルダウン編とかは苦手な人でも楽しく読める方法とか全く思いつかなかったから一切触れなかったし! 頂上戦争編とかもあんなもん思い入れない人が読んでもエース死んだって全然泣けないだろうし! 基本後半になるにつれてルフィたちが好きじゃないとかったるくて読んでられないし! 俺は好きだから読めるけど! ウィーアーワンピースジェネレーション! 鬼瓦! 以上です。