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都会に生きる北海道生まれが聞き飽きているフレーズを紹介します。

例えば貴方がアホみたいな顔しながら飯食ってテレビをぼんやり眺めているとする。テレビではちょうどつまらないクイズ番組が流れていてタレントだの芸人だのがアホみたいな顔でクイズに挑んでいる。こうしているとまるで世界中アホしかいないような気がしてなんだか不思議だね。クイズが出題される。貴方はそのクイズの答えを考えるまでもなく既に知っていた。回答者の数名が間違った回答をする。貴方はこう思う。なんだこいつはこんなことも知らないのか馬鹿だなぁ。人は多かれ少なかれ傲慢なところがあり、あるいはそれは自分自身を過小評価して生きている結果として生まれる論理なのかもしれない、「自分がなんでもなく普通に知っているような当たり前のことを知らないだなんてこいつはダメだなぁ」という感覚。

例えば貴方の目の前に一人の男性が立っている。そいつが名乗る。はじめまして、私の名前はキムラタクヤです。それを聞いた貴方の脳にどんな電流が走ったのか、それはそれは大いに想像がつく。ぶっちゃけ俺だってたぶん同じ電流が走っている。だが一度落ち着こう、僕と貴方はきっと踏み止まらなくてはならない。少し考えれば分かることなのだ、僕が、貴方が、「おっ」と思い口走ろうとしたその言葉、そしてその後に続く二、三のやりとり、恐らく目の前のタクヤ君は百万遍やっている。やり尽くしている。

私たちは何て人を思いやれないクズみたいな生き物なのでしょう正直犬畜生以下です。自分にとっての当たり前を他人に強要する瞬間もあれば、相手にとって当たり前であることが自明であろうとも自分にとって物珍しく思えれば躊躇なくそれを口にする瞬間もある。こういった我々の不出来を徹底的に糾弾すれば世の中もちっとは良くなるのかと言えばまるでそんなことはなくますます生きにくく無言で目も合わせないデストピアが近づくこと間違いなしです。大事なのはそういった互いの言わずにはいられない心情を慮りあい許しあうことなのでしょう。

さて、そこでこの世が少しでも生きやすい社会に向かうほんの一助にでもなればと今回僕がお届けしたいのが掲題の件でございます。僕はそこそこ地方出身者が集まるとあるそこそこ都会で生きる普通のおっさんなのですが実はもともとの出身地は北海道でございます。あまりそのことを積極的にアピールすることは日ごろないのですがそれでも何かの拍子に出身地について質問されることがあり、別に嘘ついてもいいんですけどそんなところで不要な嘘をつくのも何なのでありのままに開陳した結果たいていの場合過去さんざんやり尽くした会話のやりとりに発展することがほとんどで僕はその瞬間だけキムラタクヤになったような気分になります。同姓同名のキムラタクヤになっただけで僕に対する扱いは木村拓哉にはなりえないのでより一層残念です。もちろん下記に挙げる会話のやりとりを入り口に何か屈託のないほんわかトークにつながる可能性はゼロではないのですがとりあえず良し悪しはさておき「百万遍やってます」というものを並べました。今後道民とエンカウントした際の参考にして頂ければ幸いです。

①修学旅行で行った

まず筆頭に挙げられるのがこれです。僕は出身地を述べたまでで特に「みんなが修学旅行でどこに行ってるのか統計を集めているんです」と言ったわけではないのに何故か教えてくれます。一応「どこ行ったんですか?」とか聞くんですけどどこに行ってようと基本的には「あーそうですか」となります。時計台が思ったより小さいみたいな話も百万遍やってます。

②北海道のどこ?

これは実際にどこの出身かによって質問された側の印象も変わってくると思うんですがそんなに知名度があるわけでもない何でもないところ出身の僕としては聞いてどうするんだという疑問が生じます。むしろ札幌以外対処できる予定ないんだったらわざわざ聞かなくていいだろ。一番きついパターンは「へー、あー、知らないところだわ。漢字なんて書くの?へー珍しいね。北海道ってそういう変わった地名たくさんあるんだよね?」と続くパターンです。申し訳ないんですがこっちは別に難読地名トリビアみたいなんは持ちネタとして準備してません。

③雪とか羨ましいね

まぁ、言いたくなる気持ちは分かるしテキトーな雪国の生活あるあるみたいなんを披露すればそれなりに「へー」くらいは言われるのですがこっちは百万遍やってます。羨ましいと思うのは旅行で来る人の発想で、ディズニーランドはたまに行くから楽しいのであって毎日家の前をミッキーマウスがウロウロしていたらうっとうしいでしょ?それと同じで雪がある生活とかうっとうしいだけです。という話を百万遍やってます。

④おいしいものばっか食べてるんでしょ?

「毎日海鮮丼とか食べてんの?」って百万遍言われてます。普段は普通のもの食って生きてるに決まってます。じゃあお前らそんなタコ焼き食ってんのかよと思うんですがあいつらは食ってます。

日本ハムファイターズのファンなの?

少なくとも僕に限っては別にファンでも何でもありません。ちょうど本拠地を北海道に移したのが10年くらい前なので僕が北海道を離れるのと入れ違いくらいです。それはそうとしたって別に自分の住んでるところをホームに置いてる野球チームを応援するのが普通と思われてもそんなわけないだろって思うんですけど本当に阪神の勝ち負けに毎日一喜一憂してる人をここではたくさん見かける。

水曜どうでしょう面白いよね

北海道発の人気テレビ番組といえば水曜どうでしょうということでDVDを通してファンになっている人はこちらでも少なくなく「あれおもしろいよね?やっぱ大泉洋の人気ってすごいの?」などと聞かれることも多いのですがそりゃあテレビつけたらやってるから見たりはしてたけどそこまで熱心なファンでもないよ。あれ面白かったよねとか言われてもそんな覚えてないし。大泉洋はまぁ普通に面白いんじゃないのと思うけどそんな推すほどでもねぇよ何でそうなると思うんだよって思うんですけどみんなほんとに吉本新喜劇見てるし吉本超合金見てるし真顔でFUJIWARAの本当の面白さを全国区のFUJIWARAしか知らないやつはわかってないことを割りと本気で言ってる人はよく見かける。

そういうわけで色々考えたんですが僕の生きるこの土地の人間には僕が何にモヤモヤしているのかをどうにも分かってもらえなさそうなのでブログに書きました次第です。地元信仰の在り方みたいなものがそもそも違うのかもしれない。なんか彼らのコテコテっぷりを考えたら色々どうでもよくなりました。なので唐突に終わります。以上です。